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犬養 稲文 〈Inukai Tōmi〉 (旧 石さまざま)
2024年11月10日 11:02
しかしながら、戦場を走り抜ける兵士たちを横切る弾幕の嵐は土くれにあたり、塹壕の手前で堰き止められ鈍い音をさせながら、あるいは金属の甲高い音の所為で負傷者の疵口に障る。血が垂れると自分の肌から滴っていく感覚が分かる。やがてぽたぽたと地面に落ちてったとき、すでに溜まりができていて水面にふれると正確無比な王冠状を模型して、幾らか王冠の先が自分に還りたがっている。疵口は熱をもち、まるで炎が燃えているみたい