10万円オーバーの革靴をサイズを変えて買い直した
靴のサイズ選びに狂わされてしまった人の話。
2020年の6月、僕は革靴を購入するためにJMwestonの青山店にいた。
お目当てはゴルフというUチップのモデルだ。
当時13万円程度だったはずで、そんな価格帯の靴を買ったことはなかった。
なぜ興味を持ったのかはもう覚えていないが、色々とネットで下調べをしてから店舗に行った記憶がある。
なので、かなりタイトなサイズを勧められることがあるらしいということは知っていた。
そして足を計測した後、実際に最初に出されたサイズは今まで体験したことがないほどタイトなものだった。
どのサイズであったのかは聞きそびれて今となってはわからないが、痛いわけではないものの、とにかく圧迫感が凄く、これを履いて歩けるものなのか?と思うほどだった記憶がある。
その後別のサイズも履き比べ、2段階上げて購入したサイズは5ハーフEだった。(そうなると最初に履いたのはおそらく5ハーフCだったのだろう。)
5ハーフEだからといって余裕があるわけではない。
それまでに履いていた仕事用のグッドイヤーウェルト製法の靴と比べても最もタイトな感触ではあったが、これならなんとか履き慣らしていけると思った。
実際に問題無く履いていたが、しばらくして大きな出来事があった。
すっかりJMwestonが気に入った僕は、180ローファーというモデルも購入することにしたのだ。
ローファーは靴紐がないのでサイズの選択がシビアであるため、また店舗でよく相談した上で購入した。
選んだサイズは5D、試着した感覚はゴルフで最初に履いたサイズと近い感覚だ。
それでも「ローファーだから…」という理由でこのサイズを購入し、若干の痛い思いを味わいつつも、なんとか問題無く履けるようになっていったのだ。めでたしめでたし。
しかし、そうなるとゴルフも最初に試着した5ハーフCでも大丈夫だったのでは?という気持ちが湧いてくる。
履き下ろしてからしばらく経っても、別に特別緩いと感じるわけではない。それでも、5Dのローファーと履き比べるうちに、どうしてももっと攻めることができるのではという疑念が消えないのだ。
しかし、相場を鑑みるに手元のゴルフをフリマアプリで売却して手に入るのは、定価の半分ほどの金額だ。
サイズを変更するためだけに、7万近く追加で手出しするのか…?
と思っていたところ。アレが開催されてしまった。
2021年4月、伊勢丹でのJMwestonのポップアップである。
この時に、普段は展開がないロシアンカーフ仕様のゴルフの受注会が開催されていた。
普通に履ける靴のサイズを変えるためだけに何万円も払うのは正直厳しい。でも、通常は買えない仕様に変更できるというのもセットになったら…?
ポップアップ当日。
店員に声をかけると「久しぶりですね。」と言われ頭の中に「?」が浮かぶ。よく見ると青山店でローファーを購入した際に接客してもらった人だ。
1回しか会っていないのになぜ覚えているんだ。
ローファー購入時にゴルフを履いていたことも覚えられており、ゴルフを購入したいと聞いて不思議な顔をしていたが、タイトなサイズに替えたいことを伝える。
出てきたのは5ハーフD。履いてみるといい感じだ。
これにしますと言おうとしたところで、店員さんから「もう1つ下でもいけますね」の発言。本当に???
持ってこられた5ハーフCに足を入れる。
圧迫感は凄まじいが、ローファーを体験した僕は知っている。これは履ける。
こうしてロシアンカーフゴルフ、ブラック5ハーフCを購入したのだった。
1足目は2段階上げて5ハーフEだったということは、おそらく最初に試着したのが5ハーフCだったのだろう。
結局は最初に勧められたサイズが適正だったということだ。
店員さんの言うことは聞いておくべきである。
履き慣らしの辛さはローファーに比べれば大したことはなかった。
家を出た直後ではソールが真っ平であるためか素足で硬い鉄板の上に立っているような痛みがあった(立ち止まっている方が痛く、歩いているとマシになる)が、少ししたらそれも無くなった。
足の前半分での遊びも無くなり、靴全体がよりしっかりと足に付いてくるようになり、モヤモヤした気持ちも消えた。
ロシアンカーフモデルの料金約16万円は、その対価というわけだ。
かなり痛い。
この経験から、本格革靴を1足目から最適サイズで買うのは難しいのでないかと個人的に思うようになった。
一度自分の限界を試してみると、新しい世界が見えてくるかもしれない。
隙間なくフィットした革靴が足に付いてくる感覚はスニーカーとはまた違った良さがある。
ぜひチャレンジしてみてほしい。