【自己紹介】 介助犬を同行する歩行障がい者としての生きづらさ
つらいこと、悲しいことをなるべく外部に書かないようにしてきました。しかし、それでは何も解決しないことが続いてきました。なので、書くようにしようと思います。
私は、基本的にポジティブで一見なんの病気もないように見えますが、気分障がいのカテゴリに入る(双極性障がい)等級2級の精神障がい者手帳持ちです。昼間にアップテンションになることはなく、基本的にはローテンションで安定しています(うつ病だと10年ほど誤診されていたほどです)。70代のベテラン医師が「こんなにローでフラットな患者は診たことがない」と断言するくらいですから、とても安定しているのでしょう。夜間、就寝中だけアップテンションになり、コノヤロー!と叫んだり虚空を殴ったり蹴ったりする状況がここ数年ありました。
おととしはじめごろでしたかね、過労を原因とする心臓病があることが発覚し、昨年2月、激しい心筋痛を起こして2mのスパンを転落し、後背部を激しく打ち付けました。過労の話は別に書きましょう。
救急車で搬送され、5本ある腰骨のうち4本が折れていること、これが神経を切断したか痛めつけているかで、歩けなくなる覚悟をしてくださいと言われました。このときも非常にフラットな気持ちで聞いていたことを覚えています。それからリハビリや柔軟、ヨガなどを経て掴まるところがあれば5m程度は歩けるようになりました。もちろん、腰部から下に麻痺や筋力の低下があるので、ふつうに歩けるわけではありません。ふだんは車椅子で生活しています。
介助犬との出会い
昨年4月に偶然、今の私の車椅子介助犬である3歳の甲斐犬と出会いました。離乳後すぐにケージに入れられ、そのまま3年間生きてきた仔でした。犬好きの方なら、昨年1月に大きなニュースとなった、元ブリーダーによる約170頭の甲斐犬(一部は柴犬)多頭飼育崩壊事件を覚えているかも知れません。この仔はその中の1頭です。人とふれあうことの喜びも分かっておらず、なでられてもどうしてなでられているのかという顔でこちらを見てくるような状態でした。
長い間考えたのですが、介助犬としての基本的な適性は持ち合わせており(これは日本犬では非常に珍しいことです)、ただ、日本には車椅子介助犬を専門とする訓練施設がほぼありません。つてを頼り、シンガポールの動物愛護団体の所属トレーナーが訓練してくれることになりました。
そうして我が家へは昨年10月に迎え入れることができました。このとき、ヴィルヘルム(ウィル)と名付けたこの仔は、まだ尻尾を振ることもできませんでした。犬が尻尾を振るのは、人間が喜ぶからそうしているだけであるという研究結果が最近出まして、まさにそれを知らないから尻尾を振らないという状態でした。
とても長い時間を掛けて遊び、嫌いな散歩も日常行動とは別に行い、少しずつ伴侶である自覚を付けさせました。今は朝は主人が起きた途端に遊んでアピールが始まり、30分くらいは離れません。13kg近い全体重で遊びにかかってくるので主人側が引っくり返ってしまうことすらあります。膝に乗るのをとても好み、乗っているときはまるで自分が小型犬かのような顔をしていますが、中・大型犬のサイズがあります(甲斐犬としては大柄です)。ふだんもほぼ主人の足下で過ごしています。最近ようやく、アピールしたいときに尻尾を振ることを覚えました。
車椅子介助犬とは何ぞや
ほじょ犬マークの対象に入る介助犬は盲導犬を筆頭に多数の種類がありますが、車椅子介助犬はその中ではもっともマイナーな存在だと思います。
主には、車椅子利用者が歩行する必要があるときその介添えをする(背中に手をつかれても座ってしまわないよう訓練されている)、トイレでの介助(支える、転倒を防止するなど)、拾ってといわれたものを拾う、信号機の警告などですが、他の介助犬のように来訪者を吠えて知らせたりもします。また、車椅子は時速3kmも出ず、たった高さ2cmの縁石すら超えられない程度の補装具ですので(車椅子は道交法的には歩行者です)、これを適度な力で引っ張って力添えしたり、逆に後方へ引っ張って止めようとしたりもします。
盲導犬のようにパイプでできたリードでは我々が車いすを操作できなくなってしまうので、ショートリードと呼ばれる50cm程度の短い革製のリードを使います。首のチェーンカラーと胴回りのハーネスの2点で繋いでいます。ハーネスに介助犬であることを表示するほか、介助犬の証書なども持ち歩いています。
介助犬は犬種が特に決まっていないので(例外として、盲導犬だけは各都道府県の盲導犬協会がレトリーバ種を指定している)、適性があればチワワなどでも介助犬であることがあります。
なお、介助犬は世界で通用することになっており、シンガポールで登録を受けた我が家のウィルの犬種は「ジャパニーズ・シェパード・ドッグ(甲斐犬)」というような感じの書かれ方をしています。
介助犬を連れていると様々な誤解を受けることがありますが、最大の事案があったのでこれも別の記事で書こうと思います。
私としては本当は皆さんのほんの少しの助けがほしいのです。
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