普段の学びも感じてもらって、安心してもらえるように(5・了)
グループでの感想の伝えあいが終わると、後半は、全体での共有タイムに入っていく。
前半に、少人数のグループでお互いの感想を伝えあっているため、
後半の活動に対しても、子ども達はリラックスした心持ちで臨むことが出来ている。
そして、その雰囲気はそのまま保護者の皆さんにも伝わっていく。
そうした中でのでの、他グループの子達への感想の他己紹介。
これが自己紹介でないところがまた、素晴らしかった。
「Mくんは、○○○○の詩が、一番気に入ったそうです。そのわけは、詩の中で、同じ言葉が何回も繰り返し出てくるのが、だんだん面白くなっていったからだそうです。」
話を聞いていたグループの友達について、聞いていた側が良かったと思う相手の感想を紹介する。
それによって、発表している子も、発表で紹介されている子も、それぞれにみんなに見せ場ができる。
また、紹介がグループで話し合った中の一人と言う事で、
一緒に話を聞いていたほかの子達も、自分たちが発表しているかのように、
うん、うん、と頷きながら発表している子の活動を後支えする。
その様子が、グループごとに伝わって、全体に朗らかん空気が広がる。
そうすると、保護者の、子どもの発表へ集中して耳を傾ける気持ちも上がっていく。
そうして全体での共有が、保護者も子どもも一緒に学習に参加しているような状況になっていく。
保護者の視線は、前半は我が子に向いていたものが、我が子のクラスメートにも向くようになり、
学級全体が、なるほど楽しく、リラックスした雰囲気で活動できているのだなと言う事が伝わっていく。
そんな朗らかな雰囲気で後半の活動はあっという間に流れて、
最初の授業参観は、無事に終わった。
授業参観が終わると、異動してきた先生はPTA総会で顔合わせがあるので、
僕は姉さんに一言よろしくお願いしますを言って、体育館に向った。
挨拶と顔合わせが済むと、その後に学級懇談会だ。
ぱたぱたと小走りで、教室に戻ると、そこには15人ほどのおうちの方が、
学級懇談会に参加するために、戻ってきてくださっていた。
授業参観の後、PTA総会などを挟んで、子ども達も放課した後に、
これだけの人数の方が残ってくださっているのは初めてだったので、
僕は驚きながら、改めてご挨拶をする。
「今年、お子様をお預かりします、担任のととろんです。今日のご参観と、懇談会へのご出席ありがとうございます。ご覧頂いたように、子ども達は毎日、楽しく、仲良く学校生活を送っています。もちろん、もめごともありますが、その都度よく話に耳を傾けてくれて考えてくれるので、その時その時自分たちで解決しながら、5年生になっての人間関係も、子どもたちなりに築いていっているようです。そんな子ども達の楽しく伸びていく姿を見守りながら、皆さんのお子様の子育てにこの一年間、少しでも役に立てればと思って取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いします。」
おうちの方たちへ挨拶を言い終えると、そこからは、今日の学習参観の感想を尋ねていった。
おうちの方は、感想が言いたいという雰囲気だったので。
どのかたからも、良い感想を頂けて、ほっとして聞いていると、
ある方が、涙ぐみながら、「安心できました。一年間よろしくお願いします。」と、話した。
その方の言葉に、おうちの方が、うんうんと頷く。
最初の学習参観で、保護者の方に一番届けたかったものが、ちゃんと届けられてよかった。
僕は、ほっとした気持ちでお礼を伝えた。