地域資源とツーリズム
9月15日(木)、16日(金)の1泊2日で、宿泊先の兵庫県 美方(みかた)郡 香美(かみ)町 小代(おじろ)を拠点に香美町、新温泉町という美方郡をフィールドワークとして訪れてきました。美方郡は平成の大合併後は兵庫県北部唯一の「郡」です(香美町=香住町+美方町+村岡町、新温泉町=温泉町+浜坂町)。
このフィールドワークは僕が現在通っている兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科の夏季集中講義の1つ「地域資源とツーリズム」の一部です。前半は8月に大学院キャンパス内の講義として受講しており、今回のフィールドワークはその後半の部です。
前半受講については若干診断士目線入れながらこちら(↓)のnoteで少し言及しました。
集中講義の先生のメインフィールドが小代ということもあり、前半の小代は先生コーディネート。後半は院生自身が行きたいところを自分たちでコーディネートというスタイルでした。
小代のある香美町、そしておとなりの新温泉町という美方郡をめぐるツアーとなり、とても実のある内容でした。今後の自分の活動(大学院研究活動に関わらず)にいろいろ関わってくることもありそうなので、記憶と体験を留めるためnoteとして記載しておこうと思います。
全体スケジュール
全体スケジュールはこんな感じです。
1日目
●滝見亭&久須部(くすべ)渓谷(ランチ)
●スミノヤゲストハウス
●焼肉パーティー(&晩御飯)
-当初はゲストハウスの庭でBBQ予定でしたが、当日突然のゲリラ豪雨により、急遽ゲストハウス内の焼肉パーティーへ。
そのまま、先生+院生の飲み会となり、夜が深まると、フルタイム院生(20代)からの「結婚観についての質問」に社会人院生(20~50代)が答えるという貴重なディスカッション?
2日目
●ゲストハウス周辺街歩き
●吉滝(よしたき)兵庫県指定文化財記念物名勝
●おじろじろキャンプ場
●但馬牧場公園
●文太郎
●渡辺水産(ランチ)
●KOFUNEYA
●解散
美方郡の印象
1泊2日としては若干盛り込みすぎな日程でした(実際のところ一部あぶれて訪問できなかったものあり)。
美方郡は兵庫県の中でとても自然の濃いいエリアで、僕の中で「但馬の中の但馬」という印象の地域です。そして、この美方郡は僕の高校校区でもありました。なので同級生に美方郡出身者が何人かいました。
ただ、高校は養父(やぶ)市内の八鹿(ようか)町にあるため、美方郡出身の同級生は片道1時間以上バスに揺られて通学するか、高校の近くに下宿するか、という状況でした。
当時の(八鹿町内にあった)僕の自宅の近くにも同級生が下宿していたことを覚えています。
社会人になり自分でクルマ運転してこの美方郡に入ると、「うわぁ。ここから高校まで通っていたのか…」と驚きました。
僕は高校から徒歩5分以内在住の徒歩通学生、「自宅で予鈴を聞いてからダッシュで教室に向かう」というお気楽な高校生活を送っていたのです。そのため、美方郡を通過すると今でもなんだか申し訳ない気持ちになります。
記憶に残った人たち
香美町、新温泉町の自然は但馬出身の僕から見ても濃厚。そして、すばらしいものでした。
ただ、
「この素晴らしい自然という地域資源を堪能しに、小代へ、新温泉町へぜひ来てください!」
ということを、キレイに宣伝して人が呼べればよいのか?というと悪くはないけど、ちょっと違う気もします。
フィールドワークから一週間経ってみると、記憶と印象に残っているのは、自然や風景よりも人でした。
特に「活動する人」。
自分の意思を持ち、自分の思い(野望?)を持って活動している人たちです。きっと、この人たちは大切な地域資源です。
以下、その人たちを紹介します。
■「スミノヤゲストハウス」のオーナー田尻茜さん
大学のゼミ(※)で小代を訪れたことをきっかけに小代の景色・人・空気感に恋をし、大学卒業後は一度企業へ就職するものの、小代への思いを諦めきれず、地域おこし協力隊として小代で3年間活動。
小代の男性と結婚。そして、古民家をゲストハウスにリノベーションし、旦那さんとゲストハウスを経営。というものすごい展開をされています。
現在は小代で絶賛子育て中です。
※この「ゼミ」の先生が、今回の夏季集中講義で我々院生を引率してくださった先生でもあります。
■「おじろじろキャンプ場」のオーナー上山さん
「山を買って」そこに自力でキャンプ場を作っている(今まさに進行形)方です。(「その発想はなかった」というか、よくもまぁと思ってしまいそう…)
「スキル無し30歳で脱サラしてキャンプ場オーナーになりました」というオーナーさんです。コチラのブログにいろいろ物語が書かれています。
ちなみに2022年9月現在、キャンプ場はプレオープンしているもののまだ完成体になっていません。
今回、我々院生がお邪魔した際も「新しいトイレ建築中で手が離せません。勝手に見て行ってくださいー」とういう感じです。
訪問すると、旦那さんはトイレの屋根の上で作業中、奥様はもくもくと木材切断中でした。そんな中「しつれいしますー」と勝手に(一応先生に案内されながら)キャンプ場内を見学させてもらいました。
■株式会社文太郎の社長 岡本英樹さん
こちらの社長さんは、前新温泉町長の岡本英樹さんです。
岡本社長は町長当選時から「このままでは新温泉町の杜氏技術が廃れてしまう」「地元で但馬杜氏の手による日本酒を醸造したい」との思いを持たれていました。
1時間弱のお時間をいただき、「町長辞めたらやりたいことが2つありました。その1つが酒蔵づくりでした」と熱いお話を聴きました。町長ご退任後そのやりたいことを実現されたわけです。
実現にはクラウドファンディングを活用されています。
「もっとゆっくり時間を確保してくれればいいのに…」と残念そうにされながら「まずは。どうぞ、どうぞ」とガンガン試飲させていただきました(僕はドライバーでなかったので出された全てを試飲させていただき。ドライバーさんゴメンナサイという感じでした)。
■Work Cafe Kofuneyaのオーナー小舟美穂さん
新温泉町はワーケーション誘致に力を入れています。
今年の2月は「新温泉町ワーケーションフォーラム」がハイブリッド形式で開催されており、私はそこにオンラインで参加してました。
そのフォーラムで3月にオープンすべくクラウドファンディング参加中のKofuneyaさんを知りました。支援者になると共に「オープンしたら訪問してみよう…」と思ったもののなかなかタイミングがとれず…。
そこで、今回の夏季集中講義の場を借り、自分の「訪問したい」思い実現も兼ねてスケジュールに入れていただきました。
オーナーは兵庫県三木市出身の小舟美穂さん。
お母さまの実家が新温泉町。長期休暇のたびに祖父母のいらっしゃる新温泉町を訪れることが楽しみだったとか。そして、子供のころにおばあさまに言われたという言葉
「美穂ちゃんに家とお墓を守ってほしいな」
に引き寄せられるように、関東との2拠点生活を経て新温泉町に移住された方です。
まとめ
正直なところ、但馬出身の僕にとって、但馬の景色とか空気感が移住の決断をさせるレベルの感動を起こすことはありません。
もちろん、故郷としては懐かしいですし、大切にしたいとは思います。このあたりは、「外の人」が但馬に対して感じる感覚とはちょっと違うと思います。
しかし、但馬をフィールドに「活動する人」たちの気持ちと行動はとても眩しく魅力的でした。
また、今回のフィールドワークで「活動する人」の存在を知りつつ一方で気になったとがあります。
それは
「今現在、地元にいる若い人、特に中高校生について僕自身は全く理解・知識を持っていない」
ということでした。
地元に残りたい、地元を出たい、一旦は地元出るけどいずれは帰って来たい。そのほか、僕などが創造つかないような思いを持っているのではないかと思います。そして、その現在の若い人・中高校生たちの思いは、地域の未来に大きな影響を与えそうです。
自分自身の中高校生時代を振り返ると、「地元のこと」については深く考えていませんでした。結果として東京の大学に進学し、東京で就職するのですが(現時点で神戸在住ですが、本社が東京にある会社から転勤扱いです)「地元がいや」とか「都会へ出たい」という明確な思いもありませんでした。ただ、「大学には進学する。その結果として高校卒業後は地元を出ることになるだろう」(自宅から通える範囲に大学はなかったので)ということは思っていました。
今回のフィールドワークは、
「新たに知ったこと」
「知らないことに気付けたこと」
という両面で学び得られました。
これからの自分の活動(会社員としてとか、診断士としてとか、学生として、その他いろいろ)に生かしていきたいと思います。