絶望先生「それって『ギミック過剰』になっていませんか?」
奈美「また負けたぁ!!」
望「おや、ポケモンカードですか?」
奈美「本当は今度の京都での大会があるから準備していたんですけど……」
あびる「例のアレがアレのせいで仕方がないわよ」
望「それはそうですが、日塔さん、あなたのデッキ……」
望「やりたいカードが多すぎませんか?」
奈美「えー?そんなことないですよ。だいたいどこもこんな感じですよー」
千里「でもさっきの試合、スタートがアクジキングでレッド&グリーンでマニューラGXを立てても、ボスの指令で呼び出されて、オルタージェネシスGXで強化されたザシアンVにやられて崩壊してたわよね」
あびる「そもそもカラマネロVmaxも進化する前に倒されていたし」
千里「あとどうしてアクジキングやブラッキー&ダークライGXなんて入れているの!?」
奈美「そりゃあ、マニューラGXでエネを動かしてブラッキーダークライのGXワザできぜつさせたり、アクジキングでサイド2枚取ったり」ゴニョゴニョ
千里「そんな再現性も低そうなきっちりしていないギミックは辞めなさい!」
望「いえ、日塔さんの考えも仕方がありません、これはまさしく『ギミック過剰症候群』なのです!!」
奈美「なんですか!?それ!!」
望「昨今のポケカ界は便利な特性を持ったタネポケモンが増えすぎたせいで、あれもいれようこれもいれようと便利ギミックを過剰投入してしまいがちになってしまいます。それによってデッキが全く回らず、試合にも勝てない。でも何が不要なのかもわからないという負のスパイラルに陥ってしまうのです!」
望「それが『ギミック過剰症候群』なのです!」
あびる「確かに『特殊エネ入れてるからとりあえず、グズマハラ』とか『別にジラーチギミックに弱いわけじゃないのにとりあえず、アブソル』とかいるわね」
望「ですがその程度はまだこの病気の初期段階。いわば潜伏期間です。この症状が悪化してしまうとただ強いただ便利と言われているだけで意味も無くワタシラガVを入れてしまうようになってしまうのです!」
奈美「でもそんなの普通にいるよ!」
あびる「自分で普通って言ったわね」
奈美「はっ!!」
望「仕方がありませんね。それでは実際に行ってみましょう!」
カードショップ「コ叶」
望「さあ着きました!ここが『ギミック過剰症候群』の重症患者が集うカードショップです!」
千里「カードショップコロナ?」
望「いえ、コロナではなくコ叶(こかのう)です。ですが、念のためマスクをしておきましょう」
オタクA「うぼあああああああ!」
望「早速、重症患者の断末魔の声です!失礼、デッキを拝見しても……」
オタクA「デスカーンでダメージ受けたドラパルトを引っ込めたり、ドラパルトVmaxがきぜつした後に増えた手札に対してゲンミミでダメージ与えたり、ズガドーンで大量のダメカンばらまくとか色々できるようにしたんだよ!」
望「実際にはどうでしたか?」
オタクA「デスカーンがそう都合良く立てないし、そもそも進化多すぎて回らないんだよ。おかしいなぁ~」
命「まさしくギミック過剰症候群の代表的な症例『脳内理想展開』だ」
望「どうしてここに!?」
命「ギミック過剰症候群のパンデミックが発生していると聞いて現場を見に来てね。もちろん諸々の手続きは取っている」
奈美「脳内理想展開?」
命「デッキを組んでいる時点では『これなら三神ザシアンに勝てるぜ。とかこれならピカゼク余裕で倒せるわ』とか自分だけ理想的にデッキが回ると信じて疑わずにその後実際に回らなくてもたまたまだと決めてしまう症例なんだ」
あびる「あーあるよね~。組んでる時は最強と思っても実際にやってみたら全然回らないことって」
命「とにかく彼は至急隔離病棟へ運び適切な処置を施す必要がある!」
奈美「あ、行っちゃった……」
まとい「先生、向こうにも患者がいます」
望「いたんですか……」
まとい「ええ、ずっと」
オタクB「あーズガドーンサイド落ちしてたわ~。てか、キュウコンVもサイド落ちしてたわ~」
望「あれも典型的なギミック過剰症候群です!」
奈美「よくあるFTBっぽいけど……」
望「いえ、あれは『ピン不全』です。溶接工で簡単にワザが打てるからと、様々な炎ポケモンを1枚ずついれてしまったせいで重要なところでサイド落ちなどが多発して使えなくなってしまっているのです!」
千里「だったら、きっちりカード選んで3枚ぐらいいれなさいよ!」
オタクB「そんなことしたら『だったらレシリザでいいじゃん』って言われるだろ!」
あびる「ええ……」
望「そうなんです。これがギミック過剰症候群の一番怖いところです。『○○でいいじゃん』を恐れるあまりデッキパワーが弱いカードを無理矢理活躍させるために様々なギミックを過剰投入してしまったことで、結局デッキパワーをさらに落としてしまうというまさに、自己デバフ!」
望「他にもギミック過剰症候群の症例はたくさんあるのです!」
・とりあえず、ヤレユータン
・とりあえず、デデンネ
・GXだらけのパーフェクションデッキ
・特性持ち進化ポケモン勢揃い
・ボスの指令があるのにシステムポケモン依存
・システムだけは複雑な某ゲーム
・ぱくりじゃないアピールのためにアカギを入れる水デッキ
・ぱくりじゃないアピールのためにボルケニオン◇を入れる水デッキ
・でも、イカサマで負ける水デッキ
・○○抜き抜き抜き抜きry調整
望「絶望した!トップTierデッキに対抗するあまり結局回らないデッキを強いと信じ込ませてしまうギミック過剰症候群に絶望した!!」
望「このパンデミックを逃れるためにも不要不急のギミック過剰デッキは辞めて、三神ダケヤンをつかった方がいいのです!」
可符香「いやだなあ先生。そんな病気あるわけないじゃないですか!」
可符香「それらは全部オリジナル笑顔です!」
芽留「」メルメルメル……
ネギま!かよ!
可符香「彼らは複雑なデッキを使いこなすことで誰にも見せたことのない笑顔を振りまいているのです!」
晴美「確かに変なデッキで勝ったら変に笑顔になっちゃうけど……」
望「ですが、さっきのドラパルトは全く回らないデッキでしたが」
可符香「違います。あれは回ったときにみんなに驚きを与えるエンターテインメントなのです。なので失敗も含めて成功なんです」
望「まさか彼らはデッキ事故も含めて、エンターテインメントにしていたのいうのですか!?」
可符香「そうです!なので彼らはいわばアイドルなのです!ドジっ子アイドルなんですよ!」
奈美「でもそうはいっても火力不足はどうにもならないと思うんだけど」
マ太郎「そんなことないヨ。そういう時こそ神頼みだヨ。マリアの国、二言目には神様神様って言っていたんだヨ。でもみんな最後はいなくなっちゃったけど」
晴美「神頼みって三神のこと?」
あびる「一時期、とりあえず三神を入れておくってのが流行ったわよね。今もたまにいるけど……」
望「つまり、三神さえ入れておけばどんなデッキを組んでいてもギミック過剰とは言われないのでは!?これこそがこの病気の特効薬!!」
CLコ叶ベスト16デッキ内訳
・三神ザシアン
・三神ダケヤン
・三神ピカゼク
・三神レシリザ
・三神ドラパルト
・三神ミロカロス
・三神パーフェクション
・三神ストリンダー
・三神オロヨノ
・三神ジラサン
・三神ねこびより
・三神ゲンミミ
・三神ダイオウドウ
・三神ベトベトン
・三神三鳥
・三神ネオラント
晴美「無理矢理三神入れたデッキばかりじゃない!」
望「違います。ギミック過剰症候群の重症患者に対して『三神と好きなカードを入れたらオリジナルデッキになりますよ』とささやき戦術をしたのです」
完
おまけ
○む「CL予選突破できませんでした」
○ーしん「CL予選突破できませんでした」
マ太郎「結局、大事なのはデッキじゃなくて腕前ってことダナ。銃持っても当たらなければただの筒。でもそれでも的にはなるって言われてたヨ」
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落ちてないけど落とせ