レッドミラージュV3 スポットライト #3
無料部分だけで内容は完結です。
有料部分は興味のある人だけ見ていただければ十分です。!
結局レッドミラージュのフレームの塗装は何色
(なにいろ:What colourではなく、なんしょく:How many colours?)になるのだろう?
ああ!のっけから日本語の限界が!
どちらで打っても、”何色”と漢字変換するワープロはえらいな!
塗装プロセスとしては全部で何色?というよりは
一つの部品に何色なのか、が問題です。
ガレージキットは塗り分けが大変ですから。
前回フレーム塗装後の組立状態での写真を公開いたしました。
今回は時間を逆行させるようですが、
部品毎に塗装の内容をクローズアップしていきます。
っと!その前に、
『モーターヘッドガレージキット製作に必要な塗装技術について』
ごく簡単に説明しておきたいかなーと思います。
ガレージキットの塗装技術:基本編
下地処理
透明レジンの下地処理については前回記載しましたが、ここではレッドミラージュのフレームに使用した金属色やパール塗装に必要な下地色の処理について説明します。
金属色やパール塗料などといった”反射が命”の塗料が持つ効果を
ビューティフォ~に発揮させるためには
塗膜裏側からの光の透過を極力減らし、塗膜表面の反射が強調されること。
どうして不透明な部品の上に塗っているのに裏側からの反射に
気を付けないとならないかというと!
下地色での反射も、その上に塗った塗料にとっては
裏側から光の透過と同じだからです。
したがって下地色はあらゆる波長の光を吸収する黒、
かつ下地色の表面を極力平滑にすることが必要です。
これを満たす塗装は光沢ブラック。
ではブラックの光沢をきれいに出すためには、
どんな塗料をどのように塗ればよいでしょうか?
世の中にはたくさんの光沢ブラック塗料がありますが、
私はいろいろ試した結果、意外にも一番手に入りやすい普通の
Mr.カラー#2 ブラックをエアブラシで塗装しています。
他にも隠ぺい力の高い高性能なブラックの塗料があるのですが
下地色としてはそこまでの隠ぺい力は必要ありませんし、
どうも馴染まなくて。
エアブラシ塗装というのは、塗料を霧吹きのように微細粒子化して
塗装する部品に吹き付ける塗装方法で、
筆塗りにくらべて一様な塗膜を得ることができます。
一様というのは筆ムラのような”塗膜厚さの大きな差”が出来にくいという意味であり、塗膜表面の粗さが小さい、すなわち滑らかな表面が得られる事とは少し違います。
微細とはいえ塗料を粒子状にして塗装する物の表面に付着させるので、
その粒子感というか小さな凸凹が塗膜表面にどうしても残ってしまいます。
こういう訳でエアブラシ塗装では本当にきれいな光沢を出すのが難しいため、乾燥後に目の細かい研磨材で塗装表面を磨いて鏡面に近いような光沢を
出すようにしています。
一方でメッキのような輝きが得られる特殊な金属色塗料では
一層下地の平滑性(光沢)が求められます。
下地色の時にはほとんどわからないような微細な磨きキズでも
メッキ塗料を塗るとたちまち目立ってしまうからです。
このようなメッキ塗料にはだいたい専用の下地用ブラック塗料が用意されており、この塗料の特徴として
乾燥速度がほどほどに遅く、かつ塗料の伸びが良いため、
エアブラシで塗装しても粒子感がほとんどなくなり、
乾燥後も液体的なヌメッとした光沢が得られます。
塗装面を磨いて光沢を出すか、
特殊な塗料に限定されますがエアブラシ吹きっぱなしで光沢を出すかは
ひとそれぞれの好みなのですが、
私は多少、光沢感は犠牲にしても磨いた面の平面性(表面が水で濡れたようにヌメッとしているのではなく、ガラスの面のようにパキッとしている状態)を重視して、塗膜の強いラッカー系塗料のエアブラシ塗装の後、
磨くというやり方で統一しています。(今のところ)
塗り分け
塗り分けはマスキングテープを貼って、塗りたくないところに塗料がつかないようにすることで行います。
マスキングの『マスク』とは”覆い隠す、包み込む”という意味であり、
専門用語としての『マスキング』は”作業現場などで何かを汚したり傷つけないように覆うこと”
ということです。
ただし現在流通しているマスキングテープの大半が
”マスキング”ではなく、きれいなデザインや装飾、おしゃれなラベル作りに
使われる事を目的に作られている、という事実は、
往年のモデラーとしては、『東京に旅立った恋人が都会の絵具に染まったのを知って、木綿のハンカチーフを最後に送ってほしい』とお願いする、
太田裕美の心境です。
テープを貼るだけのマスキングは簡単なように思えますが、
いくつかポイントがあります。
《塗り分け部の形状によるマスキングの手間と貼り付け方》
直線のような簡単な塗り分けであれば、
マスキングテープをペタリと貼るだけですが、
テープの両側面はロール状に巻かれている時点で
モノが当たったり、ほこりが付いたりして
シャープな直線ではなくなっている可能性がありますので、
必ず一旦鋭いカッターと定規を使って
側面部を切断してから使用しましょう。
塗り分けの形状が複雑になってくるとマスキングをする手間も膨大になり、
モノによっては一つの部品で
マスキング3日(当然休みながらので実質10時間くらいか?)
塗装30分
マスキングはがし1時間
といったように、マスキングが塗装工程のほとんどの時間を占める
ことになります。
マスキングはがしも意外と、塗装そのものより時間がかかる
場合がある事にも注目です。
塗り分け形状が曲線になったり、直線であっても複雑な多角形であったりするとピッタリの形状にテープを切り出すのがなかなか大変になるのですが、更にこれが平面上ではなく立体的な形状の塗り分けになると、
労力とは別の問題が発生します。
・柔軟性があるとはいえ、しょせん平面であるマスキングテープでは
複雑な立体の表面を完全に密着して覆うのが難しくなる。
・マスキングテープの粘着力は
部品表面や塗装した面にテープの糊が残らないように、
普通のテープに比べるとかなり弱いので、
テープを折り曲げて貼ると暫くの間はテープが密着していても
時間の経過と共にテープが浮き上がって隙間が出来る。
この様になるとマスキングの隙間から塗料が侵入ということになります。
このような場合は細く切ったマスキングテープで縁取りを作り、その内部はマスキング液を塗るという方法が作業のしやすさや確実にマスキングするという点からお薦めです。
モーターヘッドのガレージキットでは
単純な形状の塗り分けがほとんどないので、
私は2002年にガレージキットを作り始めて以来、ほとんどがこの方法です。
ただマスキング液も高品質なものを使わないと、
きれいに塗れなかったり、はがすのが難しかったり、
場合によってはマスキング液の色が塗料の面に移ったりと
良い結果がえられません。
マスキング液もそれなりに値段が高いし、
隙間に入り込めば、はがすのに苦労する場合がありますので、
広い平面部があればそこはマスキングテープを貼るなど
マスキング液との併用を賢く行いましょう。
ちなみに筆塗りでの塗り分けはマスキングテープ使用は厳禁!
いくら丁寧にマスキングテープを貼りつけても、
どうしてもわずかな隙間が出来てしまうので、
筆塗りでベチョッと塗ってしまうと、
毛細管現象でマスキングテープの隙間に塗料が入り込んでしまい
大変なことになります。
小さな部品の筆での塗り分けはマスキングなしで、
秘技“合掌塗り”で息を止め、慎重に行いましょう。
(あっ、合掌塗りも私の編み出した技ですが、これはまた
機会があればご紹介いたします。今回は有料部分にも記載していません。)
これに対してエアブラシの塗装は微細粒子が物体に付着すると同時に
ほとんど乾燥するという乾き気味の塗装が基本ですので、
完全に液体状態の塗料がマスキングの隙間に流れ込む
ということはほとんどありません。
《美しい塗分けのためにはマスキングはがしも大切》
マスキングした状態で塗装をする時、
マスキングテープの”ある部分”と”ない部分”の境界にまたがって塗料が付いていますので、マスキングをはがすには塗膜を切断しながら
ということになります。
塗料が完全に乾燥してからだと、塗膜の硬度が高くなりすぎて
パリパリとポテトチップスが砕けるような形で
せっかく塗り分けた縁の部分の塗膜が崩れてしまうことがあります。
これを防ぐため私はおおよそ塗装完了の1時間後、(塗膜が完全に乾ききらないうちに)マスキングはがしを開始するようにしています。
ただし、クリアー塗料の場合には
かなり乾燥時間をかけても塗膜がビニールのように柔軟で
マスキングテープをはがす時にマスキングの境界では塗膜が切れずに、
塗装したい部分の塗膜まで、”ピザのチーズのように”持っていかれてしまうことがあるので、
乾燥時間はより長め(モデラー活躍の時間帯である深夜に塗装して、次の朝目が覚めてからマスキングはがしをするというくらい)でちょうど良いかと思います。
乾燥後1時間でマスキングはがしをする場合には塗装面はまだ完全には乾燥していませんので手で触らないように部品を持つ位置も要注意。
さらにマスキングテープをはがす動きも配慮が必要で、
塗膜をマスキングテープで”切る”ような意識で塗装面と直角に近い方向に
塗膜の状況を見極めながらゆっくりと動かす必要があります。
うまく境界で塗膜が切れずに”ピザ”のような状態になるようであれば
良く切れるナイフで塗膜に小さな切れ目を入れて、
塗膜が切れる糸口をつくってやることも必要です。
これがマスキングはがしにも相当な時間を要する理由です。
塗装順序
一つの部品に使用する色の数が多くなるほど、どの順番で塗っていくかという塗装順序の選択肢が増えますが、正解があるのでしょうか?
塗装順序は使用する塗料の色や塗膜の強さで判断し、
あるいはトライアンドエラーで決めていく必要がありますので、
一概に正解があるとはいえません。
それだけになかなか頭の痛い難題です。
一色であれば可能な塗装も、塗り分けする場合には
いろいろな制約から、理想的な条件では出来ない場合も出てきますが、
できるだけ上手に妥協しながら、”目指す塗装表現”をトータルで
実現していくという解決策が必要になることもあります。
《塗り重ねと“塗り分け”》
塗料の上に別の塗料を塗るのが塗り重ねで、金属色やパール塗料などは、光沢ブラックの下地塗装の上に塗装する必要があるという事は前述しました。
それ以外の塗料でも目指す発色をさせるために、
赤の下地はピンク、黄色の下地はクリーム色などの下地塗装
をするほうが良い場合があります。
このような発色のために必要となる塗り重ねとは別に
マスキングの手間を省くために塗り重ねをする場合があります。
例えば、もともと色1と色2の二色で塗り分けするところであっても、
まずは色1で全体を塗装し、
その後、色2を塗装する部分以外をマスキングして色1の上に色2を
塗り重ねるという方法です。
これとは別に、それぞれをエリアを別々にマスキングし、
独立して塗装する方法もあるわけで、これを便宜上 “塗り分け“(ほかに何か言い呼び方ないかしら)と呼びます。
塗装後は塗り重ねも”塗り分け”もほぼ同じように見えますが、
それでは塗り重ねと“塗り分け”を使い分けるポイントはなんでしょうか?
何色も塗り重ねをすると、塗膜がかなり分厚くなってしまい、
部品にあるスジボリやその他のディティールが塗料で埋まって
見えなくなってしまう場合がありますので、
塗り重ねする色の数に限界があります。
またレッドミラージュの外装のような半透明塗装をする場合には、
下の色がすっかり見えてしまうので、
そもそも塗り重ねということ自体ができません。
これに対して“塗り分け”をする場合の欠点は、
まずはなんと言ってもマスキングの手間が色の数だけ増えること。
複雑な形の内側をマスキングしてその外側を塗装し、マスキングを
はがした後、
今度は同じ形の内側を塗装するため、外側をマスキングするなんて
萎え~以外の何物でもありません。
それ以外にも色と色の境目にマスキングの微妙なずれで隙間があいて、
サフェイサーなどの下地色が見えてしまう可能性もあります。
これらの特徴を考えて、塗装順序の前に、
”どのような塗り分け方にするのか”を
設計する必要があります。
《下地の色と隠ぺい力》
先ほど半透明塗装では完全に下地が透けて見えるので他の色との塗り重ねは出来ないと言いましたが、
透明でなくてもほとんどの塗装色が下地色の影響を受けてしまいます。
塗装を厚くしても下にある色の影響がなかなか無くならならす
塗料本来の色が発色しないような性質を"隠ぺい力が弱い"といい、
逆の場合は"隠ぺい力がある"、だったり"隠ぺい力が高い"とか言います。
黒や褐色などの濃い色は隠ぺい力が高い塗料です。
白は明るい色ですが意外にもホワイトの塗料は不透明の顔料を多く含むので結構下地色を隠してくれますし、
青や緑なども白をベースに調色しているものは、白色顔料の恩恵にあずかり
隠ぺい力が高いといえます。
逆に黄色や赤などは隠ぺい力が弱いのですが、
特に 赤は彩度を確保するため、隠蔽力の高い白顔料を混色することができないので、赤の塗料単体では非常に隠ぺい力が弱く、
色相に影響しない白ではなく、ピンクを下地色として塗装することで、
初めて目指す”赤”の発色ができるという奇特な色であり、
逆に下地色のピンクに青みを加えたりして(すなわち紫っぽくする)で、
赤の色相を調整することも可能です。
アカレンジャーだけでは秘密戦隊は成立しないということですね。
(この一文だけで、タイトル画像が決まったのですか?そうなのです!)
金属色も実は塗料によって隠ぺい力が非常に弱いものと、
かなり隠ぺい力が強いものがあり、都度確認が必要です。
塗り重ねるたびに隠ぺい力の弱い色の発色を確保するため
下地色→本来の塗装色と何層も塗っていたのでは、
とんでもなく塗膜が厚くなるので、
なるべく隠ぺい力の弱い色から隠ぺい力の高い色という順番で
塗り重ねるほうが効率的で美しく仕上がります。
《塗膜の強さ》
隠ぺい力とは別に塗膜の強さ(弱さ)も大切な要素です。
金属色は金属粒子を含んでいるので金属っぽくなるのですが、
この金属粒子をしっかりと定着させようとしてクリアーの成分を多くすると金属感が損なわれるという副作用がでてしまうため、
一般的には金属色は塗膜の弱い(粒子の定着性が悪い)塗料の代表格です。
特にクローム調のメッキ塗装などは塗ったが最後、素手さわったらいけないというデリケートなものが多く、その上から塗り分け(塗り重ね)のためマスキングテープを貼るなんてもってのほか!
こういう色は最後に塗って、後は触らない!とするのが一番なのですが、
では金属色は1色しか塗れないではないか?となってしまうので、
テストをして金属色の中でも塗膜の強そうな塗料から先に塗っていくとか、
塗膜の弱い塗料をどうしても他の色より先に塗らないといけない場合には
マスキングの仕方を工夫して、
なるべくマスキングテープを貼ったところの塗膜を傷めない
ような工夫が必要です。
今回レッドミラージュではフレームの基本色として選んだ
Mr.カラーのスーパーアイアン2が何故か塗膜が極めて弱く、
マスキングテープはがしとともに塗膜がすっかり剥がれてしまう
という事態が発生。
とはいえフレーム全体に広く塗る基本色なので、塗り分けの点からは
後で塗装するのは非常に難しいとため、
マスキング方法を工夫して、何度もやり直しすることで
なんとか仕上げることができました。
以上は塗装をするモデラーであれば知っていることがほとんどなのですが、この記事を読んでいただける皆様におかれましては
この後、塗装した実際の部品の説明をご覧いただく時に、
こんな風に塗ったのかな?
と想像していただいたり、
あるいは記事とは関係なく、
ちょっと試しにガレージキットを作ってみようかな?
と興味を持っていただいたり、
逆にガレージキットに興味があったが、
こんなに大変なんだったらやめておこう!
という心変わりの参考(?)にしていただければと思います。
ガレージキットでなくガンプラでも作りやすくて凄いものが
たくさんありますから。
有料記事について
6000文字を超えた基本編を書き終えた後でも、
ガレージキット製作に関するこれまでの経験・知識を整理していると、
せっかくなので自分流塗装テクニックについても文章と図表にまとめておきたいという気持ちになってしまいます。
(”こんなことまで書いて誰が読む?”という事は重々承知なのですが、少なくとも自分は読むので)
これらを巻末の有料記事の部分に記載しました。
繰り返しになりますが、決して途中まで書いて、肝心なところは有料で!
ということではありません。
このnoteの内容を理解するための補足情報としては基本編で十分過ぎるくらいであり、
ご自身でプラモデル(ガレージキット)を作る事には興味がない人
はもちろん、
プラモデルに興味はあるけど作ったことがない人、
プラモデルを作ったことがあるけれど塗装はしたことがないという人も
有料記事をご覧いただく必要は全くありません。
毎日でも、寄付のためにお金をばら撒いて歩きたいという、
億万長者の方であっても、コアすぎる内容を読むのは
時間の浪費になるので是非とも見ないようにご注意ください。
ただし、”今からモーターヘッドのガレージキットを作ってみたい!”
という方が、1ppmくらいの確率でいらっしゃれば、
有料部分は実際の製作を通じて得た知見を極力具体的且つわかりやすく
まとめていますので、即戦力になる情報であるとは思っています。
フレームの部品毎の塗装について
前回ご紹介した装甲内部の骨格(フレーム)って
いくつの部品から構成されているか、わかりますか?
答えは10個です。
1.頭部
2.頭部内部品(ファティマルーム)
3.胸部
4.腰部
5,6.肩(右、左)
7,8.腕(右、左)
9,10 脚(右、左)
自立させるために取り付けた透明レジンの踵は除きます。
結構細かい部品がガチャガチャ取り付けられてるように見えますが
これが”これ以上はどうにも分割しようがない”最小の部品単位であり
あの形状としてはたったの10個!?という感じです。
このツケはすべて塗装の塗り分けに回ってくるのですが、
部品毎に塗装内容を説明します。
頭部
塗装色は
・尖がったひさしの先から後頭部までが基本の金属色である
スーパーアイアン2(ここも見事に1回剥がれました)
・頭頂部(写っていませんが)や喉回りの奥まった所は
スターブライトアイアン
・頭部後端や六角形の枠等はスターブライトゴールド
・メタリックブルーに見える頭部の支持フレームはMr.クリスタルカラーの
サファイアブルーとアメジストパープルの混合色(#2ブラック下地)
・支持フレーム周りにくっついているヒレみたいな積層腱肉が
アイスシルバーです。
ここまでで先週記載した設定画から読み取れる色を5色とも使っています。
これに加えて、
・後頭部にあるコードの束みたいなのが、バルケッタというメーカーの
シャンパンゴールド。
シャンパンゴールドという名称の色はタミヤカラーでもありますが、
タミヤカラーが銀に近い落ち着いた色なのに対して、
バルケッタのものはちょっとロゼが入って、キラメキ感も強いです。
可動部で潤滑性が必要だったり、特殊なエネルギー伝達チューブなどといった機能性のある部品という設定に(勝手に)した部分で多用しています。
・後頭部の下の襟みたいなところはガイアカラー スターブライトシルバー。
ガイアカラーのスターブライトシリーズなのでキラメキ感が強いのですが
少し軽い感じのする銀です。
こういうフレームに密着した装甲のことを永野先生は一次装甲と呼んでいます。(”密着”どころか、キットではフレームと一体成型ですが)
この一次装甲をどんな色に塗ろうかと考えたのですが、
私の脳内設定(”妄想”をかっこよく言うとこうなるので、今後多用しよう)だと外部装甲が万一破損したり、装甲の隙間から破片が入ったときに、
フレーム(内部メカ)の重要部分を守るもの。
1回のみの衝撃に耐えられれば良いので、
堅牢性は求められないが、軽量で交換可能な装甲
ということにして硬化処理したアルミニウムのイメージ
でこの色にしました。
・あご部支持フレーム下部にある赤い丸
スーパーファインシルバーの上にMr.カラークリアーレッド塗り重ね
(いわゆるキャンディー塗装)
クリアーレッドも塗料メーカーや塗料の種類によって色味に個性があり
普段はフィニッシャーズのクリアーレッドが好みなのですが、
Mr.カラーのクリアーレッドの少し紅色っぽい色味が、
機械式腕時計のキャリパー(きゃりーぱみゅぱみゅではない)
で見られる人工ルビーの歯車用軸受に似ているので、
こういう軸受的な箇所にはピッタリだと思います。
以上で8色での塗り分けです。
上下の写真はどちらも同じような角度で撮影していますが、
上の写真はアイスシルバーやスターブライトシルバーの色味が、
反射の具合からよくわかり、
下の写真では喉回りを削り込んで貫通させているのが見えますが、
喉の奥は何もないがらんどうとなっているという設定を再現しています。(プチ改造ですが、透かし彫りのようになった
支持フレームや積層腱肉を塗り分けるためのマスキングが大変でした。)
ファティマルーム
ファティマというのはモーターヘッドの頭部に搭乗して、胸部コックピットで操縦するパイロット(ヘッドライナー)と対話しながら各種演算や武器管制でヘッドライナーをサポートする人型生体コンピュータという設定。
女性型のみでなく男性型もあります。
ファティマの座るシートと操作用パネルなどインテリアの再現ということで、ほかの部品では使っていない色が多い。
・シートのメインカラーはファティマのシンボルカラーに合わせており、
クローソーのオペラピンクを苦労して再現。(クローソーだけに!)
ガイアのブリリアントピンクにガイアの蛍光ピンクをオーバーコートし、
これでもかというくらいブリリアントな色にしました。
シートのクッションは半つや消しの黒
革張りシートのイメージで光沢ブラックにフラットベースを少々添加
シートクッションの両脇はMr.カラーのマルーン(濃い赤)です。
操作パネル(?)右手用が Show Upのマッジョーラシリーズ
アンドロメダ(名前から色が想像できない)
操作方法不明な操作部なので、ミステリアスなイメージにするため、
見る角度で色が変わる偏光塗料を探して購入
塗る面積は1×2 ㎜と極小なうえに、頭部の装甲を付けると全く見えなくなる(ピンクくらいが半透明装甲越しにぼんやり見えるくらい)ところだけど
どうしてもこだわりたいポイント。
下の写真のように素晴らしい発色なのですが、15mlの小さなボトル入りで3000円もするところはいただけない。
(こういうところが金に糸目をつけない!と家族から白い目で見られる原因なのである。)
操作パネル左手用はシートメインカラーで塗ったピンクをそのまま下地色として、ガイア蛍光イエロー、造形村シャインパールゴールドを塗り重ね
有彩色のピンクを下地にしてパール塗装することで、
見る角度によってゴールドに浮かび上がるホログラム的な表現になりました。
シートの右側は壁の内張りみたいになっていますが、
ここはMr .カラー スーパーファインシルバーで塗装。
一部支柱みたいなところを残して、クッション材みたいなのは
Mr.カラークリアーGXのディープクリアーレッドでオーバーコート。
上の写真はファティマルームの壁の外側。
あぁ!壁の外側は外壁か。これまでnote書くのになかなかピッタリの言葉を探すのに苦労していたのに、”外壁”という言葉がわざわざ日本語にあるのが逆に新鮮。
ファティマルームは頭部の六角形の穴に差し込むので、頭部に塗った
スターブライトゴールドに合わせて、
こちらにも縁にスターブライトゴールドを使用
外壁自体はMr.カラーGXのクールホワイトとフィニッシャーズカラーのピュアレッドで塗り分け、
白、赤、金はファティマラキシスのカラーでもあります
ファティマルームは一辺2㎝のサイコロくらいの大きさですが、
10色の塗り分け!と豪華仕様
(完成するとこの部品のほぼすべてが見えなくなります。)
胸部
1)前面の写真
色がたくさん使われており、雑然としていますが、
外部装甲をかぶせると銀色のところしか見えなくなり、
落ち着いた雰囲気となります。
ガンダムでいえば排気ダクト的な部分は設定画で見えないところ。
ここは素直に排気ダクトと考え、
モデルマスター メタライザーのエグゾーストを使用。
2)上面写真
金属色はスーパーアイアン2とスターブライトアイアンの2色
支持フレームのブルーも頭部と同じ色
人工腱肉もちょっとだけ見え、アイスシルバー
コックピット部はスターブライトゴールドとクールホワイト
胸部上面の造形は立体的かつ奥まった部分なので非常にマスキングが
やりにくいのですが、設定画に描かれている部分なので、
張り切って忠実に色分けを再現しました。
ただ残念なことに胸の装甲をかぶせるとほぼ見えない。(またか!)
外部装甲は半透明なので、ハッキリと内部が見えることを
期待していたわけではないのですが、
胸装甲は多面体的な構成で、例えばバカラのカット入りクリスタルの
グラス越しだと、完全に透明でもその向こうが全然見えないというのと
同じ理屈なのです。
おまけに一番見せたい、肩甲骨のところの
支持フレーム、積層腱肉、コックピットのゴールドと
有彩色目白押しポイントには、
外部装甲の上にレーザーリフレクターという部品を取り付けるので
もう完全に見えやしない。
『ガルマへのせめてもの手向け』と思い、
レーザーリフレクターは可動式に改造します。
3)側面写真
この角度から見える色で上記以外の色はありませんが、
左腕や頭部の取り付け部には、寸法調整用のエポキシパテが
充填してあります。
ここに塗装すると接着できないため、無塗装であり
組み立てると当然見えなくなるのですが、
このままではちょっとカッコ悪い。
4)後面の写真
人間の背骨に見えるところも竜骨といって支持フレームの一部ですが、
背骨の軟骨のところは、バルケッタのシャンパンゴールドで塗装。
人間もモーターヘッドも関節の潤滑が大切ですので、
ここのマスキングも大変面倒なのですが、
ひたすらマスキングを繰り返します。
背中のちっちゃい天使の羽みたいなところも一次装甲と考えて
スターブライトシルバーで塗装
5)腹部
1)、3)、4)の写真で見られる腹部の蛇腹風のモールドは
胸部と一体成型になっています。
腰の青いフレーム以下の腰部は別部品ですが、写真を撮った時にはもう接着していたので一緒に映っています。
この蛇腹は写真ではそこまでわからないのですが、メッキ調の輝きが得られるKカラーのDark Super Chromeを使用しました。
この塗料は、エアブラシで軽く吹き付けるだけで
素晴らしいメッキ調金属色が得られる優れものですが、
御多分に漏れずブラックでの下地作りが重要。
この蛇腹部にメッキ調塗料を使用するというのは
実はかなりの勇気が必要な決断でした。
ガレージキットは細かい形状の再現が得意といっても、
やわらかいシリコン型を使っている関係上、
整然とならぶ幾何学的な形状を厳密に再現するのは得意ではなく、
どうしても一つ一つの平面がダレていたり、
奥まった部分のエッジが丸まっていたりするところがあります。
こういうところが人の手による仕事を感じさせる味ではあるのですが
メッキ調塗料でそれが強調されすぎてしますと、
”味”のはずが”仇”にかわってしまうのです。
これをメッキ塗料に合うよう改善するため、塗装前の段階で
この蛇腹を構成する一つ一つの面に対して、
模型用の精密な三角ノミで段差の凹みをシャープに彫り直してから
ヤスリで一面一面、平面出し。
その後も平面をダレさせないように気を付けながら耐水ペーパーで磨きます。
下地塗装の光沢ブラックもKカラー専用のブラックではなく、
Mr.カラー#2ブラックで塗装し、#10000まで磨き上げてから、
最後はコンパウンド磨き。
とてつもなく手間がかかりました。
その結果は…やっぱり手仕上げなので上の4枚の拡大写真だとちっと
機械加工された金型でつくるプラモデルの精度とくらべると辛いのですが、
普通に肉眼で、修正をしていないパトラクシェと見比べると
やっぱり一味違います。
胸部の部品もこのメッキ塗装を含めて10色の塗り分けになりました。
ここからはダイジェストで‼
すでに1万1千文字に近づいていますが、それでもフレームに関する紹介は最後まで行きたいので、ここからはダイジェストで。
なぜこんなに急ぐかと言いますと、製作時のアイデアメモ32項目のうち
フレームに関するものはたったの4項目しかなく、
フレームは”まぁ塗り分けに苦労した”という事が主要な話題ですので
前座といえば前座なのです。
残りの28項目は基本的に外部装甲に関するものですので、
今後、全てをご紹介するわけではありませんが、
それでもまだかなり多く、”今週のスポットライト~”が残っており、
それ故、先を急ぐわけです。
腰部
青い支持フレームがカゴ状に脚の駆動機構を取り囲んでおり
バイクのクレードルフレームみたいでカッコいいです。
(クレードル"cradle”は、ゆりかごの意味)
このフレーム色には前述のとおりMr.クリスタルカラーを使用しており、
パールカラーと同じように見る角度で大きく輝きが変わるという
偏光性があるのですが、
”側面”と”斜め後ろから”の写真で同じ部位の輝きの違いを比べて見る事で
偏光塗料の効果がわかります。(まぁ、あまり言いたくはないのですが、外部装甲を付けると見えなくなります。やっぱり!)
使用している色はすべてこれまで出て来たものばかりです。
フレーム色のブルー
スーパーアイアン2
スターブライトアイアン(目立たない奥まった所に少し)
アイスシルバー
クールホワイト
メタライザーエグゾースト(腰の前のところに排気口みたいなのあり)
バルケッタのシャンパンゴールド
シャンパンゴールドが何処に使われているかわかりますか?
後面の写真のオレンジ色の矢印が指す、フレームの隙間の奥まった所です。がっちりした腰部フレームですが、衝撃を吸収するため、
ここだけは減衰性に優れた部品を介して接続されているという脳内設定。
ということで全部で塗り分けは7色
肩・腕部
肩は高圧電気ケーブルが取り付けられているとして、太いケーブル部を
フィニッシャーズのピュアレッドに少しフラットベースを加えて
わずかに光沢を押さえて塗装。絶縁被覆のあるケーブルの感じを出しました。
ケーブルの取り付け部は半光沢の黒で塗装。
ケーブル下部のカバーは絶縁用特殊樹脂という脳内設定でクールホワイトにしました。
塗り分けは、8色
腕は肘のところがポイント。円盤状の部分をディスクブレーキに見立てて
両側についているパーツをbremboのブレーキキャリパーの如く赤く塗装。
(本日はきゃりーぱみゅぱみゅさん、大フィーバーです)
色はフィニッシャーズカラーのピュアレッドにガイアカラーの限定色パールプレミアムレッドを重ね塗り。
もう少し縮尺が大きければ、”brembo”と彫り込みたかった。
永野先生もAMGとか現代地球のブランドをよく物語に登場させています。
拳はスーパーアイアン2ですが、指関節(赤矢印)のみ
スターブライドアイアンで塗り分けしています。
シャア・アズナブルであれば、おそらく
『古今東西、ここまで塗り分けた例はない。』
と言っていただけるでしょう。
塗り分けは、8色
脚部
脚は潔く太腿からつま先まで一本モノ。
ごぼうのように長いので写真は太腿、膝関節、脛、足首に分けて
撮りました。
これまでの部品の論法にしたがったオーソドックスな塗り分けをしていますが、ちょっとトンチをきかせた塗分けとして
膝関節に有彩色を集中。
側面は青い支持フレームにシャンパンゴールドの支持ブロックで
人工ルビー軸受をイメージしたクリアーレッド部分を
挟み込んでいるという設定
また正面の丸いゴールドは機能不明ですが設定どおりゴールドに塗装
また脛部にはスーパーイレイザーエンジンが左右に一基ずつ収まっている
という設定(これは妄想ではなく公式の設定)ですが、
”脛・前面”の写真にあるようにエンジン部のカバーを
Mr.カラースーパーメタリック2のスーパージュラルミン2で塗装し、
”危険!取り扱い注意”を示すために赤白の縞模様を表示しています。
なおこの部分はクリアーレッドの脛カバーをかぶせると、
受験用問題集で、赤字で書かれた”正解”を赤色の透明シートをかぶせて見えなくして問題を解くように、
赤と白の見分けつかなくなってしまうのが、偶然ですが奥深い脳内設定につながります。
運用中(=戦闘中)は目立たせず(目立たせると弱点を教えるようなものなので)、整備中には目立つという、色による面白い効果を演出できた部分だと思います。
ただし細かく塗り分けた本人としては、膝カバーを付けても、
もう少し縞模様が目立ってほしかった…
なお、この膝カバーは本作の最大のスポットライトですので、
いつか来るであろう公開の日をお楽しみに。
ガレージキットの塗装技術:我流編
敢えて応用編とは書きません。我流です。
コンテンツ
エアブラシ塗装技術 の部(以下に掲載約5700文字)
・エアブラシ塗装の条件と用途
・エアブラシ塗装の注意点
・塗料に応じたエアブラシの条件
マスキング技術 の部(次回#4で掲載)
・マスキング方法とその使い分け
・マスキングテープの貼り用特殊工具
・マスキングの貼り方とマスキング液の塗り方
・塗膜の弱い場合のマスキング
改行と太字は極力減らして淡々と書いていきます。
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