🍃もう一度叶うなら🍂 子ども家庭支援センター「希望館」 所長 山中 八寿子
縁あって、鳥取こども学園に勤務して5年目になる。着任した時、教育棟の玄関前の花みずきの木が出迎えてくれた。春は愛らしい花を咲かせ、夏には青々と葉が茂り、秋には紅葉し、冬にはまた春への準備をしている。
法人に勤務するようになってから、自分の子ども時代の頃のことをよく思い出すようになった。田舎に育った私は、周囲に自然が沢山あり、その季節きせつの楽しみ方を知っていた。
春は、三寒四温と少しずつ暖かくなり、命が芽吹き柔らかな草花に包まれる。その中で私はれんげの花が一面に咲いている田んぼ(学校帰りの道のそばの田んぼで誰の所有か分からないが、その当時はおかまいなしに入り込んでいた。)の中で大の字になって青い空を眺めながら寝そべっていた。至福の時であった。また、れんげの赤い愛らしい花の中に白い花もありそれらを見つけては首飾りを作って楽しんでいた。
夏は、午前と午後の一日に2回、八東川で毎日と言っていいほど泳いでいた。河原で穴を掘り水たまりを作り、泳いだ後はそこで体を温め温泉気分を味わった。泳ぎながら川底の石を拾ったり、飛び込みをしたりとワクワク、ドキドキがいっぱいだった。家に帰ってからのスイカは最高だった。
秋で思い出すのは稲刈り。私が小学3年生の頃だったと思うが、兄と姉と3人で我が家の田んぼの稲を迷路のように刈って楽しんでいたところ、母が来て、我が家の田んぼは隣の窪と分かり大目玉をくらったことを思い出す。今となっては笑える楽しい思い出だ。
冬は、雪遊び。1m20cm~30cm位の高さのかまくらを作り、穴の中で、七輪で焼いたみかんをきょうだいで食べてたのを思い出す。ほっこりとした記憶だ。また、兄が竹やぶ(これは我が家)から竹を切ってきて竹ソリを作ってくれ、傾斜になっている梨の果樹園で遊んだとても楽しかった思い出がある。
おだやかな自然が私の「安心」を養ってくれたように思う。もう一度叶うなら、春の少し暖かくなった日差しの下、やわらかな風の中で、自然を感じながられんげ畑で大の字になって寝そべり1時間でも2時間でもボーとしていたい。自然の中にいるとき、世界に丸ごと受け入れられ、安心という心でいっぱいになり至福のときとなるだろう。
自然が与えてくれる安らぎや発見は、戸外でのキャンプやハイキングもしかりだが、街中でも見つけられる。アスファルトの間から顏を出している黄色い花や庭先からの甘い花の香りなど、自然の与えてくれる安らぎは街中でも見出すことができる。
れんげ畑は難しくても街中の自然で安らぎを見出していきたいと考えている。
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