すべての道はロメオに通ず
(アルファロメオの巻 その2)
たとえアルファロメオの工場を見学することがあってもローマには通じていません。
どちらかといえばミラノです。
ミラノがあるのはイタリア何州かわかる人!はーい。
いま地球上で約6千万人が手を上げましたね。
そら、イタリアの人口やないかい!
そうイタリア人なら(多分)誰でも知っているであろうその答えは、
ロンバルディア州
みなさん、これでアルファ(ALFA)が何を意味するかピンと来ましたね。
そう!ALFAのLはロンバルディアのL
答えはロンバルディア自動車製造会社です。
ではロメオは?これは国営会社であったALFAを買収したニコラ・ロメオ氏の名前をつけてます。
ここでロメオにまつわる、“男のロマン“でも”秋の味覚マロン“でもなく、
ロマンチックな情報を一つ
アルファロメオ史上最高のヒットモデル、ジュリアの名前の由来です。
アルファロメオはジュリエッタという1300㏄の小型車をつくったんですね。それは昔々の1950年代のことなのですが。なぜジュリエッタかというと、
アルファ・ロメオのロメオ(ROMEO)はイタリア語(まさにローマ字読み。あっ!やっぱりローマに通じてた!)です。
でも英語の発音では、ロミオ!
そうロミオとジュリエットなんです。
だから車の名前がジュリエッタ(Jiulietta)。
ロミオおじさんが恋した車というわけです。(たぶん)
そして1960年代になって作ったのが1600㏄の車でジュリア(Jiulia)。
イタリア語単語の語尾のettaは指小辞と言って、ちっちゃいものを表します。
JiuliettaはちっちゃいJiulia、すなわちJiuliaの妹ということなのですが、後から発売した車格が大きい車を、
『実はJiuliettaにはお姉ちゃんがいたのです。』
という設定でJiuliaとしたわけです。
リカちゃん(そうリカちゃん人形こと香山リカさんです)には実は姉のリエちゃんがいたんです。のパターンといえば誰でもわかりますね。
さて小ネタはこのくらいにして、今回のお話、はっじまっりまーす。
南からの刺客
社会人1年生たるもの、そりゃあ車が欲しくなるでしょう。
そして立派なミーハー人間なら、外車なども視野に入れて『特選外車情報Summit』などの中古車情報誌で情報収集を始めます。
そうするといやでも目に入るのが、赤いアルファロメオ ジュリアです。
しかし古い!1960年代
高い!状態が良いものなら最低金額が250万円
普通に無理でしょう。
そこで目を付けたのがアルファスッド。スットコドッコイではありません。
スッドはイタリア語で南。ミラノよりもずっと南のナポリに新しくできたアルファロメオのナポリ工場で生産されたモデルです。
色は赤ではなく黒でしたが、結構渋い感じです。
これを扱っていたのが、京都の車屋さん。
で行ってみました。前もって電話もせずにふらっとです。
(実は電話苦手でして)
すると。売約済。
でもアルファスッドなら別のがあるよ。乗ってみる?
いやいや、ほぼペーパードライバーなのにいきなり左ハンドル、マニュアルシフト車に乗せますか?いやいやいやいや
…で乗ってみました。
結果は、細い路地の交差点でエンスト。
いやシフトチェンジはできたんですよ。なんとか。
問題は重ステ! パワーステアリングのないハンドルなのですが、これは教習所では経験できません。交差点を右左折する低速で重いのなんのって。
ハンドルを切ることができずに交差点を曲がり切れなかったのです。
車屋さん『えー、車乗ったことないの?』
普通外車の重ステ乗りませんよね?
あるいは最初の車として外車を買いに来るのが無謀な行為なのか?
(そうかも、そうかも)
おーもーステにー、負けたー♪ いいえ、世間にー負けたー♪
もう車を買うのはやめて退散です。
なにも重ステがいやだったとか、恥ずかしくていたたまれなかったわけではありません。
アルファスッドでもタイプによって少しデザインが異なっており、
色も微妙なグリーンだったと思います。かっこよくない!
引き上げ際に、ジュリアが店先に置いてあったので、
『やっぱ、かっこいいですね!』
というと、こんなの買うより155のほうがよっぽどいいよ!
との店員さんの一言!
すみません155ってよく知らないんです。時報?天気予報?
六甲の白い雷さま
結局店員さんおすすめの155の研究もせず、その時はアルファロメオを中古で買うのはあきらめ、1994年に別の大阪の中古車屋さんでプジョー205(フランス車)を買いました。
しかもドイツのドレスアップメーカー(たしかサムラースポーツ)がバリバリの無理無理でブリスターフェンダーをくっつけた205GTI ITSⅢ。
この車は、やはり重ステですが、アルファ(のたった一度の試乗)で慣れた私はもう、尻込みしません。
小型できびきび!峠を走れば、運転して楽しい車なんですが、
故障ぶりが尋常ではない、
漏れない液はなく、切れないケーブルはないという故障王。
冷却水、エンジンオイル、ブレーキオイル、ガソリンと一通りもれましたね。
そしてクラッチケーブルが切れてシフトチェンジできず、道路の真ん中で止まること2回。これは辛かった。
マニュアルシフト車で変速するときはクラッチペダルを踏んでクラッチを切る(Disengage)のですが、今の車はクラッチペダルからクラッチまで力を伝えるのは油圧が普通です。
(というかほぼオートマ車でクラッチペダルがないのが普通なのですが)。
でもプジョー205は自転車のブレーキみたいにケーブルワイヤーで踏力を伝えるのです。
そして自転車のブレーキワイヤーも時々切れます(Cut)が、やっぱり自動車のワイヤーも切れるんです。
というか完全に切れる前にロープみたいな撚りがほどけて伸びる。
するとクラッチペダルを踏んでも、もうクラッチが切れません、
切れると切れないんです。
こうなるとシフトチェンジができません。
あと更に困ることはクラッチが繋がったまま車が止まると、
…エンジンも止まります。
これで公道を走るのはもう無理筋なのですが、手がないわけではない。
クラッチワイヤー切れ時の走行レシピ(一人前)
・車が止まるとエンジンもStop。100g
・エンジンが止まっているときはシフトチェンジ出来るので、
止まっているうちに1速に入れる 50g
・そのままエンジンをかけるとセルモーターの力で車が前に少し進みながら
エンジンがかかる。 50㏄
・クラッチを切らなくてもシフトアップは可能。
(アクセルを戻すタイミングにあわせてエイって感じで
シフトアップすればよい) 適量
・シフトダウンは無理。 フランスシャラン産使用
・そしてまた止まるときにはエンジン停止。 3分氷水で冷やします。
これを繰り返せばなんとか進むことはできます。
ただしこのやり方の終焉は。というと
セルモーターの使い過ぎによるバッテリー上がりですね。
私はこれでレッカー車を呼びました。
見かねた同期入社の垢抜けた男が、半分呆れながら、
『(こんな車じゃあ普通に旅行だのなんだのには行けないだろうから)
もうお前は、六甲峠でも走りこんで、『六甲の白い稲妻』とでも呼ばれるしかないな!』と言いました。それなんかカッコいい‼
しかし基本安全運転の私はせいぜい『六甲の白い雷さま』でした。
(実は買ったときからDevilマフラーというバリバリと超うるさいマフラーが取り付けられていたのです。)
A155作戦スタート!
そんな車なんで、さすがに一生は乗れない!
と修理してるんだか、乗ってるんだか、騒音をまき散らしているのだか
わからない間にも次期購入車の研究をすることに。
そして懲りずにまた外車探し。
でも、アルファ155は私の選択肢にはなかった。実は最初からリストに載っていなかった。(サイクロン風に)。
なぜならば、この人写真映りが悪いんですもの。
(トップガンマーヴェリックで一躍有名になったF/A-18と同様です)。
でもアルファロメオに乗ってみたいなという気持ちはずっとあって、中古車情報誌でアルファロメオ特集があると必ず買っていたのですが、
具体的な購入車種が定まっていなかった。
そんな悶々とした日々に終止符を打ったのが、大阪輸入車ショー。
あれは1995年の暮れくらいだっただろうか?
展示エリアを徘徊してやっと見つけた、こじんまりとしたアルファロメオのブースに展示してあったアルファ155の実車を見て一目惚れ!
その瞬間に絶対これを買おうと決めましたね。
実車からもうオーラが立ち上っており、他車を寄せ付けぬほどの
かっこよさ。(個人の感想です)
それから始める貯金作戦
(外車を買うのであればローンは許されぬ。と謎の自戒を立て倹約の日々。)
1996年1月から開始したA155作戦(これはもうわかりやすく、アルファ155の意味なのですが)はU300作戦、KZT234作戦、CC作戦の3作戦から成り立っておりました。
U300 作戦は質素倹約
KZT234作戦は仕事に精を出すことによる収入アップ
そしてCC作戦は精神面の準備
ということなのですが、詳しくは本棚にそっと入れていたルーズリーフのファイルに残っていた当時26歳だった自分という他人の直筆作戦書をご覧ください。
(さすがにCC作戦なんてノート見るまで忘れてたな)
今見ると、うっわ!超はずかしいわ!なのですが、改めてタイプアップするのも憚られるので写真アップしときます。
そうして時は過ぎ、そろそろ目標金額に到達しようとする頃、
アルファ155V6 の限定バージョンが発売されるとの情報が!!
Speed Lineの白いホイール。RECAROのシート、Zenderのエアロ
それからクワドリフォリオとアルファ紋章のデカール
ただしコストを抑えるためか、後部座席の窓ガラスの上げ下げが
ハンドル手回し式に!
当然通常バージョンは全席パワーウインドウ。
さすがにアルファでも馬鹿にしてはいけないよ。
これは26年前でも、なかなかあり得ない豪快な決断。
うーん、目標金額に15万円程度の上乗せが必要ですが、発売時期までには溜まるはず。
これを買うことに闘志を燃やしA155作戦ラストスパート。
そして資金は貯まった!いざ出動
『時間です。』
『トトム君 通帳中(じゅう)のお金、あなたに預けるわ』
『はい』
デンデ デーン デデーン
あーっと!今まで息も絶え絶えでなんとか話の展開について来てきていただいていた方が、ここの展開にはまったく付いてこれず、虚ろな目をしている確率100%!
(貞本義行新世紀エヴァンゲリオン3巻 ヤシマ作戦のくだりより一部引用です。)
そしてアルファ・ロメオ編はあと1回くらい続くでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?