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ボルダリングに挑戦したら自分で決めつけてた枠が取っ払えた話


昔、ボルダリングの初心者教室みたいなのに行ったことがある。中々楽しかったけど、その頃すでに集中することが難しくなっていた私は全力では楽しめなくて、もう一度挑戦したいとずっと思っていたのを、この度ようやく実行した。


受付けで初心者であることを伝えると、簡単に説明をしてくれた。何段階もレベル分けされていて、まずは一番簡単なコースから登ってみた。

えっやばい

もう、高いところにいるってだけで、怖い。

いや、まじで。

年々高いところが駄目になって来てる。子どもの頃は木登り好きだったくらいなのに。

登ったはものの、高いだけでこんなに怖い。どうする?続ける?いやここまで来たんだからやるだろ!?自分を叱咤して次のコースに移った。とりあえず一番優しいコースは登りきることが出来て、高さにはちょっと慣れた。よしよし次のコースに移りますかね…


なんか、いきなり難しいんだが?????


えっ、全然出来る気がしない。こういうのって、「登れる!」っていう根拠をなきイメージを持って取り組むのが大事だと思うんだけど、そんなポジティブなイメージが全然出来ない。
どう…のぼ…れ…と…?ハァ???

もうやんなって来た。粉ないから手痛いし。一番優しいコースは登れたことは登れたけど、ひとりで淡々と登ってもたいして楽しくなかったな…え〜………

脳内でぐじぐじしてると指導員が様子を身に来てくれた。ニコニコと「どうですか〜?」というので、どうもこうも登れる気がしないですとそのまま伝えた。「これなんかどうすればいいんですか?」とひとつのコースを指すと、実践しながら解説してくれた。


「まず、ここまでは登れますよね。で、このままじゃ手が届かないので、足をクロスさせて下さい。」とか訳の分からないことを言う。

絶対出来ないよ!なんだその動き!!

「えぇ〜〜、………。」と怖気づく私を見て指導員は「大丈夫です! “絶対に、落ちないぞ〜〜〜!“って思いながらクロスさせて下さい!」とか言う。無茶言うな。念じるだけで落ちない訳ないだろ。

でも、挑戦せずに終わらせるのは絶対に嫌だったので、やってみることにした。絶対に、出来ないと思った。片足になった瞬間にズルっと滑って落ちるだけならまだしも、出っ張ってるホールドにぶつかって痛い思いをするんだ。痛いのやだぁ〜〜〜と思いながら、言われた通りに “絶対に、落ちないぞ〜〜〜!” と念じて足をクロスさせた。

出来た。

なんか、もう呆気なく出来た。

あとは何も考えずにグイグイっと上に登って終わった。

下に降りてから自分がやったことに呆気に取られた。30秒前まで絶対に無理だと思ったことが出来てしまった。出来た瞬間、パッと視界が拓けた。頭の後頭部からグワッと認識出来る範囲が広がった感覚。視界だけじゃない、ずっと使ってなかった脳が起きたような、思考の仕方や癖すら俯瞰出来るような、視野が拡がる感覚。

大袈裟に聞こえるだろうけど、自分の可能性を信じられた。自分で勝手に「私が出来るのはここまで。」と思い込んでいた枠が、一瞬で消えた。


小、中学生の頃までは、きっとこういう経験を日常的にしていたんだろう。自転車に乗れたとか、逆上がりが出来たとか。大人になってから、身体を使って体感的に自分の可能性を信じられる瞬間って、そうそうないのだ、ということに気がついた。

えっ出来た。
私、やれば出来るんだ…。出来ちゃうんだ…。手が痛かったけど、今の感覚を忘れないうちに同じコースを登った。身体に叩き込まなければと思った。でも、叩き込むどころか、二度目からはあっさり登れてしまって、むしろ今まで何を出来ないと思っていたのか、もう分からない。

それからは指導員がいなくても次々とコースを攻略出来た。出来なかったのが嘘みたいに。もっと登りたいけど、手が痛い…今日はもう止めておこうか、と思っていたら、20歳前後の女の子が声を掛けてくれた。「手痛くないですか?よかったら、粉使ってください!」え〜優しい!ありがとう。その後も、気遣ってくれて、登るのを見て貰ってアドバイスを貰ったりしていた。そしたら常連さんらしき人も加わって教えてくれて、またひとつ、難解だと思っていたコースを登り切ることが出来た。

人に助けられて、また課題をクリア出来た。

人に助けられることなんて、日常からたくさんたくさんあるのに、足元が不安定で身体がどう動けばいいか分からないという肉体的に不安定な状況で貰ったアドバイスって、なんか凄かった。身体中で「助けられた!」と感じた。

自分の身体の限界だと思っていた枠を破る経験と、人に助けられるという経験を、筋肉を使って、身体全身で感じた。

あまりにも小さな、細やかな一歩だけど、こうやって小さな「出来ること」を、身体に刻んでいくことを、ずっと続けたいなと思った。ボルダリングが難しくなったら水泳とか、なんでもいいから。出来なかったことが、出来るようになることを肉体で感じることの尊さを、ボルダリングが教えてくれた。大人こそこういう経験をした方がいい。身体で、肉体で、全身で感じる経験。

その後は2日後に筋肉痛になり、腕もパンパンになったので変な筋肉がついて腕太くなったら嫌だな…と行けていない。多分、本来は足と肩甲骨を使って登らなきゃ行けないのに、腕と握力を使ってるからパンパンになるんだろうな〜と素人分析してる。ヨガで姿勢を整えながら、無理なくヨチヨチ通おうかな。


大人のみんなたち〜〜〜身体使うと楽しいぞ〜〜〜!

貴重な経験したよってお話しでした。まる。

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