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自由歌集 

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金星の位置 自由歌集

金星の位置 自由歌集

宵の明星も桔槹のやうオレンジモノレール

ゆくみちはハタハタと蜻蛉のゆくみち夏未明

夏曉の勇魚のごとく遅くして潺湲たるこの大栗川

水鞠落ちる音いのち跳ぶ音

あらぬものはあらぬ幽けきものはこの心像に

曩の嬰児して母殺むるこころ翠雨のまにまに九月来る

首しなう雑魚を食みたる水鳥も岸辺一面打ち靡く艸

この羽根は毎秒何回転涼しさよ然らば金星木星みな回るもの

雨乞いや龍をいずこと知らざりといみ

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はじまりの詩 自由歌集

はじまりの詩 自由歌集

みろよ撓むる蝶々の寂滅のひかり

擦硝子にはて嘴うつる響きかな

けふもまた春うらら鳥たちよ

思へば思ふほど時過ぐるは空の青きかな

敗北の銀が泣いてる詰将棋

間合いの大山将棋金固める

たんぽぽしか分からぬ野草午前に金銀揺れぬ

立春の頃をば寒くし東風や大栗川の夏留鴨いかなりけむ

流るるみゆ大栗川の白銀鳥の脚おくれて模様をつけき

梅雨は訪れたのではないか春驟雨

子等は行き子等よ憎きと思

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