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魚釣りをはじめました

社会福祉法人鳥取こども学園の職員より、施設や子どもたちの様子をお届けさせていただきます! 今回は、乳児院 鳥取こども学園乳児部 主任 園田秀幸のコラムです!

※本記事は、「鳥取こども学園 学園だより 第49号」より転載しております。

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これまで「これ」といった趣味がなかった私ですが、コロナ禍と職場の同僚の影響もあり、魚釣り(ルアーフィッシング)を始めました。竿の準備の仕方も何が必要かも、何もわからない状態だったので、39歳の私は、一つひとつ同僚に聞いていく事が恥ずかしく、始める時にはとても勇気がいりました。やみくもに竿を振っていても釣れるものではなく、まず、魚は何を狙いたいのか?それによって、どんなルアーを使った方がよいのか?を考えます。細かいことを言えば、天候や時間帯によってもルアーを変えた方が良いようです。最近になってようやく、変なプライドと恥ずかしさを捨て、同僚や店員に相談できるようになりました。

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 さて、いざ海に向かってルアーを投げるのですが、最初は投げることもなかなか上手くいかずに大変でした。何回か練習を重ねると、思うように投げられるようになり、自分に合った投げ方もわかってきました。投げ方だけではなく、ポイントを変えながら投げたり、ルアーを変えてみて変化を持たせることも大事なようです。経験を重ねることも大切ですが、正しい知識を得ることや柔軟な思考を持つことが必要ということですね。本当に魚釣りって面白いし、奥が深いとつくづく思わされます。

 私を夢中にさせてくれる魚釣りのことを書きましたが、これは私の乳児部での業務(家族支援やケースワーク)や子育て(養育)にも通ずるものがあると思いました。子どもや家族の姿から支援の目標を持ち、支援の仕方を模索し、どんな方法があるのか情報を得る・学ぶ。悩んだ時には専門職や現場職員に話を聞いてアドバイスをもらう。実際にやってみてどうだったかを振り返り、上手くいかなければまた相談して、別の方法も試してみる。時には違った視点や角度でアクションをかけるような柔軟な思考。空振りもたくさんあるかもしれませんが、決して意味のないものはないと思います。こんな養育や家族支援をチームで、また保護者の方々、各関係機関の方たちと協力してやっていけたら最高だと思っています。


 チーム連携の大切さを実感することになった取り組みを1つ紹介します。それは、鳥取こども学園乳児部から鳥取こども学園(児童養護施設)へと生活の場を移した子どもへのアフターケアです。これまでの乳児部のアフターケアには課題がありました。例えば、“子どもの様子を聞く機会が少なく、どのタイミングでアフターケアをすればよいかわからない”、“そもそもアフターケアとは何をすることなのか…”、“担当だった職員が他の部署へ異動・退職した場合はどうするのか”などです。児童養護施設の職員も同じように、乳児部のアフターケアをどう受け入れたらいいのかと、葛藤を抱えることもあるのではないかと想像します。しかし、これまでそれぞれが抱える課題や葛藤を一緒に考えていく機会がありませんでした。子ども一人ひとりに、様々なアフターケアの持ち方があることは必要です。しかしその違いが、職員の意識や、職員間でのコミュニケーションの頻度、業務量などから生じてしまうのはどうでしょう?こういった課題は、いち職員やホームだけで抱える問題ではなく、施設として検討していかなければいけないと思います。


 昨年度、この課題に取り組むべく、ある一人の子どもへのアフターケアについて、児童養護施設のホームやブロック長と、月に1度話し合いを積み重ねてきました。乳児部からも元担当職員・ホーム長・家庭支援専門相談員(主任)が参加をし、「今、この子どもにはどんな関りがアフターケアとして必要か」を一緒に考えてきました。さらに、その内容を院内に周知し、報告・相談をすることで、院内の多職種から意見をもらい、施設全体で一人の子どものアフターケアに取り組むきっかけにしたいと考えました。この会に参加した職員は、「互いに子どもの事を思って、そんなことを考えていたんだなぁと思った」「もっと日頃から、児童養護施設の職員と乳児部の職員で交流や意見交換が必要だと思った」などの気づきがありました。大事なのは、その子にとってその時、その先、にどんなアフターケアが必要かを知り、関わっていく事。その子が乳幼児期に大切に育てられたことを乳児部がいつでも・いつまでも語ることが出来ること、なのではと思っています。この取り組みが、乳児部から生活を移す子どもたちに必要とされるよう、発展することを願っています。


 新年度がスタートしました。子どもたちの生活がさらに充実したものとなるように、そして、その中で地域支援の体制も整え、地域に貢献できるよう、鳥取こども学園乳児部は頑張っていきたいと思います。ひろーい海のような心も持って。今年度も4月から子どもたちの明るく元気な声が絶えません。子どもに負けず劣らず職員の元気で優しい声も聞こえてきます。職員がちょっとうるさすぎる時もありますが、この元気でコロナもぶっとんでいきそうです。ぼくのルアーと同じように。

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