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バチェロレッテ所感2〜聖戦に向かうジャンヌ・ダルクと、神に愛された芸術家の物語。
バチェロレッテのフィナーレに心動かされすぎたので、自分の整理のために書く(笑)(※ネタバレ注意)
最後の2つのエピソードを見ている時、自分がサイキックになったのかな?と思った。見えないはずのものが、明確に見えたのだ。
普段はオーラなんて見えないわたしだけど、そこには確かに2人を取り巻く空気が柔らかく、虹色に輝いていた。
「物理的な距離は離れていても、心の手はつないでいる」
それが明確にわかった。
自分が杉ちゃんの前でだけ見せてる顔に、萌子さんは気づいてなかったかもしれない。黄さんにだけ「さん付け」だったことに気づいていないように。
でも、心をまる裸にして差しだす杉ちゃんの前では、萌子さんも完璧に装備した鎧を脱いで、ただただ無邪気な少女として寛いでいた。
ジャンヌ・ダルクが、ただの少女だったと気付かされたのと似ている。
彼女にも少女として花を愛でたり、動物と戯れる時間もあったかもしれない。
立木にもたれ、風に包まれ、安らぎを得た時間。
でもジャンヌ・ダルクには自分が行うべき聖戦があり、それはもはや天命であるから、戦いを止めるわけにはいかないのだ。
たぶん、萌子さんは自分が自覚している以上に杉ちゃんを愛していたと思う。
人は自分を映す鏡というけれど。
私たちの身体にはミラーニューロンというものの働きがあり、目の前にいる人の表情をよみとり、反応する。
だから、目の前の人の存在が知らないうちに自分に映っていたり、自分が相手に影響を与えていたりする。
その反射がお互いに穏やかで心地よいことを、相性がいい、とか波長が合う、とか言うのだと思う。
最後に公開された2つのエピソードにおける杉ちゃんと萌子さんは、それが傍目から見るとあまりにも明確で、2人の空気が融和していて、視聴者である私たちの目にオーラとして見えるほどだった。
そして、2人の存在が醸し出すものが、ミラーニューロンを介して私たちにも伝わった。
その空気には、親愛、友愛、愛情、情熱、など情や愛の文字が含まれるあらゆる感情が内包されているから、見ている側の心のでこぼこに呼応して、見る人それぞれの感情を引き起こした。
先日、バスで5時間移動する時間があって、その間に何度も最後の2つのエピソードを見返した。イヤホンをしていたので、微細な会話に気づいたし、何度も見るうちに色々なことに気づいた。
アフターローズの会で、ふとした瞬間に思いがけずに2人の目が合ってしまった時、止まっていた時間が途端に動きだすのが見えた。
杉ちゃんが話すたびに、柔らかい笑顔を保とうとする萌子さんの表情筋が微細に歪む。
表情筋は感情に呼応するもの。
久しぶりに肉眼で見る杉ちゃんの存在が自分が思うよりずっと感情を揺さぶるのを、必死でこらえている。
きっと、放送されなかったところでたくさんの話をしたんだと思う。
スギちゃんはローズセレモニーのハグの時、超小声で「夢の中で会おう」って言ってるし(「欲望の翼」のレスリー・チャンかよ!涙)、あの2度目の告白の後、こちらがイヤホンをしてやっと聞き取れるような声で「会えて良かった」と言っている。
告白の時も「1つだけ約束を守れなかった」と言っているから、きっと放送されてないところで、2人だけのいくつかの約束をしたんだろう。
たぶん、少ないながらも濃密な時間の中で、2人とも絶対的に惹かれ合ってる空気は感じてたはずで、その見えないものを信じたからこそ杉ちゃんは最後の告白をしたし、それを最終的に萌子さんは理性を振り絞ってねじふせた。
でもやっぱり、心の手は繋がれていたと思うし、杉ちゃんが言う通りコップに注ぎ続けた水が溢れるように流れる涙の中に、真実の愛はあったと思う。
それは、思い描いていたものとはちがったかもしれないし、人生のほんの一瞬かもしれないけど。
杉ちゃんのパレットの中で組み合わされた絵の具があらゆる色を作り出すように、虹色に輝く「真実の愛」のひとつの側面だった。
一時期流行りすぎて封印した陳腐な言葉をあえて引っ張り出すならば、「2人はソウルメイト」だったと思う。
ソウルメイトは、お互いの人生に深く影響を与える魂のつながりを持った存在であり、残念ながら必ずしも現世的なハッピーエンドを迎えるわけではなかったりする。
あの時あの場所で、杉ちゃんは想いを伝えることで、萌子さんは想いを断ち切ることで。
2人は一度、愛を完了させた。
ジャンヌ・ダルクは戦いに戻り、杉ちゃんは永遠に輝く芸術の女神を手に入れた。
2人とも、自分の心を神に差し出して、神はそれに答えた。
ミューズに愛され、消えない炎を手に入れた芸術家は、強い。
心が傷ついても、それは必ず芸術として昇華されていく。
でも願わくば、杉ちゃんの心が穏やかな愛に満たされる日々でありますように、と願っている。
って、熱い想いを語りすぎた(笑)
杉ちゃんと、萌子さんの物語は、私の中でもはや神話になったな。
■ 小松ゆり子 official web site
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