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【Tottori HOPES】湯梨浜町地域おこし協力隊|池本 亜希子

Tottori HOPESは鳥取県内で活躍している地域おこし協力隊を紹介するマガジンです。鳥取県内の市町村にやってきた背景や、その人の取り組むミッション、あるいはその人自身にスポットをあて、紹介していきます。今回は、湯梨浜町地域おこし協力隊として、Jターン移住をした池本亜希子さんをご紹介します。

池本亜希子

出身:鳥取県鳥取市
属性:Jターン移住者
担当市町村:湯梨浜町
ミッション:空き家の利活用促進、移住支援

湯梨浜町は鳥取県中部にある、美しい湖と県内でも有数の温泉地がある町だ。

今回は湯梨浜町の地域おこし協力隊である、池本亜希子さんを伺った。
鳥取県鳥取市出身。大学卒業後には全国的にも有名なアパレルブランドのショップ店員として東京で働いた。

そして2020年10月に湯梨浜町の地域おこし協力隊に着任。

田舎の、特に鳥取県という、人口が少なく、休日の外出先にも悩んでしまう場所で育った人間からすると、都会での生活には少なからず憧れを抱いてしまうものだ。

だが池本さんは鳥取県に帰ってきた。理想のライフスタイルを求めて。

想定よりも早い移住

子育てと仕事のバランスが取れ、なおかつヨガインストラクターとして活動できる仕事を、池本さんは探していた。

移住とセットで考えなくてはならないことが、「就職」である。
フリーランスやリモートワークが可能な方であれば特に支障はないが、大半の方は「就職」について悩みをかかえる。
そのような場合に「地域おこし協力隊」という働き方を選択される方は意外と多い。

「本当は、鳥取県に帰るのは数年先だと考えていたんです。
移住した場合はどんな仕事があるのかを想定し、条件に合う仕事を探していた時に、鳥取県の移住コーディネーターの方から紹介されたのが湯梨浜町の地域おこし協力隊でした。 
数年先に自分が求める条件の求人があるかと言われると確実にない。
家もそう。募集のあるうちに決意を固めないと、と思い動いていきました。
だから、実際に移住するまでには4か月くらいしかかかっていないんです。」

と移住当時のことを振り返る。上京したときは鳥取に帰るのは60代くらいになってからだろうと考えていたらしいが、今となっては早いうちに帰ってきてよかったとのこと。

車の運転は年を重ねてからだと不安がつきまとう。
若いうちだと地元の友人とのつながりが残っていて、周りの人も助けてくれることが多い。そして両親も元気である。

「友人が音楽を聴きながら車でのんびり出勤する姿にすごく憧れていて、今はそれができているのも嬉しいです。(笑)」

東京の喧騒から離れ、 
時間がゆったりと流れる生活を送っていた。

『自分だったら』から始まった活動

「何から始めるかが難しかったです。
私のやりやすいようにやってくれたらいい、とは言われていたので、
『自分だったら』を考えました。」

「空き家利活用促進」「移住支援」が池本さんに与えられたミッションだったが、何をどうすればいい、というのは明確に決まっていなかった。

湯梨浜町のことを知り、相談現場を見学するのが初めの1ヵ月。
ただ、待っていても空き家の相談があるわけでもない。誰かが空き家を見つけて教えてくれるわけでもない。そこで、池本さんは『自分だったら』という視点で考えた。

「もし自分だったら、自分より若い人、もっと言えば湯梨浜に来たばっかりの人に空き家の相談をしようと思わない。
どういう人かもわからない人に家の事情なんて話したくないじゃないですか。自分のスキルを活かして、人となりを知ってもらうためのヨガ教室を企画しました。」

そして、池本さんは町民の健康増進目的でヨガ教室を始めた。
参加者に自分の存在、活動、人となりについて知ってもらうために。
この活動がきっかけで、相談会や、イベントに訪れる方が増えたとのこと。

『自分ができること』から生まれたイベント

池本さんの功績の代表格として、「Reuse Theme Park」というフリマイベントがあげられる。「リユース」をテーマに、フリーマーケット、マルシェ、空き家相談会を実施するイベントである。中には空き家からでてきたものを販売する回もあった。

周りの助言もあり「自由に不要なものを売るフリマ」ではなく、「テーマを絞ったフリマ」をすることになったのが、このイベントの始まりだ。

『自分ができること』をもとに企画を練り直し、小さい娘さんがいることからキッズアイテムにテーマを絞ったフリマを開催。
第1回目の「Reuse Theme Park」を開催することが決定した。

(Reuse Theme Park vol.1の様子↓)

この「Reuse Theme Park」は第4回まで開催されており、多くの人が訪れる。町内外からお店を呼び、各回でテーマを絞って開催した。

企画段階は1人で構想を練り、最終的にできあがるイベントは町内外色んな人とのつながりの集大成と呼べるようなイベントができあがる。

そして小さい娘さんがいる池本さんだからこそ実現できるだろう、
「親子で楽しめる」数少ないイベントとなった。

私が遊びに行った第3回では、子供たちが青空の下を走り回っているのが印象的だった。

(↑第3回「Reuse Theme Park」に遊びに行った際に書いた記事です。)

「空き家」×「フリマ」

この「空き家」×「フリマ」という視点に、池本さんの思いが込められている。

そもそも移住者は「真剣」である。元の生活を捨てて、仕事を探して、中には子育てをしながら移住される方もいる。

空き家バンクに登録されている物件の実態は、家財が残っていたり、管理が行き届いていなかったりすることがある。
空き家での暮らしをしたいと考え、移住をしてきてもすぐに住める環境が整っておらず、自己負担で家の環境を整備しなければならない、ということもあるという。

「そんな実態の中で、移住者促進や空き家の活用ができるのだろうか。」
というのが池本さんの抱く違和感だった。

誰の家も今後空き家になる可能性を秘めている。
今ある家財のすべてが必要ということはめったにないだろう。
だからこそ、フリマという機会を通してすこしずつ家財の整理をしてほしい、というのが「Reuse Theme Park」の真の目的なのだという。

池本さんの活動は、今いる人と、これから来る人の両方に働きかける、
そして繋いでいくものとなっていた。

今後のこと

湯梨浜町に定住することと移住支援に力をいれたいとのこと。

現行制度(※)を使えば、定住するために必要な資格取得に対して補助がでるとのこと。協力隊卒業後、池本さんが理想としたヨガインストラクターで生計をたてるための準備が始まっている。

『活動旅費、作業道具等の消耗品費、関係者間の調整などに要する事務的な経費、定住に向けた研修等の経費など』
この制度を使うことによって、資格取得の補助を受けることができる。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000707762.pdf:総務省HP『地域おこし協力隊について』

そして移住支援について。
「一度訪れた人が、再訪したくなるまちづくり」を目指すとのこと。
そのための今ある大きな構想は、「移住体験ツアー」である。
湯梨浜の温泉や、景観を楽しみつつ、空き家を巡り、「好きなことを仕事にしている方」を訪問する。

「湯梨浜町に住んだらこんなことが日常にある。
毎日がご褒美のような生活を送れるよ。というようなツアーがしたい(笑)」

そして9月、移住体験ツアーではないが、
思いが詰まったイベントが開催される。

池本さんは、人を巻き込み、繋ぎ、形にする。
その一部始終を見せてくれた。

★9月8日 池本さん主催のイベント「ME TIME」が開催されます。

詳細はInstagramをご覧くださいませ。