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#212 “2番目”の名曲に光を

2位じゃダメなんですか?

最近特に、昔の名曲を取り上げる特番が多い気がしています。昭和、平成、令和に分けてランク付けたり、「夏うた」等のテーマを決めて時代ごとの名曲を振り返ったり。このような懐メロを振り返る音楽番組は、多くの人にとって青春の記憶を呼び覚ます存在だと思います。当時一世を風靡したアーティストたちの代表曲が流れてくると、「あの頃」を思い出して胸が熱くなるのは誰しもあるんじゃないでしょうか。

しかしです。私はこうした番組を見るといつも感じる不満があるんです。それは番組で紹介される曲が、そのアーティストの“一番売れた曲”に限られることが多くないでしょうか?ということ。

たしかにその曲が時代を象徴し、多くの人々に愛された名曲であることに疑いの余地はないです。一番ヒットした曲が一番知名度があるのも分かります。しかし、アーティストたちが残したのはそれだけではありません。むしろ、一番のヒット曲の陰に隠れた“2番目”の名曲にもっとスポットライトを当てていただけないでしょうかと思うわけです。

私は学生時代、LINDBERGというバンドが大好きでした。このLINDBERGが懐メロ番組で取り上げられると、彼らの代表曲として必ず名前が挙がるのは『今すぐKiss Me』です。キャッチーなメロディとエネルギッシュなパフォーマンスで、1990年を代表するヒット曲として語り継がれています。いわゆるトレンディドラマの主題歌だったこともあり、映像と一緒に流しやすいというのもあるでしょう。しかし、LINDBERGの魅力的な歌ははそれだけではないはず!!『BELIEVE IN LOVE』や『ROUGH DIAMOND』、『LITTLE WING ~Spirit of LINDBERG~』、『Over The Top』などなど、選びきれないほどの名曲があるんです。

しかし、現在の懐メロ番組では、こうした“2番目以降”の名曲が取り上げられることはほとんどありません。これは非常にもったいない!。一番売れた曲ばかりが流れることで、そのアーティストの魅力が見過ごされ、新しいファン層に広がる機会を失ってないでしょうか。言い過ぎかな?

LINDBERGだけではありませんよね。たとえばダ・カーポなら『野に咲く花のように』だけじゃなく『空からこぼれたStory』も、KANなら『愛は勝つ』だけじゃなく『言えずのI Love You』とか。渡辺美里なら『My Revolution』だけじゃなく『卒業』とか『夏が来た』とか。C.C.Bなら『Romanticが止まらない』だけじゃなく『ないものねだりのI Want You』とかね。

それらを踏まえて、ここで提案したいのが、あえて“2番目”の名曲に焦点を当てた音楽番組はできないかということ。アーティストの代表曲以外のヒット曲や、ファンの間で人気が高いけれどランキングには載らなかった隠れた名曲に光を当てるんです。リンドバーグであれば、『今すぐKiss Me』ではなく、『BELIEVE IN LOVE』を流し、その楽曲が当時どのように受け入れられたのか、ファンの声や背景エピソードを交えて紹介する。いやそんな紹介すら無くてもいいかも。2時間特番で様々なアーティストの2番目以降の曲を次々流すくらいで全然かまいません。

音楽は記憶を呼び覚ますだけでなく、新しい感動を提供する力を持っています。“2番目”の名曲に光を当てる番組が実現すれば、懐メロ文化に新たな価値を生み出すはず。

こんないい曲があったのかと、若者たちにtiktok等の動画でバズる曲が、そんな懐かしい曲群から出てくるかもしれません。

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イトウタカオ
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