あなたのすてきなところはね
静かにしてみると、初めて聴こえてくる音がある。
映像を撮り始めて、そんなことに初めて気が付いた。
風が葉を揺らす音、服の掠れる音、自分の呼吸の音。
そしてふと、自分の心の声だって、そうなのかもしれないと思った。
何かに不安になっているとき。周りの人たちを見て焦っているとき。仕事や人間関係のプレッシャーに打ち負けそうだけど必死に耐えているとき。
そんなときにはいつも、「もっと自分なら頑張れる」「ここで諦めて逃げるようでは、また同じことの繰り返しだ」「これはチャンス、乗り越えられれば違う未来が見える」なんていう自分自身から発せられた言葉が聴こえてくる。
いや、かっこつけちゃいましたが僕の場合は「早めに逃げたほうがいいんじゃない?逃げたほうがいいよ!きっと!」なんていうへっぴり腰な声なことも多いんですが。情けない。
まあそれも個性なので、仕方がない。
でも、そうやって自分を奮い立たせて元気を出して頑張れることもあるけど、それが続けられないときだってある。
きっとそういうふうにして自分を奮い立たせるための言葉がたくさん聞こえてくるときには、そんな大きな音たちにかき消されて、もっと深くにある静かな心の声が聴こえなくなっている。
だから、一度何もせず、じっと静かにしてみるのがいいんだと思う。
そうすると、どんどん何もしていない自分に焦ってくる。
「君ね、今この時間に何か意味のあることができるじゃあないか!」なんて言葉が聞こえてくる。
それでも、フルシカトだ。
「もう、知らない!」なんて言いながら、もう少し静かにじっと待ってみる。
そうしていると、いつも聞こえている言葉よりももっと奥の方にあった、静かな心の願いが聴こえてくる。
「私は、怖かっただけだ。」
「私は、ありのままで生きていたかっただけなんだ。」
「私は、私のままで大切な人と繋がっていたかっただけだった。」
それは例えば、そんな声なのかもしれない。
自分の深いところにあった痛みや願いと繋がれたとき、涙が出てくるほどに感動することがある。
静かに耳を澄ませてみると、本当に色々な音が聴こえてくるんだなあと思う。
そうやって感動できたなら、明日は今日よりもっと素直に生きてしまえそうだ、なんて思えて体の奥の方から元気が出てくる。
静かになってみよう。
自然の音に、そして自分自身の深い心の声に、もっと耳を澄ませてみよう。
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