#02 THE GUILD勉強会レポート「Design in Tech Report 2018 を読み解く」
THE GUILD様主催の勉強会にお邪魔してきました。
行けなかった方やデザイン業界の今後の動向が気になる方などのために、最新レポートの要点をまとめていきます。
▼今回のイベントはこんな内容
Design in Tech report を解説!
→ Design in Tech report とは、アメリカで開催されているフェスティバル SXSW (South by Southwest サウス・バイ・サウスウエスト) の一つとしてジョン・マエダ氏が発表したもの。 デザインとテクノロジー領域での第一人者として知られる彼のレポートは 世界的な注目度が高い。
▼議題となるレポートはこちら!
Design in Tech Report 2018 Translation
▼こんな人におすすめ
デザイナー、フロントエンジニア、プログラマー、ディレクター、マネージャー、経営者、UI、UX、サービスデザインに興味がある方
■デザインは3つの種類に分類できる
1.クラシカルデザイン
・従来型のものづくりを起点としたデザイン
・完璧なもの、正しいもの、造形に対する精度の高さやその追求をする
※ここでは尊敬の意味も持ってクラシカルと表現されている
2.デザイン思考
・ユーザー中心にビジネスを設計する為の思考法
・共感や個々の顧客ニーズとの関係性の中でイノベーションを起こす
※デザイン思考を組織に導入する流れが日本の各地で具体化しつつあるが、ジョン・マエダ氏のレポートから見ると5年遅れの流れ
3.コンピュテーショナルデザイン
・テクノロジーの力で強化されたデザイン
・モバイルコンピューティング、そして最新のテクノロジーパラダイムを利用するデザイン
テクノロジー業界の人々が「デザイン」について話すとき、クラシカルデザイナーとコンピュテーショナルデザイナーを一括りに扱ってしまう過ちを犯すことがよくある。前者のデザイナーが作るのは木の椅子のように少数の人が使用するものであるのに対し、コンピュテーショナルデザイナーが作るものはスマートフォンアプリのように数億人が使用する可能性のあるものだ。(引用)
■コンピュテーショナルデザイナーとは?
●テクノロジーへの理解
・コードとして再現し、さらにプログラミングをする能力がある
・実現可能不可能を理解している
●他領域のデザインを扱える
・クラシカルデザインが培ってきた豊かな歴史的資産(形やコンテンツ)を利用できる
・あるいはザイン思考で 組織をこえてリードできる
●なぜ・なんのためにそのテクノロジーが作られたか批判的に考えられる
●人工知能や新しいものを積極的に学ぶ
■比較で読み解くコンピュテーショナルデザイン
●これまでとの比較
・リーチするユーザー数 → 数十億人へ、即時配信
・定着しない。永遠にアップデートすることそのものがデザイン
・絶対性を持たず、データで証明されるものを受け入れ、検証に対してオープン
・社会科学やテクノロジーに根ざしている
クラシカルデザインという豊かな歴的資産の土壌にテクノロジーを載せてスケールさせていこうという意図がある。シフトではなく時代としての積層、どんどんオーバーラップされていくイメージ。
■デザイナーが成長のために理解すべきスキル
※ほぼ総合格闘技と化している、全部できる必要はない。むやみにすべて抑えるより、どこか自分に適したスキルを軸足に広げていくべき。
■ライティングはなぜ必要なの?
・統合的なメッセージを届けるためには統合された言語が必然
・写真は強いが受け取り手によって意味合いがぼやける
・今起きてる状態を今までにない言葉でまとめていく造語力
→自分のケースに適した独自のラベリングでプロジェクトがドライブする
・言葉がシャープに表現されていることで組織の認識が揃う
■デザインはなにをもってデザインなの?
・価値が多様化していく中でなにをもってデザインと定義するのか
・ルールメイキング・ストラクチャーメイキング
・仕組み化、ルール化、法則化、構造化など呼び方は様々
・なぜそれがそうなっているのか?を本質的に理解し、分解して再現して仕組み化してしていくことがデザイン
・再現していく方法は職能の数だけ存在する
→UIだったりwebだったり紙媒体だったり、最近はライフデザインとかマネーデザインとかいろいろ存在している
■番外編:インクルーシブデザインとは
■ユニバーサルデザインと同一視されるが、異なる
・社会的に排除されてしまっている少数側の人の為に行われるもの
・その人たちの為につくられ、拡張していくもの
・身体的障害者ではなく、社会的障害者の為に行われるもの
・社会的障害とはアフリカの極地でネットに繋がらない!とか
・外国行って言葉がわからない!とか
・人がこぼれ落ちない、弱者をセーフティネット的に救う考え方
・ビジネス的な側面だと社会的障害者はまだ市場が成熟していないのでスケールしやすい。また、『弱者に優しくする市場は儲かる!』という構図を社会的につくることによって、そこにアプローチする企業が増え、助かる人が増える
参考URL: http://i-d-sol.com/inclusivedesign/
■どういう状態がインクルーシブデザインとして最も適切なのか、あるべきゴールはどこなのかは議論の余地がありそう
・例えばすべての人に対して最適なトイレはどういう状態だろう?
・3種類用意する?(男性用、女性用、LGBT用)
→LGBTにも様々あるから一括りにするのは違うのでは?
・じゃあ5種類用意する?
→増やしたところでそこからこぼれ落ちる性の方はいるよね?
・いっそ全員を統一して1種類用意する?
→こぼれ落ちる人はいなくなるけど、それって本質的な解決につながるの?
■感想
レポートを読み解いていく中で理想論だなあと感じる部分は大きかったけれど、向かうべき先を理解することで積み上げるべきスキルが明快になっていくことは良いことだと感じました。様々なスキルや職域が存在する中で、自分の価値観に沿っていて且つバリューを発揮できる分野を見極めるのは大切なことだと感じます。
ものづくりが好き!という文脈でデザイナーになった方も、ビジネスをドライブさせる可能性を感じて機械工学や政治的文脈からデザイナーになった方も、リスペクトしあって良いものをつくっていけたらいいなと感じています。
▼本日のレポートの詳細が読みたい方はこちら
Design in Tech Report 2018 Translation
読んでくださってありがとうございました!
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