ユーミンと広瀬香美でスノーボードのシュプールを
50代のおじトドと、ぎり40代のおばは、以外とスポーツ好きなので、冬はスノーボードをやっている。
私のプロフィールにも写真を載せている。
うまいか下手かは別にして、我々は我々なりに楽しんでやっている。
トド夫はまるまるとした体をゆらし、雪の上をスイスイと滑る。
本当に野生のトドのようだ。
音威子府村は、もう村のど真ん中といっていいほどの近くにスキー場がある。
村民はスキーやスノボをやるには絶好の好立地なのだが、学校の授業を除けば、村民で滑りに行く人は少ない。ここに住んで滑っているのは我々だけではないだろうかと思うくらいに、少ないのだ。
私が小学生のころから学生時代まで、ユーミンがスキー天国やらブリザードやら、なんなら広瀬香美も加わって大いに盛り上がったスキー場は、昨今は贅沢な遊びなのかめっきり客が少なくなっていた。
音威子府などひとり貸し切り状態がざらにあった。
このまま衰退していくと思われたオトイネップウインタースポーツであるが、なぜか最近は少し活況である。
コロナが落ち着いたためなのかどうかはわからないが、わが村のスキー場も親子客や、若者スノーボーダーや、高齢スキーヤーなど、リフトは全く並ばなくて乗れるのだが、わずかな賑わいを見せてきた。
第二リフトは動いてないのだが、さらに上に山があるため、そこに徒歩で上り滑るバックカントリースノーボーダーも、ちらほらいるほどである。
晴れた日などは、深雪にスノーボーダーが作ったシュプールが美しい。
我々も第一リフトではあるが、ゲレンデの両端にシュプールを描きたい派なので、ちまちまと滑っては、うまく滑れただの、転んだだのと批評し合う。
我々の冬の楽しみはいつまで続くかわからないが、体が動くうちはやろうね、と珍しく微笑ましい一面を見せる我々。
これもゲレンデマジックか。
(スキー場で、格好よく見えた人が、ゴーグルを取ると普通のひとであったことに由来するとかなんとか)
そんな折り、スキー場の若いスタッフさんと、トド夫が仲良くなった。
人見知りなのに珍しいじゃんと言うと、いつも行くから声をかけてくれたらしい。
トド夫は、冬になると金曜日に前のりし、PC仕事の合間にひとりで滑ったりしている。
平日はスキー場もガラ空きなので、よく来るぽっちゃりおじを不思議に思ったのかもしれない。
とにかくスタッフさんとトド夫は仲良くなり、つどつど声をかけてくれるようになった。
そしてこの前「滑ってるところをドローンで撮らせてもらえませんか?」と言われた。
音威子府スキー場を動画でPRしたいのだと言う。
我々は本気で驚いた。
「えっ。おじとおばですけど、いんですか?」
と言いかけたが、先ほどのゲレンデマジックで年齢は曖昧になるのかもしれない。ボードウェアで体型も微妙にごまかせるのかもしれない。
と、勝手に思い直した。
滑ってる姿を撮りたいと言われて、嫌なスノーボーダーはいるまい。ゴーグルをしてしまえば顔もわからないので、インターネットも問題なしだ。
しかも!こないだトド夫のウェアを新調したばかりである。(前のは30年もまえのもの)
買った私も、ドンピシャで嬉しくなり、
「わかりました!最高の滑りを見せましょう!」
とは言わなかったが、気持ちはそれくらい高揚し、頭の中に広瀬香美が流れた。
トド夫も調子に乗って
「映像買取りますよ〜」などと言っていた。
スノーボーダーとして、嬉しかったのだろう。
いや、わかる。
さあ、我々は、3月中に、音威子府スキー場を宣伝すべく、美しいシュプールを描けるのか?!
てか、3月でスキー場終わっちゃうんだけどね。