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「インターネットと子どもたち〜知識の限界と経験の可能性〜」セミナーレポート

昨年になりますが、杉浦 一徳博士(慶應義塾大学 大学院メディアデザイン研究科教授)が講師をしてくださった子育てセミナーに参加しました。
演題は、「インターネットと子どもたち〜知識の限界と経験の可能性〜」。

このセミナーに参加する際、主婦友達から「行きたいけど子供が熱を出して参加できない(泣...)どんなお話だったのか教えてほしい」と言われ、
セミナー参加中にメモをとった内容をテキストファイルにまとめて共有したらとても喜ばれました。

きっと世の中の多くのママたちも、インターネットが子供に与える影響について気になっていたり、親としてどう介入すれば良いのか知りたいのではないかと思います。
(我が家は3歳と5歳の子供がおりますが、小さい子供がいるとセミナーに同伴させて騒いでしまったら周りの迷惑になるのではと遠慮したり、急な体調不良で参加を断念したりと、子育て中ママ世代のセミナー参加はなかなかハードルが高いものです。。)

セミナーに参加して親としての気持ちが楽になった!

思い切って子連れで参加したら、下記のように意識が変わり、気持ちが楽になりました。
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▼セミナー参加前
・「なるべく子供にインターネットをさせない方がよい」と思っていた。
・家事などで手が離せない時に子供にYou Tubeを見せている自分に罪悪感があった。

▼セミナー参加後
・「子供に経験をさせない」のではなく「親自身がまず経験して、判断する。やってみる」ことの大事さに気づいた。
・今では子供と一緒にスマホゲーム「妖怪ウォッチぷにぷに」でネット上の友達になり、助け合いながら敵を倒したりと新しい形のコミュニケーションをとれるようになり親子共々楽しんでいる。
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罪悪感を持ちながら、子供にインターネットを使わせている親世代もいるかと思います。そんな方達に、ぜひ先生のセミナー内容を知って欲しいと思い、ここに書きます。
(快くブログ掲載への許可をくださった杉浦先生に心より感謝いたします)

「インターネットと子どもたち〜知識の限界と経験の可能性〜」セミナー内容(概要)

下記が、私がセミナー参加中のメモから書き起こした概要となります。

なかなかセミナーに参加できないけれど、インターネットが子供に与える影響について関心がある方や、親としてどう子供にインターネットに触れさせて良いのか不安がある方、このセミナーに本当は行きたかった!という方に読んで頂けると嬉しいです。
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・演題:「インターネットと子どもたち〜知識の限界と経験の可能性〜」
・講師: 杉浦一徳 博士(慶應義塾大学 大学院メディアデザイン研究科教授)
・開催日時:2019年9月19日

【はじめに】
インターネットは加害者にも被害者にもなりうる世界。
でも素晴らしいコンテンツがたくさん存在する。

【インターネットを利用するにあたって一読してほしいもの】
「インターネットの安全・安心ハンドブック」(講師である杉浦先生の後輩が携わっているもの)https://www.nisc.go.jp/security-site/handbook/index.html
▼PDF資料
https://www.nisc.go.jp/security-site/files/handbook-all.pdf

インターネットの本質は難しく、情報が正しいかどうか検証する必要がある。この検証がとても重要。

【大人(親としての経験)VSこどもたち(子供達の素晴らしさ)】
・「すべからく経験しながら」吸収していく子供達
・インターネットは古くから存在していたものではないため、むしろ親の方が経験不足な部分もある
・親も経験してみないとわからない

インターネットのナビ、メール、情報検索、SNS、動画配信サービスなどは、昔はパソコンを利用していた機能だが、現在ではスマホで利用できる。でもスマホで利用できるようになったのは比較的最近(iphoneは2007年6月、Androidは2008年9月から。10年ちょっとで世界を変化させている)

⇨このため、親世代である私たちがインターネットの機能の全てを経験&理解しているわけではない。

【「スマホ放置ママ」に関するお話】
2016年の調査では、
「子供に自分のスマホで遊ばせたことがある親の割合」...63.3%
「子供にスマホで遊ばせることはよくないと思っている親の割合」...76.3%
⇨背景として、「子育てを手抜きしているんじゃないか」という世間からの妬みVS「この時代子育ては大変なのよ!」という親世代の思いがある。

でも子供にスマホを見せることは手抜きではない。親と子供にとってWin-Winな関係が成立しているし、親としての本質的な察知は機能している(はず)
★一方で親側のインターネットの機能に関するリテラシーに左右されてしまう★⇦ここ重要

【親側が、インターネットの機能に触れて経験することが重要】
時代が変われど、子供が時間を忘れて楽しむものは常に存在する(セーラームーン、本、漫画、ゲームボーイ、たまごっちetc.)が、比較的新しいものであるインターネットに対して不安要素があるのも事実。(何でも共有できてしまう怖さ、無知による誤作動など)
しかしこれら不安要素はインターネットの仕組みを知ることで解消できる。
(例えばSNSの持つ意味について考える。SNSは情報を特定のグループないし全体に共有するためのツール。電子メール等とはまた違った役割がある。誰に向けた情報を発信するツールかを理解した上で利用する必要がある)

【人々とネットワークの関係】
 1988...実世界での活動
 1998...実世界との接続
 2008...ネットワークへの接続
 2018...ネットワークと生活する
★2028...ネットワークと一体化した世界(ネットワークが世界と融合した世界)

世界のネットワーク利用者は下記の通り拡大し続けている。
 ・2006...約3億人(全人口の約6%)
 ・2017...約38億人(全人口の約51.7%)
 (2019年6月時点で約44億人)

インターネットは国境という概念を消し去る程のものである(例:今日本にいながらにして、ワシントンの交通状況を簡単に調べることができる)インターネットは自由な世界を創造している素晴らしいものである。

【承認欲求の怖さ】
「自分ってこんなにたくさんの人から承認されている...」という思い込みには怖さがある。SNSを積極的に利用する人と必要最低限しか利用しない人とでは、考え方も行動も全然違うところがある。またSNSを利用することによるリスクは例えば下記のようなものがある。
・LINE依存症
・デマを信じてしまう
・SNSに消費している時間

【最後に】
自由な世界には責任も伴う。自己の責任とリテラシーがあってこそ、インターネットの持つ自由な世界を楽しむことができる。国や企業のせいにせず(他人事にせず)、私たち自身がインターネットの特性・機能を知り、リテラシーを持ってインターネットを利用することが大切。

こどもがインターネットを利用するにあたっては、まず親がインターネットを理解すべき。ゲーム、SNS、ガチャ、課金アプリ(ガチャや課金アプリは深くハマりすぎないよう注意)など色々あるが、まずは親である私たちが経験してみることで理解ができ、それによってじっくりとこどもの状況を観察して見守る余裕が生まれる。
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以上となります。

お読みくださってありがとうございました!

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