究極の癒しの音楽を求めて〜ジャジューカ紀行③
モロッコのジャジューカ村で開催される、全世界50人限定の世界で最もプリミティブな音楽フェス「ジャジューカ・フェスティバル」。
2016年に彼の地を訪れた私。
その臨場感を思い出しつつ、ジャジューカ村についてまたちょっと書いていこうかなと。
今日は村の暮らしを。
モロッコの北部リフ山脈にあるジャジューカ村は、電気が通ったのもまだここ10年くらいで、水は井戸水、荷物はロバが運ぶような、のどかな田舎の村。
フェステェバルの参加者は、まずスペインからフェリーでも渡れる港町タンジェへ。
タンジェから電車で1時間半程度のところにあるクサール・エル・ケビール駅が、フェステイバルの集合地点。
そこからさらにタクシー(というにはあまりにもオンボロな土埃だらけの車・笑)にギュウギュウづめになりながら、20分程度走るとジャジューカ村が見えて来ます。
会場でもある村の集会所に着くと、まずはモロッコのおもてなしの基本であるアッツァイと呼ばれる甘いミントティーを一杯。
ちなみに、この夏のモロッコは猛暑で現地の人でも具合が悪くなるレベルの暑さ。でも変わらず温かいミントティーが出てくるのが、モロッコにきたなぁ~という感じ。
「全世界で50人限定のフェスティバル!」と、いうとものすごいプレミア感だけど...。
実は、このジャジューカ村には宿泊施設が全くないのです。
そのため、訪れた人たちは村人の家に分散して泊まる事になります。
マスターたちのものすごい迫力の演奏を3時間聴き、踊り続けた深夜。。。
そのまま太鼓を叩いていたマスターの一人である、ムスタファと、ロバと一緒にポクポクと15分くらい真っ暗な山道を歩いて家に帰るという謎展開(笑)
またこのロバが働き者で、100kg以上あるであろう荷物を載せて、坂道を登ってゆきます。
ジャジューカ村の家。庭と、台所はオープンエアー。
寝室にはちゃんとドアがあります。
マスターの1人、ドラム奏者のムスタファ邸に5人でホームステイしました。
シャワーなどはないので、3日間のNO風呂NO洗髪生活。
私たちのために用意してくれたミネラルウォーターを頭からかぶるのが、貴重なシャワー&入浴タイム!
日中40度近い気温の中、持参したペパーミント精油を垂らしたお水で、ミネラルウォーターを掛け合う。
これが病みつきのプリミティブな気持ちよさ!本当に人生で一番感動したくらいの清涼感!!!
服など濡れてもすぐ乾いちゃいます。
恐怖のモロカン・トイレもマスクにペパーミント精油を垂らしてなんとかクリア。
暑いときには首にミント水タオルを巻き、ミント入り水スプレーをシュッシュッでかなり楽に。ワイルドな旅に出るならペパーミント精油、必須です!
多くの巡礼者を受け入れてきたジャジューカ村はおもてなしの精神に溢れている。
そして、毎年このフェスティバルが開催されることで、小さな村の収入が安定して潤うことができるので、村人たちは非常に暖かく受け入れてくれる。
ジャジューカ・フェスティバルの3日間はマスターの奥さんや娘さんが総出で炊き出しをしてくれます。
朝ご飯は各ホームステイ先で。
たっぷり蜂蜜とオリーブ。バターも自家製なのかとても濃厚で、チーズのよう。
ランチとディナーはライブ会場でもあるテントで7~8名のグループで車座になって頂くスタイル。
こうした宿泊やおもてなしの限界や、会場となる集会所のスペースの限界が50人くらい...という訳で限定にならざるを得ないわけです。
野菜は村で作られたもので、当たり前のようにワイルド&オーガニック。
果物の水気がこれほど身体に染み渡ることがかつてあっただろうか?というレベルのありがたさ。
牛ちゃんも一頭丸ごと用意され、敬意をもって屠られます。。。
ハラールに基づいて、皮、筋肉、内臓と素早い手さばきで切り分けられていく様は美しいほど。
そうして作られたタジンやケフタ。
美味しくいただきました。
こうした現地の生活に身を置いてみると、彼らにとって「音楽」は神聖なものであると同時に、淡々とした日常の延長でもあることがよく分かります。
寝て、起きて、働いて、食べて、そして奏で、祈る。
その繰り返しで人生をただただ誠実に全うしていく。
そんな本来はシンプルな生活を営むこの村の中で、音楽というのは数少ない娯楽であり、神への祈りである。
しかし、ブライアン・ジョーンズという人との出会いによって、それが思いがけない豊穣をもたらし、村以外の世界への扉を開く鍵となったのです。
■過去のジャジューカ紀行は下記からどうぞ。
究極の癒しの音楽を求めて〜ジャジューカ紀行①
究極の癒しの音楽を求めて〜ジャジューカ紀行②
■ 小松ゆり子 official web site
http://yurikokomatsu.com