月曜日はカンニングお話。
朝はバタついてもうこんな時間。
週末はイベントお疲れ様でした。屋外で最高のロケーションでたくさんのブルワリーが参加してて、ブルワリー同士のコミニケーションにも配慮されたすごいイベントが終わりました。
イベント終わりにそのまま車で名古屋まで戻り、ハロウィンで仮装した人達と警察の人達もがたくさんいる中を足早に帰りました。何事もなく帰る事ができました。
僕らにとっても非日常でかけがえのない2日間でした。そしてまた今日からブルワリー業務を再開です。
毎週月曜日は基本的にパッケージです。カンニング→ケギング。前日もしくは前の金曜日にガスボリュームをターゲットまで調整して、月曜の朝最終確認と必要なら微調整を行なってスタートです。
僕らはWild Gooseのカンニングマシーンを使用していて概ね3〜4人でオペレーションしています。
缶を流す:1人
フロー等を調整する:1人
パッケージ後の缶の内容量を確認する:1or2人
僕らのビールは現状ではほとんどHazy IPAかSour IPAで比較的泡が立ちづらいスタイルであります。これがPilsnerやWest Coast IPAなどだと少し難易度が上がります。
とはいえスタイルに限らず全てのビールはそれぞれ違うので毎回調整をしてカンニングを行います。
いくつかキーになる事があります。
まずはビールの温度です。もちろん温度が高いと泡は立ちやすくなります。大体-0.5あたりまで下げます。タンク時での温度とカンニングマシーンまで液体が到達時の温度も変化する可能性があるのでマシーンに到達した時の温度が大切です。
炭酸ガス圧もかなり重要です。僕らはアントンパール社が出すC-box(かなり高額)というマシーンを使います。これにより正確な炭酸ガス圧を把握する事ができたり、ビール内に含まれる溶存酸素を正確に測る事が出来ます。
溶存酸素値が高い場合にはビールの劣化を早めます。
缶を開けた時にアロマやフレーバーがないとか、変色するリスクがある為にとても注意が必要です。樽の場合であればそのリスクは缶より低いです。酸素に触れる箇所が少ないです。
しかしカンニングとなると空気に触れるので取り込んでしまいます。またビールをタンクから別のタンクに移動したりする時もこのリスクは上がります。なのでうちはあまりしません。
特にホッピーなビールには注意が必要です。
パッケージはとてもとてと重要です。
僕らの作るビールのゴールはお客さんが口にしたその先にあったりします。しかし僕らがケアできるビールの品質はパッケージのその日までで、そこから先は追う事ができないです。
なのでここで必要なのはただ一つです。
「お金」です。
設備と技術はセットです。どんなに技術があっても溶存酸素は測れないです。
もちろんながら僕らなんてお金もなく、それがブルワリー立ち上げまでに約4年間もかかった最大の要因です。今の銀行のシステムでは急激な事業のスケールアップを許してくれません。コツコツ時間をかけて石橋を叩きながら歩く経営を求められます。でも事僕らの業界ですらたったの1年や2年で構図が変わるぐらいスピード感のある時代です。
明日やろうと布団に入って起きたら世界が変わってるぐらい。石橋叩きながら歩いてたらその石橋がどんどん伸びてて歩いても歩いても辿り着かない。そんな世界です。
しかし残念ながらそれが現実です。
僕らも上で説明したC-boxを注文した時にはお金ありませんでした。ただ聞いたらオーダーから納品まで2ヶ月、納品から支払いが1ヶ月と言う事で結果3ヶ月あったので注文してから必死に資金調達をしました。(もうあんな事できません)
とにかく品質を担保するには設備投資が必要なのです。
今や800を超えた日本のブルワリーはまだまだ増えそうです。日本酒の酒蔵は逆に1200まで少なくなっていて、近い将来ブルワリーが酒蔵を抜くんじゃないかって勢いです。
僕らもそんな速度感のこの世界で振り落とされないように頑張ります。