シュペルターと歩む15年記 #1
2004年8月から製作着手し、2019年4月完成ということで約15年間かかってやっと形になったボークス ファイブスターストーリーズのモータヘッド、シュペルターK.O.Gのガレージキット。
どうしてこんなにかかったのか?
ガレージキット4作目にして、無謀にも大改造を試みた、というのもありますが、製作期間中に人生の転機となるようないろいろな出来事もあって、年単位での製作中断もありました。
その15年にわたる製作記を製作ノートと写真、それから時にはキット製作とは関係ない出来事の回想なども交えながら、振り返ってみたいと思います。
ファイブスターストーリーズとは
アニメ雑誌『New Type』に連載される天才永野護氏の漫画。
タイトルは『ファイブスター物語』、もしくは『The Five Star Stories』ですが、このnoteでは『ファイブスターストーリーズ』と表記します。
連載開始は1986年4月号で幾度かの休載をはさみながらも今も連載中。
というか永野氏によって設定されているジョーカー太陽星団年表の4割程度までしか進んでいない。
物語の完結を目にするためには永野先生の長寿と繁栄を願うばかり。
いやここまで来たら自分の長寿も必要か?
最初から読んでみたい方!ニュータイプ100%コミックスでコミックス化されています。
第1巻の初版は1987年5月21日で、私が21年前に入手したのが第64刷という怪物コミックス、現在第16巻まで出ています。
そしてなんと!13巻より、登場する(過去にも登場した)すべてのロボットのデザインと名称が一新されるというおそらく古今東西例のない試みがなされている。その理由は?
作者ご自身が元のデザインに飽きたから…だそうです。
まだお話の内容を紹介していないのですが、とてつもなくカッコよいロボットが登場して戦うということ以外には、私の理解は及ばす!
未だ誰と誰が、何のために戦っているのかも、よくわかってはいない状態。
そこで紹介はコミックス第1巻の帯にお譲りいたします。
ボークスガレージキットについて
ボークスは1972年に京都のプラモデルショップとして創業
私も中学生の時、当時地元では手に入らないイタリアエッシー社製の戦車のプラモデルを通販で購入しました。
ファイブスターストーリズに関しては、前期のモーターヘッド(ガンダムで言えばモビルスーツに相当するロボットの総称)、そのデザインを一新した後期のゴティックメード(GTM)、ファティマやヘッドライナーも立体化しています。
主なサイズは1/100(20㎝前後)ですが、一部に全高60㎝に及ぶ巨大キット1/35シリーズあり。
1/100の中でも、関節にポリパーツを仕込み可動を実現したMM(Mechanical Moving)、派手なポーズのSSS(Super Spirits Series)、細部の表現にこだわったHSGK(High Spec Garage Kit)やSAV(Solid Art Version)などのシリーズがあります。
私の製作ノートについて
毎日の製作過程をメモしたノート(noteではありません、ルーズリーフ式の正真正銘 ”紙”のノートです)
そういえば中学生の時からプラモデルを作る時に製作過程を簡単なメモにしていたような記憶がありますが、2002年に初めてバッシュ・ザ・ブラックナイトのガレージキットを作った際に、作り方の右も左もわからず、参考になる製作方法や気になるプラモ雑誌の作例、塗装色のアイデアなどをメモしたのが始まり。
製作の計画、記録に使っていますが、製作の計画は塗装バリエーション案や改造のデザイン、記録は日々の作業内容や使った工具、塗装色など。
この製作記録が一番役に立つのは意外にも同じキットの製作中です。
なにせ作業に時間がかかるし同じ部分ばっかり作業していると飽きてくるので、時々作業の内容を変え(例えば足の作業を途中までやって、いったん腕の作業に移るなど)、また続きに戻る時にどこまでやっていたか確認することで作業漏れをなくしたりできます。
また腕や足など右と左が1対ある場合には、同じ作業を2回やる必要があり、これってどの工具で加工したんだっけ?とか確認して使う工具による仕上がりの差をなくすことができます。
塗装でいえば装甲の裏や関節の細部など微妙に違う色を塗って、変化をつけるとき、どこをどの色で塗ったのかを見返しながら、変化をつけつつも統一感を損なわないようにすることができます。
なおシュペルターではこの製作ノートはルーズリーフ48枚にもなりました。見返すところから開始ですので、製作ノートからnoteへの変換はどれだけかかるんだろうか?ちょっと想像つかないです。
ガレキ放浪の旅の始まり
シュペルターは2002年に買った2つ目のガレージキットでした。
最初に買ったものはSAVバッシュ・ザ・ブラックナイトでガレキ初心者でもかっこよく仕上げることができました。
これに気を良くして、プラモ雑誌に載っている小さな白黒の写真だけで、これ!めっちゃカッコいい‼と衝動的にボークス通販にTEL。
(電話が苦手なのに!ですよ。)
シュペルターには3種類の仕様があるのですが、それも知らぬまま
電話にて『ウォータードラゴンでよろしいですか』と聞かれ、
反射的に『はい!』と答えて当家に来ることになったもの。
ウォータードラゴンは最初にシュペルターを操縦した剣聖デイモス・ハイアラキ師の仕様。漫画本編に出てくるのは2代目ダグラス・カイエン仕様。です。
ちゃんと現金を用意して代引きでの受け取りをクリア。
箱を開けるとMM(Mechanical Moving:ガレージキットだけど関節にポリキャップ入ってて可動式)でした。(それも知らずに買っていたのです)
ちょっと組み立てがややこしそうなので、着手を躊躇しているうちに、
2作目はSAVのパトラクシェミラージュ、3作目は同じくSAVのアウゲ
と固定ポーズ勢が続くことに。
これまでの3作はどれも関節固定ですが、恰好の良いシュッとした立ち姿をさせるためには、組み立てながら各部品の接続角度を微妙に調整する必要があり、結構神経を使うことを改めて実感。
MMのシュペルターは、組立てさえすれば、後でポーズがつけられるのでこの点は楽かな?と4作目に選んだわけです。
製作前に大阪にあるボークス店舗のショーケースで完成品を陳列しているのを見ましたが、写真でみたイメージ通りでかっこよい。
ただし白いパール塗装は重厚感が不足しているように感じ、塗装は工夫する必要があるなと思いつつ、細部塗装用にと、なかなか巷では売っていないハンブロールのエナメル塗料を買い、帰途につく。
設定画と比べても、かなり忠実に再現できていると思います。
さすがボークスさん 手堅い。
がっ!しかし!
これで4作目ということで、仮組み段階で、ボークスの(当時の)最新作から選んで作った、既に飾り棚に収まっている諸先輩方と並べてみると。
んんん?
最新設定に従いヒールアップした足長おじさん達に比べて足短かっ!
(あえてスラっとした女の子骨格のAUGEとは比べていません)。
そうです永野氏はモーターヘッドからゴティックメードに大変更する前にも、ちょっとずつモーターヘッドのデザインを変更しており、最初は鳥の足を後ろに向けたような足が、最新設定ではみんなピンヒールのお姉さんバリにヒールアップされ、みんな足長なのです。
というか小さっ!
本当はシュペルターの方が設定どおりの体高なのですが、ボークス新作はやたらとオーバースケール気味。
写真に若干のパースが付いているとはいえ、パトラクシェでかすぎでしょう。
あと股関節ちゃっちいの、もろ見えちゃってます。
よく見るとその他の関節も、今レベル(といっても2004年)では耐えられない(涙)
これは何とかしなければ… そしてあれこれ悩むうちに年が明け、2005年。ていうか、もう5月5日! (何してたんだろう)
何をしていたか?と言われると(言われたのではなく自分で言ったのですが)何を隠そう、2004年9月に結婚したのでした。
幽体離脱していた心を日常生活に戻しましょう!
モーターヘッド製作で目指すのものはといえば、
おじさんならば誰もが憧れる
『お金持ちの館のエントランスに騎士の鎧がずらっと並んでいる』
イメージ!
時々鎧の中に人が潜んでいて、主人公を襲ったりするやつ!
(あれ?タマシイが日常生活に戻ってくれない!)
ですので、統一感が大切。そうだ改造だ!
そして丁度その頃、運の良い(悪い?)事に、設定画集のスモークウォール発売。
問題はこれですな。コレ!モーターヘッド内部構造図。
確かシュペルターはK.O.G.(Knight Of Gold)でアマテラスのツインエンジン式モーターヘッドの初号機だけど、ラキシスのK.O.GやLEDミラージュのようなパイルド・カウンター・ティシュー(反発性積層腱肉といって薄板状のバネを積層させ電圧の負荷に応じて伸縮する特殊なアクチュエータという設定)は搭載していないはず。
それならこの内部構造図を参考にすることができる!ニヤリ。
これがガレキ放浪の旅の始まりでした。