フィンランド留学記#11 サバイバルフィンランド語で生き残る
「フィンランド語はuselessだよ。世界で500万人しか話さない言語なんだから」と、フィンランド人の友人に言われたことがある。
「英語力をつけるために留学に来たのだから、英語に専念する」と言って、フィンランド語をまったく勉強しなかった日本人の友人もいる。
わたしはというと、留学中にフィンランド語の授業を数科目とっただけの、まさに「サバイバルフィンランド語」スピーカーだ。挨拶や、カフェで注文するくらいのことはできるけれど、友達が何を話しているのかはほとんどわからない。幼稚園でインターンをしたときも、3才児にボキャブラリーで負けていた。
わたしのフィンランド語はそのくらいのレベルだったけれど、留学生活中、幾度かの危機を救ってくれた。今回は、そのうちの1つをご紹介。。
ヘルシンキで若者にからまれた、東京でもからまれたことないのに
ヘルシンキに旅行していたとき、わたしは夜行バスまでの時間をつぶすため、バーガーチェーンに居座っていた。
ハンバーガーを食べながら携帯を見ていたら、突然フィンランド人の青年がわたしの机の前に立ちはだかって、「~~~~ヌメロ!!」と怒った調子でまくし立てた。
最初はなにが起こったのかわからず、体が硬直したけれど、ヌメロ=numero=数字だということは知っていたので、レシートをぴらりと見せると青年は去っていった。
フィンランドのバーガーチェーンのトイレには、ナンバーロックがかかっていることが多い。トイレの利用者をお店のお客さんに限るため、ナンバーロックの解除コードは座席近くに掲示されていたり、レシートに記載されていたりする。
青年は何らかの事情で、すごくトイレにいきたくて、ハンバーガーを買う余裕もなく、わたしに解除コードを聞いてきたのだろうと思う。「フィンランド語わかりません」としらばっくれることもできたけれど、numeroという1単語を知っていたおかげで、青年もわたしも救われた。
フィンランド語を少しでも話せたおかげで、街中の看板の意味がわかったり、安心して買い物ができたり、フィンランド人とより気持ちが通じたり、嬉しかったことはたくさんある。でも、損した、勉強しなければよかったと思ったときは1度もない。
フィンランド語は、uselessじゃなかったよ。