マガジンのカバー画像

miyukichoの読んだ本

3
運営しているクリエイター

記事一覧

有吉佐和子『悪女について』によせて

有吉佐和子『悪女について』によせて

Good girls go to heaven, bad girls go everywhere. (いい子は天国に行ける、でも悪女はどこへでも行ける)。わたしの好きな名言のひとつで、『悪女について』を読んだあと頭に浮かんできた言葉だ。

この本の主人公は、突如謎の死を遂げ、さまざまな憶測とスキャンダルが飛び交う、美しき女実業家・富小路公子。彼女を知る27人の語りから、彼女の人生と死の真相が少しず

もっとみる
吉本ばなな『哀しい予感』によせて

吉本ばなな『哀しい予感』によせて

高校生の頃から、私はよしもとばななさんの本が好きで、とくに「キッチン」と「哀しい予感」は何度か読み返してきた、お気に入りの本だ。今回、帰省の新幹線道中のおともに、久しぶりに「哀しい予感」を手に取った。

以前、読んだときの記憶はすでに曖昧で、残っていた印象は「主人公がおばさんの家に住む話。そして、かっこいい男の子が出てくる話」だということ。そのイメージを持ちながら、読み始めた。

次第に、主人公よ

もっとみる
岡崎京子『私は貴兄のオモチャなの』によせて

岡崎京子『私は貴兄のオモチャなの』によせて

帯にあるコピー「愛と暴力」そのものだ、この本は。初めて読んだときは、その惨さと狂気にちょっと引いてしまったけれど、次第に、その「惨さ」や「狂気」の延長線上に自分もいるのだと気がつく。

空知くんほどじゃなくても、自分を好きと言ってくれる人をときにぞんざいに扱ってしまう残酷さや、みかちゃんほどじゃなくても、自分を傷つける人ほど好きになって追いかけてしまったりする愚かさを、わたしは持っている。

そし

もっとみる