川崎記念チュウワウィザード

2020川崎記念観戦記

2020年のJpnⅠの始まりとなる川崎記念当日は前日の冷たい雨が嘘のように、ぽかぽか陽気となった。
川崎記念は一昨年ケイティブレイブが制した時以来であるが、「美人過ぎる騎手」ミカエル・ミシェル騎手の参戦のせいか、やや人が多いように感じた。
実際美人なのだが、騎手にあまり興味はなく、当日4レースの騎乗馬で初勝利を挙げるだろうなと思ってはいたが、9レース頃の現地着となった。

あくまで僕の楽しみは川崎記念である。
今年はミューチャリー、ヒカリオーソと昨年の南関クラシックで鎬を削った2頭が参戦してくれた。
特にミューチャリーは鎌倉記念の圧倒的な走りに魅せられた推し馬である。
昨秋はセントライト記念に参戦し惨敗後、準重賞を1回使っただけと若干鬱憤の溜まる感じもあり、休み明けとは言え、得意の湿った馬場で中央馬相手に一泡吹かせてくれないかと楽しみにしていた。

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10レースが終わる。
最近はパドック撮影はスルーしがちで、川崎自慢のパドックビジョンからパドックを観る。
ミューチャリーもヒカリも悪くはない。
しかし1頭の馬が映ると、隣の男性が「なんだあれ。すごい筋肉だな。」と声が上がった。
映し出されたのはチュウワウィザード。
昨年頭からメキメキと頭角を現し始め、JBCクラシックではオメガパフュームを下しJpnⅠ勝ち馬となった。たしかに漆黒の馬体は映像越しにわかるほどの充実の気配を帯びていた。やはり相手はこいつか。

レースが近くなり、後ろの大学生のグループがきた。
どうも聞き耳を立てるとグループの1名はミューチャリーのファンらしく、本命のようだ。たいていこの手の若いグループの会話では「JRA>>>>地方馬」という図式なので、謎に感心してしまった。

地方生え抜きの馬が中央馬を下す光景というのは、なにとも言えない感動がある。
僕はアジュディミツオーの帝王賞でその感動を知った。
そして、時を経てカメラも持ち、現地で競馬を観るようになった僕に、改めてヒガシウィルウィンがその感動を教えてくれた。
願わくば後ろの彼が、その感動をこの川崎記念で味わうことができたらいいなと思いながら、発走時刻を迎えた。

スタートが切られ、場内がどよめいた。
爆発的な末脚が武器のミューチャリーが2番手につけたのだ。
勝負に出たなと思った。
着を狙うなら後ろからいけばいい。それだけのことは容易にできる馬だ。
しかし、勝ちに行くならこれだと御神本騎手は判断したのだろう。

3コーナーケイティブレイブの手ごたえが怪しくなった。
入れ替わるようにミューチャリーが先頭に立つ。
併せてチュウワウィザードが持ったまま上がってくる。
並走したまま最後の直線へ。
後ろの彼が「行けっ!ミューチャリー!」と歓声を上げた。

川崎記念チュウワウィザード

しかし無常なことにチュウワウィザードは強かった。
たやすくミューチャリーをあしらうと、後続をぐんぐん引き離し6馬身差の圧勝であった。
充実期に入ったのは間違いないが、それにしても強かった。
地方馬ファンとしては、新たな高い壁の誕生に頭が痛い。

2着には後方から末脚を伸ばしたヒカリオーソが入った。
完敗ではあったが、地方所属のフリオーソ産駒がJpnⅠで2着に入ったのである。
この馬も夢がある馬だと改めて思った。

ミューチャリーは最後力尽き4着だった。休み明け、初めての先行策であったことを考えると、悪くはない結果だと思う。
勝ちに行った競馬は今後の糧に必ずなるだろう。
モジアナフレイバー、ヒカリオーソと共に、かしわ記念、帝王賞で引き続き中央馬に挑んでほしい。

川崎記念ミューチャリー

気付くと後ろの大学生?グループはいなくなっていた。
今日は残念だったが、いつかミューチャリーが彼に最高の景色を見せてくれるだろう。

その時まで地方競馬に変わらぬご愛顧を。

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