究極の癒しの音楽を求めて〜ジャジューカ紀行②
2016年の7月に訪れた、モロッコのジャジューカ村。
その目的は、このnoteでも書きましたが、ローリング・ストーンズの今は亡きメンバー、ブライアン・ジョーンズを通じて世界が知るところとなった、村に連綿と受け継がれる秘儀的なトランスミュージックを聴くこと。
そんなわけで、ブライアンTシャツを着てジャジューカに乗り込み、ウェルカムミントティーを頂いてる私。
ジャジューカの音楽を聴くためには、こうして全世界50人限定のフェスティバルにはるばる出かけねばならなかったわけですが...
なんと!ジャジューカが2017年初来日!!
11月に渋谷のWWWと、つま恋での野外フェスが企画されています。
今までも、グラストンベリー・フェスティバルや、パリのポンピドゥーセンターで行われた「ビート・ジェネレーション展」などに招聘されてきた実績があるのは知っていたけれど。
私たちにお茶をいそいそと振舞ってくれたり、ベンチでのんびりと日向ぼっこしながらパイプをふかしているモロッコの小さな村のおじさんたち。
一見牧歌的な光景でありながら、ただ者ならぬ目の光をもつパイプを持った男性が、部族のリーダーであり、マスターたちのリーダーでもあるアハメッド・エル・アター。
このオジさん達が、日本の地を踏む日が来るとは!いろんな意味で感慨深いです。
あらゆる文化の中で、神とつながる手段として太古から取り入れられてきたものが音楽と香り。
どちらも、人間の脳の中でも「旧脳」と呼ばれる本能や情動を司る部分に働きかける力が大きいもの。
音楽や香りを利用すれば、いわゆる「変性意識状態=トランス」に導くことができる...
先人たちも、その効果を体感的に知っていたのでしょう。
ジャジューカ村はモロッコのリフ山脈麓にある小さな村。
モロッコはイスラム教の国であり、ジャジューカ村はその中でもスーフィーと言われるイスラム神秘主義の流れを汲んだ信仰の形を持っています。
厳格なイスラム教では、絵画や彫刻などの偶像崇拝を禁じるとともに、音楽を許容するかどうかは非常に微妙なラインにあるらしいけれど。
スーフィーズムに影響を受けた信仰では、神との合一を目指すために、音楽や踊りの力を借りてその「ファナー(消滅・消融)」という神秘体験をするような領域、いわば「トランス状態」に近づく手法を用いることも多いのです。
つまり、ジャジューカの人にとって、その音楽やその音楽で踊ることは修行でもあり、神聖な儀式でもあるということ。
そんなジャジューカの秘儀的な音楽を奏でるのは「The Master Musicians of Joujouka(以下、マスター)」と敬意を持って呼ばれている音楽家集団で、音楽家であると同時に神に捧げる音楽を奏でる聖職のような役割を持っています。
先祖代々受け継がれてきたこの音楽は、15世紀に村を訪れたスーフィーの聖人シィディ・アハメド・シェイクが、その治癒の力を認め、「バラカ(超人的能力)を秘めた神聖な音楽」として祝福したと言われています。
そして、ジャジューカの音楽には心の病気の治癒、そして平和と調和を促進する治癒の力があると信じられているのです。
いわば、「究極の癒しの音楽」。
しかし、ガイタと言われるチャルメラのような管楽器と、ティベルというヤギ革のドラムだけで構成され、ひたすらループするそのプリミティブな音楽は、私たちが想像するいわゆる「ヒーリング・ミュージック」とは程遠いもの。
では、一体その音楽が持つ「癒し」とはどんなものなのか?
音楽や香り、アートなど、感覚を呼び覚ますツールが持つ「癒しの力」に魅了されているセラピストとしては、これを体感しないわけにはいかないなと。
「CDで聴くのと、体感するのでは音が全然ちがう!一つ一つ立体感を持って音が体全体を震わせるもので、全く"うるささ"は感じないの。ただただ音を浴び続けるその体験が、3日間続くのよ!」
旅に出る前、市ヶ谷でモロッコ料理を食べつつ日本一のジャジューカ通、赤塚りえ子さんからオリエンテーションを受けながら、すでに鳥肌がたつ思いだったのです。
ということで、まだまだ続く!!
ちなみに、ジャジューカ村でも毎年全世界50人限定のフェスティバルが開催されます。
マスターの家にホームステイしながらのディープな音楽体験をしたい方はぜひモロッコへGO!
※上記の臨場感ある写真の中の数点は、旅の仲間、サラーム海上さんのものをお借りしてます。
■過去のジャジューカ紀行は下記からどうぞ。
究極の癒しの音楽を求めて〜ジャジューカ紀行①
■ 小松ゆり子 official web site
http://yurikokomatsu.com