1.17
その時、夜行列車に乗っていた。
遠距離恋愛をしていて、会いに行った帰り。
名古屋方面へ向かう大垣夜行は、静岡県から愛知県に入り、豊橋をすぎた頃だったと思う。
突然駅ではないところで電車が止まった。
何が起きたんだろうと思っていたら、放送が流れた。
関西で大きな地震があり、その影響で運転を見合わせていると。
関西で地震が起きて、愛知県で電車が止まる?
そんなことある?
そんな大きな地震が起きた?
情報を得られないまま、電車は動き始め、名古屋を過ぎて最寄駅で降りることができた。
その後、当時通っていた学校へ向かい、級友と話す。
関西で大きな地震があったって。
神戸だって。
死者も出てるらしい。
朝のニュースでは38人って。
この辺も揺れたね。
その後、ニュースで知る災害の実情。
どんどん増える死傷者の数。
倒壊した高架。
煙を上げて燃える町。
連絡したいけれどできない友人。
避難所の寒そうな様子。
被災した当時に子どもだった人たちが、今大人になり、救助や支援をする仕事に就いた人も。
あの時抱いた無力感。
絶望と希望。
サバイバルできる知識と技術と知恵を身につけること。
いざという時に困らぬよう準備をすることと、同時に、最悪の事態が起きたとしても、それはそれとして受け入れられる心の準備もしておきたい。
「地震は信に大変に候。
野僧草庵は何事もなく、親類中死人もなくめでたく存じ候。
うちつけに死なば死なずに永らえて かかる憂きめを見るがわびしさ
しかし災難に遭う時節には災難に遭うがよく候
死ぬ時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるる妙法にて候
かしこ 良寛」
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