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はじめて湯治に行く

はじめて骨折する⑭

『そっちは熱いでしょう』

湯船に浸かると
先に入っていたおじさんにそう言われました。

言われると熱いかもしれない。
2つある湯船は温度が違う様です。

『熱いの好きなヒトもいるからね。』

こんな感じでトークが始まりました。

骨折した足が回復してきて
なんとなく捻挫してる感じがあるので
温泉にでも入れば、
少しは良くなるんじゃないかな?

と、山奥の温泉に来ました。

同じ湯船に浸かる他のお客さんと
話する事になったら
きちんと返答する。

温泉は好きで良く行くので
そんな風にしています。

ケガしたから温泉に行ってみるか
という感じで来るのはこれまでなかったなぁ。

はじめての湯治です。

『良くここには来るの?』

私は初めてです。

話を聞くと、おじさんは、
かれこれ40〜50回は来ているそうです。

『昔、この辺りに湯治場があって、
農閑期に農家さんとかも集まってたんだけどね。』

今、この温泉は、
隣の宿と2軒しかないですが、
体を休めるのにヒトが集まる
良い湯治場だったそうです。

ケガをして温泉にでも
と、
いきさつを話しました。

『そういった怪我に良く効くそうだよ。』

温泉の効能って
他のヒトに言われると
効きそうに思うので不思議です。

おじさんは、
奥さんが重い病を患って
少しでも良くなればと
ふたりで通っていたそうです。

車椅子でしか移動できなくなって
車椅子でも不自由なく過ごせる温泉を探して、
そこに代わって行ったんだとか。

その奥さんも3年くらい前に他界されて、
久しぶりにこの宿に来たそうです。

そうなんですか。

少し重い感じの話ですが、
なんとなく聞けるのが
風呂のコミュニティなんでしょうか。

もしかしたら、
今ここでしか会う事ないから
言いたい話
聞いて貰いたい話
が言えるのかもしれないです。

聞き手も
この場限り
という感じで話を聞けるのかもしれないです。

知らないヒトに話を聞いてもらう
のは、最近のデジタル環境と
同じ様にも感じますが、
顔が見えるところが違います。

私は一般人なので、
たまたま出会った同じ湯船に浸かるヒト
とやり取りするくらいが
ちょうど良いです。

記憶に残って
記録に残らない。
そんな話くらいが。

何度も温泉入って休憩して、、、
結構ゆっくり出来ました。
ご飯も美味しかったし。

帰り道、
おじさんが言う様に『効く温泉』
だったんだなぁ。

ちょっとカラダに「きてる」、、。

と、感じる反面
足の怪我なので
『足湯で良かった』
んじゃないかな、、。
とカラダを労る自分がいました。


初めてやった事:湯治に行く

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