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イギリスのテレビの中の多様性

イギリスのテレビを見ていてふと、気づいたことがある。それは、さまざまな番組において、とても自然な形で、出演者の多様性が担保されていることだ。わたしが「自然な形だ」と思うのは、例えば障害者や性的マイノリティの人々が、「マイノリティであること」を理由に、その部分が注目されてテレビに出演しているのではないことにある。

彼らが、ごく当たり前に社会で生活しているのと同じように、ごく当たり前にテレビというメディアに参加しているのが素敵だと思うし、日本のテレビの中でいかに彼らが可視化されていなかったか、あるいは出演するときは「障害者として」「おねえキャラとして」…マイノリティとしてのキャラクターを背負って出演していたかを実感する。

今回は、たくさんあるイギリスのテレビ番組の中から、わたしのお気に入りかつ、多様な出演者が登場する番組を2つ紹介したいと思う。

① ダンス番組 “Strictly come dancing”

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画像:BBC One

ダンス未経験の芸能人とプロダンサーがペアを組み、毎週ダンスを披露して優勝ペアを決めていくイギリスの人気番組。毎年秋から冬にかけて、土日の夜に放送している。2019年度の番組には、卓球のパラリンピック選手であるWill Bayleyがダンサーとして出演していた。彼は多発性関節拘縮を持っていて、手の動きを使った振り付けができないなどのバリアはあるものの、他の出演者と同様に、力強い踊りを毎週披露していた。結果、ファイナルには届かないものの番組中盤まで勝ち残っていた。

24時間テレビなどの番組で散見されるように「障害がある『のに』こんなにダンスを頑張っている!」と、障害の部分が特段注目されるわけではなく、また、「障害が全くないかのように振る舞う」のでもない。番組の中でも、彼の障害からくる困難や幼少期のエピソードに触れながらも、他の出演者と同等に、フェアに、ダンスで競い合っていた。限られた練習期間の中、毎週上達していく彼の踊りに、他の出演者の踊りに、わたしは勇気をもらった。

② クイズ番組 “Supermarket sweep”

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画像:ITV2

一般視聴者が2人組で参加するクイズ番組。セットがスーパーマーケットを模していて、見ていて楽しい。毎回3組の一般視聴者が参加するのだが、友人同士、姉妹、異性のカップルなどの組み合わせと一緒に、ほぼ必ず同性カップルが1組登場している。番組の冒頭で、司会者が各ペアのなれそめを聞くのだが、とくに異性カップルか同性カップルかという部分はフォーカスされずに、「2人はどこで出会ったの?」と聞き、出演者が「大学だよ」「インターネットだよ」などと答え、クイズ本編に移っていく。司会者のRylanもゲイ男性で、男性の配偶者がいるが、その部分も番組の中でとくに強調されることはない。

テレビに多様な人々が登場することは、「多様性を尊重しよう」というメッセージになる

わたしたちの社会には、疑問の余地なく、多様な人々が住んでいる。性別、年齢、人種、障害の有無、さまざまな角度で、さまざまに違う人たちがともに暮らしているのは明らかである。それなのに、テレビというメディアが一部の人だけで構成されているのは、少し不健康なことだと感じる。社会と同じように、テレビにさまざまな人が登場することは、自然で心地よいことだと思うし、「社会には多様な人々が暮らしている」「多様性を尊重することは大切なことである」というメッセージになっていると思う。

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miyuki
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