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「睡眠トレーニング(首編)」2020.10.29

〜目次〜


○どうして「睡眠トレーニング」を
 作ろうと思ったか。


○「睡眠トレーニング」の方法


○「睡眠トレーニング」中に達成したい事

 ①首の骨の自然な前弯を自分にとって
  当たり前の形に設定する

・「前弯」とは

・首の骨の自然な前弯

・首の骨の前弯の意味=効率の良い抗重力作用

・首の骨の前弯の敵=ストレートネック

・眠っている間に首の骨の自然な前弯を作る

 ②首まわりの血液のめぐりを良くする

・運動時と安静時に血液は体のどの部分に
  分配されているのか

・睡眠時の激しい(?)運動

 ③必要最小限の筋肉の働きで
眠っている姿勢のバランスを保つ


○現時点でのベストアイテムと使い方
 (使い方に注意が必要なアイテムについて)


○まとめ


〜本文〜


○どうして「睡眠トレーニング」を
 作ろうと思ったか。



きっかけは、出来るだけ睡眠時間を減らしたいと

思っていたことでした。

自分のやりたいことに没頭する時間を少しでも

多く捻出したかったからです。


でも、実際に睡眠時間を減らすと、次の日の


パフォーマンスは明らかに低下します。


本来は、7時間ほど睡眠時間を確保する必要が


ありますが、そうするとその7時間は自分が

思うように使えません。

睡眠をしっかりとることは非常に大切ですが

私はその時間をもったいないとしか

思えませんでした。

どうせ7時間眠らなければいけないなら

ただ休息をとって疲労回復するだけでなく

筋力や体力を鍛えることが出来たり、

関節が動く範囲を楽に広げられたり、

という効果も得られるように、睡眠時間に

トレーニングとしての意味も持たせたいと

考えていました。

そこで、これまで約30,000人の患者さんの

治療をしてきた理学療法士としての

臨床経験を元に、眠っているだけでOKな

無意識下で行う「睡眠トレーニング」を

作ったのです。



○「睡眠トレーニング(首編)」の方法


まずはこれだけ


(1)仰向けに寝る


(2)首の骨の自然な前弯を作る


以上です。非常に単純です。


詳しい内容は後半で述べます。


ちなみに「睡眠トレーニング」には「首編」


の他に「腰編」「膝編」があります。


それらを全て組み合わせると、より効果的な


トレーニングになります。


先に「睡眠トレーニング」は眠っている間に


どうなっていくことを目指していくのか、


どういう仕組みなのかをお話しします。



○「睡眠トレーニング」中に達成したい事



①首の骨の自然な前弯を自分の体にとって
 当たり前の形に設定する



・「前弯」とは


はじめに、「前弯」というのは首の骨が


前方へ向かって弓なりに曲がっている


状態のことを表します。


・首の骨の自然な前弯


首の骨は7つあり、上から頸椎の1番、2番


。。。6番、7番、と番号がついていますが


4番目の首の骨が一番前に出っ張っていて


首の骨全体として見たときに、前方に


向かって弓なりに曲がった形をしているのが


理想的な状態です。


図:首の骨の理想的な前弯



・首の骨の前弯の意味=効率の良い抗重力作用


この弓なりは、単純に背骨が積み上げられた


時と比べて2倍の長軸方向の圧力への


抵抗力を持ちます。


私達が座ったり、立ってすごしている時は


重力に逆らっているのですが、首の骨の前弯は


重力に逆らう力を2倍にしてくれます。


ちなみに胸の骨(胸椎)にも腰の骨(腰椎)にも


弯曲があります。


首・胸・腰の3種類の背骨が協力すると


背骨全体が真っ直ぐに積み上げられた時と


比べて、10倍の重力に逆らう力が


発揮されます。


このように、首の骨の自然な前弯は効率良く


重力に逆らう姿勢をとるのにとても重要です。



・首の骨の前弯の敵=ストレートネック


今回の「睡眠トレーニング」では、


首の骨の自然な前弯を手に入れることを


目指しますが、反対に首の骨が一直線に


なってしまう、いわゆる「ストレートネック」を

避ける必要があります。


図:ストレートネック


体の位置に対して頭と首が常に前側へ


出っ張ってしまった位置にあり、この時に


首の骨は一直線に並んでしまいます。


すると、弯曲のある首の骨の状態に比べて

重力に逆らう力が半減してしまいます。さらに、

体重の約8%ほどの重さがある頭を支えようと


首や肩をはじめ、全身へ過剰な負担をかける


ことになります。


このように、いわゆる「ストレートネック」


によって、首の痛みや頭痛・肩こりなどの


体の様々な不調が生じてしまいます。



・眠っている間に首の骨の自然な前弯を作る


首の骨の前弯は日常生活で自分自身を快適に


使いこなすことを助けてくれます。


眠っている間に首の骨の並びを整えて


自然な前弯を作り、自分を快適に使いこなす


ことを目指すのですが、首の骨の並びを


整えるのには仰向け姿勢が有利です。


横向き姿勢は体を支える面が小さく、左右の


対称性を保つのが難しいため選びません。


うつ伏せ姿勢は体を支える面は大きいですが


首を左右どちらかに傾けないと安楽な状態に


なりにくく、やはり左右の対称性を保つのが


難しいため選びません。


ただし、睡眠時に横向き姿勢や、うつ伏せ


姿勢しかとれないという方がいるはずです。


睡眠時無呼吸症候群の方であったり、


背筋群にくらべて腹筋が明らかに弱いなど、


仰向け姿勢を選びにくい場合があります。


その場合は、とりやすい姿勢で眠って


頂くのが一番いいと思います。


そのようなことも踏まえた上で、今回は


背骨の並び方を整えることを目的として、


仰向け姿勢を選びます。


改めて「睡眠トレーニング」を仰向け姿勢で


行う目的を表すと、重力に逆らって姿勢を


起こす活動を省エネで行いやすくすること


です。


②首まわりの血流を良くする


・運動時と安静時に血液は体のどの部分に
 分配されているのか


運動時、心臓や血管は筋肉が要求する酸素や


栄養を十分に提供できるように働きます。


働いている筋肉の血管は広がり、他の部位の


血管は縮んで、体中の臓器ごとへ流れていく


血流の量を変化させます。


運動時には動脈を流れる血液の80~85%が


筋肉と皮膚へ、4~5%が心臓へ


3~5%が肝臓と消化器へ、3~4%が脳へ


2~4%が腎臓へ、1~2%が骨や生殖器などへ


供給されます。


一方、安静時では筋肉と皮膚へと流れる


血液は合わせて全体の20~25%です。


肝臓および消化器系へも筋肉+皮膚への量と


同様に20~25%の血液が供給されます。


腎臓へは20%、脳へは15%、


骨や生殖器などへは8~10%


心臓へは運動時と変わらず4~5%の血液が


運ばれていきます。


つまり、睡眠中は運動時と比較して筋肉


(+皮膚)へ流れる血液量が減少します。


そして、心臓以外の内臓や骨、脳へ流れる


血液量が相対的に増えます。



・睡眠時の激しい(?)運動


睡眠時には筋肉運ばれる血液の量が


減少するのですが、その状態で筋肉に力が


入りっぱなしだと、筋肉へ運ばれる酸素や


栄養が不足しやすくなり、コリや痛みが


生じやすくなります。


睡眠中は筋肉を休ませた方が良いのですが


朝起きたら「首が痛い」「腰が痛い」


「こむらがえり」で目が覚めた、など


睡眠中に激しく筋肉を使ってしまう方が


いらっしゃいます。


休むための睡眠中に、どうして激しく


筋肉を使ってしまうのでしょうか?


それは、寝ている姿勢のバランスをとるのに


筋肉をたくさん働かせなければいけないほど


効率の悪い体の使い方をしてしまっている


状態だからです。



③眠っている姿勢のバランスを必要最小限の
 筋活動で保持する



実は、横になっている姿勢にもバランスが

あります。

例えば、仰向け姿勢ひとつとっても、

これから起き上がって座るために、すぐに

動き出せる活動的な仰向け姿勢であったり

体を休めるための仰向け姿勢があります。

睡眠中の仰向け姿勢は、体を休めるための

ものですから、筋肉の活動は少ない方が

良いです。

しかし、それと同時に睡眠中の姿勢を

安定させるための筋肉の働きも必要です。

つまり、体を休めるために出来るだけ筋肉を

働かせず、なおかつ姿勢を安定させる必要

最小限の筋肉の働きを求めることが

大切です。

その絶妙なバランスをとることは、

ただ仰向け姿勢になって眠っているだけでは

難しいのです。


図:仰向け姿勢の体圧


これは仰向け姿勢で体のどの部分に

どれくらいの圧力がかかっているかを

表しています。

骨が出っ張っていて、なおかつ重さがある

部位では圧力が強くなっています。

単に仰向け姿勢でいると、体の重さが圧力と

してかかる部位と、かからない部位に

別れます。

問題は強く圧力がかかってしまっている部分

ではないんです。

圧力が全然かからないところが問題を

引き起こしてしまいます。

なぜか?

全然圧力がかかっていないところ

=床面から浮いている、ということです。

浮いている状態を保つには、その両端の間に

ある体の後面にある筋肉がブリッジ運動を

し続けているのと同じことになります。


例えば、赤くなっている後頭部から黄色〜赤に

なっている背中の間では、首を反らす筋肉が

ブリッジ運動をして、首の後面が浮いている

状態になります。

睡眠中、この状態がずっと続いたら、首に

負担がかかってしまうとは思いませんか?

もちろん、無意識に寝返りをうって横向き

姿勢などに変化することはあると思います。

しかし、睡眠中に寝返り動作をして仰向け

ではない姿勢になると、背骨の並びを整え

にくくなってしまいます。

また、仰向け姿勢でブリッジ運動している

部位が多いと、そもそも無意識に寝返りを

うつことが非常に難しくなります。

その結果、首や肩が痛くて目覚めた、という

ことが引き起こされてしまいます。



○現時点でのベストアイテムと使い方

(使い方に注意が必要なアイテムについて)


以上のことをふまえた

現時点でのベストアイテムについてです。


コジット
メイクヒップス ベーグルクッション です。


参考:楽天市場
https://a.r10.to/hl06Km


このクッションの使い方ですが、

主に片側半分を使って、首から頭の重さを

預けるという形になります。


枕のサイドの高くなっている部分を首の

下に入れて、後頭部の一番骨が出っぱって

いる部分をお尻の骨(坐骨)を当てる穴に

はめ込むイメージです。

ちなみに、枕の使い方についてなんですが、

多くの方は枕を後頭部の真下に置きます。


首の後面が枕に当たっていないわけでは

ありませんが、背中や後頭部で体重を支える

状態になり、結果的に首が浮いてしまって

いるのと同じ状態になってしまいます。

そうすると、頭と背中の間を安定させようと

する力が働きます。

その力は、首をより強く反らす+胸をお腹の

方に引き下げる、という活動を組み合わた

ものになりやすく、ブリッジ運動のように

頭から首と胸を固定させようとします。


結果として、いわゆる「ストレートネック」を

作ってしまい、首まわりだけでなく全身へ

悪影響を及ぼしてしまいます。

このブリッジ運動を睡眠中の7時間続けたら

どうなるでしょうか?

想像しただけで、疲れがとれるどころか

かえって疲れそうですし、体にとって

いいことがありません。

そうではなく、首の重さを支えるような

枕の当てかたをすることが大切です。

首の後ろ側をリラックスさせて伸長性を高め

胸を引き上げるような体の使い方を誘導する

ことで、首の骨の並びを整えて、重力に逆らい

やすい体を作る効果的なトレーニングに

なります。


どうしても自宅にあるような枕を使うなら

首の後ろ側を浮かせないように、肩まで枕を

入れて使う方がまだマシだと思います。


ただし、後頭部と背中には強く圧力がかかり、

首は空間に浮かんでいる状態になるので、

首の重さをしっかり支える枕の当てかたに

することが非常に大切です。


ちなみに、使い方に注意が必要なアイテム

についてもお話します。

それは、○ウルース○ーパーやエア○イー○、

西○のエア○などの低反発マットレスです。

これらの商品紹介では睡眠の質を良くする

的な文言を並べていますが、よく読むと

なんとなく良さそうな雰囲気を伝えている

だけで、根拠のあることは書かれていません

なんとなく快適な感じ、を求めるのは

1つの選択肢だと思います。

ただし、低反発マットレスは自分の体の

悪いクセを直さなくても、ある程度体の

負担を減らした状態で睡眠をとれるように

助けてくれます。それはつまり、一時的な

睡眠の快適さと合わせて、体の使い方の

悪いクセそのものが解決してしまったように

勘違いさせてくれる、ということを理解して

頂ければと思います。

体の問題であったり、悪いクセが解消したと

勘違いしたい人には是非オススメです。

私の意見として、低反発マットレスを使うなら、

体の悪いクセの修正、つまり今回は

ストレートネックの解消および予防のために

紹介した美尻クッションを併用することを

ご提案します。


・まとめ


「睡眠トレーニング(首編)」の方法は

(1)仰向けに寝る

(2)首の骨の自然な前弯を作る



使用アイテムは



コジット
メイクヒップス ベーグルクッション です。


参考:楽天市場
https://a.r10.to/hl06Km



私は無意識で出来る、「睡眠トレーニング」を

改めてオススメします。

理由は、人生の約1/3を占める睡眠時間を

有効活用できるからです。

ちなみに、実際に私が「睡眠トレーニング」を

9ヶ月間行って得られた効果の1つとして

憧れだった「フルマラソン完走」があります。

しかも未経験からです。

タイムは5時間半とべらぼーに遅いですが。

走る練習をしなくても、完走出来ました。


といったポジティブな副作用もあります。


最後に、これを読み終えたらすぐ仰向けになって

「睡眠トレーニング」を試してみてください。

あなたはどんなことを感じ取れますか?

もしかしたら、何も感じられない

ということもあるかもしれません。

でも、何も感じない、ということを

感じられたら、それも変化の始まりです。

仰向け姿勢が大変なあなたでも、お昼寝だったり、

ほんの少しの休憩時に行っても効果があります。


あなたの生活が「睡眠トレーニング」で


少しでも素敵になることを祈っています。



Parasite JJ

参考文献


I.A.Kapandji(荻島秀男監訳):カパンディ 関節の生理学 Ⅲ.体幹・脊柱 第1版,医歯薬出版,1986

古澤正道・高橋幸治:脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ ~基礎編~,運動と医学の出版社,2015

中村隆一・齋藤宏:基礎運動学 第5版,医歯薬出版,2000

吉年正人・他:頸椎の運動学.理学療法25巻:1085-1094,2008

安里和也:頸椎の病態運動学と理学療法.理学療法25巻:1202-1210,2008

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