フィンランド留学記#10 アドベントカレンダーへの執念
フィンランドのクリスマスは早く始まる。11月頃からスーパーには joulukalenteri (ヨウルカレンタリ)が並び、街はクリスマスムードになる。joulukalenteriとは、英語圏ではアドベントカレンダーと呼ばれる、24個の小窓があるカレンダーのこと。12月1日からクリスマスまで、チョコレートの入った小窓を毎日1つずつ空けていくというもの。
2015年11月、優柔不断なわたしは、買い物の度にどのjoulukalenteriを買うか吟味していた。わたしがお気に入りのカレンダーを見つける前に、12月に入った途端、joulukalenteriはスーパーから姿を消した。もうデザインにこだわる余裕はない、なんでもいいからフィンランドでjoulukalenteriを開けていく12月を過ごしたい。そういった、もはや執念のようなものにとりつかれて、joulukalenteriを探し続けたわたしが12月3日、スーパーでjoulukalenteriはあるかと聞いたところ、
"You are too late." (あなたは遅すぎた)
と店員のお兄さんにあわれまれた。そのとき、joulukalenteriを買うことはもう無理だと悟り、優柔不断な自分を心底恨んだ…。
それでもわたしは、フィンランドでjoulukalenteriを開けるという願望を捨てきれず、 そのとき親密だったフィンランド人Eに、彼の家にあるjoulukalenteriを開けさせてほしいと頼んだ。意地っ張りなわたしもわたしだが、EもEで、「お気に入りのjoulukalenteriは絶対自分で開ける、開けたあとのチョコは食べて良いけど」という姿勢を崩さなかった。joulukalenteriのありきたりな味のチョコを食べながら、わたしはリベンジを誓い、帰国後にIKEAでアドベントカレンダーを買った。
フィンランドでは叶わなかった夢を、こうして日本で叶えた。ところが、アドベントカレンダーを買ったら買ったで、毎日1つずつ欠かさず小窓を開けるなんてまめなことはわたしにはできず、時々思い出して小窓を開けては、ありきたりな味のチョコをまとめて食べるという過ごし方をしてしまったのでした。何はともあれ、joulukalenteriを買いたいあなたはお早めに。