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中上級者向けのポッドキャスト編集を教えます

トトトトトーキョーはおかげさまで配信開始から1年になりました。ポッドキャスト編集も配信を重ねるごとに改善されています。過去に公開したポッドキャスト編集の投稿が多くの方に読んでいただけています。一方、ソフトウェアの更新もあり、今ではその当時の編集方法は古いものとなってしまいました。詳細な設定は「企業秘密」ですが、基本的な編集方法をあらためてご紹介します。使用しているプラグインもご紹介します。


まずは最低限の「素材」を

ポッドキャストを料理に例えると、編集は「調理」、音源は「素材」です。調理の腕だけでお客さんに提供するレベルまで持っていくことは可能でしょうが、やはり素材は良いに越したことはありませんよね。

編集の作業を効率的にするためにも、収録した「素材」には注意を払いたいです。その素材がある程度の質だということを踏まえた上で、次からの編集作業について話していきましょう。

下処理→DAW→ラウドネス

トトトトトーキョーの音源編集の順番は以下の通りです。

  1. 音源のゲイン調整とノイズ処理

  2. DAWソフトで編集

  3. ラウドネスの調整

これから順番に紹介します。

ゲイン調整とノイズ処理

トトトトトーキョーはヤマネとミヤモトによるトーク番組です。編集する音源は ①ヤマネのマイク音源 ②ミヤモトのマイク音源 の二つです。

レコーダー「ZOOM F3」で二人の声を個別に収録しています。32bit float の wavファイルです。各自の音源を izotope社の RX11(スタンダード版)でゲイン調整とノイズ処理を行います。

収録した素材の音波形が小さい場合はゲインを持ち上げます。次に「音かぶり」を処理するため De-bleed を使います。De-bleed 処理は、収録環境が良く、残響の少ないデッドな環境で収録している場合は不要です。この処理でホワイトノイズもある程度は除去されます。強くかけすぎると声の成分を壊してしまうので、強くかけすぎないように注意してください。

RX11の Dialogue Isolate で リバーブ成分とノイズ成分を除去します。ここでも強くかけすぎないことをおすすめします。

次にMouth De-click でリップノイズを除去します。この処理はDAW上でさしてもかまいません。最後に、RX11上で Waves社のVocal Rider を呼び出していわゆる「手コンプ」の処理をします。ここも過度な処理に注意です。

下処理は以上です。32bit float の wavファイルで書き出してください。

DAWでの編集

DAWソフトは Adobe Auditionを使用しています。ヤマネとミヤモトの各自トラックにチャンネルストリップ系のプラグインをさします。主目的はノイズゲートなので、ノイズゲート単体のプラグインでもかまいません。後段にEQをさします。チャンネルストリップのEQでかまいません。ここでのEQはローカット、必要に応じて高域成分をブーストします。

バストラックでコンプなど

ヤマネとミヤモトのトラックは、いったんバストラックにまとめます。ここではコンプレッサーやリミッターで音量をならし、バランス調整します。リバーブとノイズの成分がまだ気になるようなら、追加の調整を行います。ディエッサーと最終的なEQも行います。

オープニングとエンディングのBGMを別トラックで追加し、ミックストラックにビンテージ感を出すプラグインを「隠し味」程度にさしてDAW作業は完了です。wavファイルで書き出してください。

ラウドネスの調整

ラウドネス値はトゥルーピークが -1db ~ -2db範囲で、LUFS(LKFS)が -14 ~ -16 範囲をおすすめします。RX11の Loudness Controlで調整します。

MP3に圧縮して書き出します。編集作業は以上です。

おすすめ初級者向けプラグイン

ご紹介した編集は、中上級者レベルです。鬼門のコンプレッサーだと「アタック」「リリース」「レシオ」など、初級者にとって難しい専門用語を理解した上で、落とし所を調整するにはトレーニングが必要です。以下、初級者でも使いやすいプラグインをご紹介します。

L1 ウルトラマキシマイザー

コンプレッサーは敷居が高いので、マキシマイザーでコンプレッサーとリミッターの処理を兼ねるのも良いでしょう。Wavesの「L1 Ultramaximizer」は操作もシンプルで、簡単に音圧を上げることできておすすめです。

VUメーター

初級者の多くが「トゥルーピークメーター」で音量を確認しています。VUメーターで確認するクセをつけておきたいです。ただし、一人語りのポッドキャストの場合は不要です。二人以上の場合、VUメーターの方が聴感に近いので音量のバランス調整がはかどると思います。

リバーブやノイズの処理

RX11でのリバーブやノイズの処理も慣れが必要です。以下のプラグインは細かな設定が不要です。簡単に対応したいなら選択肢に入ると思います。

DAWデフォルトのエフェクト

コンプレッサーやEQはDAWソフトにデフォルトで用意されているエフェクターでも可能です。まずデフォルトの機能を使ってみて、必要に応じて有料のプラグインを検討してみてください。

ソフト購入はセール期間中に

プラグインは頻繁にセールをしています。セール期間に購入することをおすすめします。6〜8割引、場合によっては9割引というケースもあります。できるだけ賢く、無駄のないお買い物をおすすめします。

ポッドキャストの編集は、二人以上のオフライン収録になると難易度が急に上がります。その主な原因が「音かぶり」と「音量差」です。オンライン収録なら音かぶりしないので大丈夫ですが、オフライン収録ならではのドライブ感は損なわれると思っています。

難易度は上がりますが、ぜひ挑戦して見てください。

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