最高の喜び 21 頼りにしてまっせ!
いよいよやってきました!
これが陣痛の前触れ?か?
生理中のあの痛さの大きな感じのやつ。
おしるし?と言われてるやつもきた。
お産する前の準備段階での出血が、おしるし。
夜にやって来た。
10分間隔になってきた為、病院へ電話を入れたら、慌てずに、お風呂も入って、来てくださいとの事。
入院の用意はしてあったので、お風呂へ入り、少し食事もして、車で出発!
アレ以来、わだかまってる2人なので、車の中でも、話もせず、まだ、10分間隔なので、あたしは荷物を持って、スタスタと、病院へ入って行った。
立ち合い出産ではなかったので、陣痛室で、ひとり、10分から5分間隔になるお産に挑んでた。
次の日も、お産は進まず、子宮口は、4cmのままで、分娩室へは、後から後から来た妊婦さんが、次々と分娩室へ行くねん。
ええなぁ〜
そのうち、間隔は、1分毎となり、激しい痛みがやってきても、一向に進まないあたしの子宮口!ずっと4cmのまま!
泣き喚きたいけど、それも抵抗あるから、ひたすらタオルを噛み締めて、耐える!
腰をさすってもらう事もなく、時折来てくれる助産婦さんに、内診されて
「山元さん、まだ時間かかるねぇ〜頑張ろねー」
もう、1分間隔、10時間やってるんですけど、
そろそろ、意識も遠のきそうにもなる。
毎食、痛みで何一つ食べれず、水分だけ取りながら、痛みと闘う!
そのたった陣痛の来ない1分間に、スッと眠りに落ちる。これの繰り返し。
「山元さんの子宮、ブリジストンタイヤみたいに、硬いねーー!」
いやいや、硬いねー!やないねん、どないかして!もう、体力なくなってきたよ。
そして、次の日の朝、やっとやっと
8cmの子宮口の開きとなり!やっと!
そこからは順調に全開となった。
3日目の朝、待望の分娩室へ運ばれた。
陣痛の波に合わせて、イキムんやけど、体力が無くなってきてるから、腰に力も入らず、顔ばかり、ウーーンっていきむだけ。
赤ちゃんも頑張ってるから、お母さん頑張って!
そうハッパかけられても、思うようにいきまれへん。
やっと発露!きたーー!ヤッタァ❗️
(発露って、赤ちゃんの頭が見えてるって状態です)
その時、アーーーーあかん!あかん!
あのーぅ、すみません、こんな時に!
なんか、ウンチ出るんですけど、こんな時すみません!
山元さん大丈夫ですよー〜!
それは、ウンチじぁなく、赤ちゃんですよー〜!
えっ!赤ちゃん?
もう、下半身ぐちゃぐちゃや、ウンチと赤ちゃんとの違いもわからんなってる!やん
その時、泣いた!オギャーって。
産まれたーー!長いお産終わった!
産まれたーー!やっと終わった!
なーんも考えれへんのに、この泣き声に涙が溢れた。
思わず、ありがとうございました!って泣いてた。
可愛い男の子ですよー!
泣きながらやけど、抱かせてもらった。
3110gの息子!
ついにやっと、会えたねーー!
ずっと、会いたくて会いたくて、恋焦がれてたよ!君に!!
あたしのお腹で、しがみ付いてこんなに元気で産まれてきてくれて、母にしてもろた。
ありがとう、ごめんな、ブリジストンタイヤみたいな子宮で、苦しかったやろ!
長い事、産道で頑張る彼の頭は、イカのよう伸びきってた。
愛しいなー。
ようこそ‼️
名前は決めてた、男の子やから、
「康輔(こうすけ)」
康輔、無事生まれてきてくれてありがとう。
そして、ストレッチャーで、ベット迄運ばれた。
終わった!辛かったけど、康輔の顔見たらぜーんぶ飛んでいった!
そこへ、げんちゃんがやって来た。
「ようちゃん、ようちゃん、お疲れ様!でした!
よう頑張ったよな!
わし、わし、なんも言われへん」
泣いてた。
あたしは、強い母になってた。
康輔に、触らんといて!
と、おもてた。
聞くと、分娩が終わるまで、待合室で、待ってたらしいけど、病院から、夜中は、追い出されて、ずーっと、駐車場で、あたしと一緒に、3日目を迎えてはった。
で、康輔のオギャーって、泣く声も聞こえたらしい。
ひとりで出産した気になってたけど、近くでずーっと、無事に産まれてくることを3日間、車で寝泊りしながら願ってくれてたげんちゃんがいた。
見たんやって、あの長ーく伸びた康輔の頭を。
そして、今、あたしの顔、体力不足で、顔でいきんでた顔中、紫色に内出血してるボロボロな顔。
命かけて、わしの子供を命かけて産んでくれた事を、何も出来ずにいてた事
わし、わし、俺が俺がと、言ってたお子ちゃまな自分を恥じたと。
ここから、げんちゃんと、あたしと、康輔と、母との新たな世界がはじまった。
やっと家族になった。
一緒に一緒に、やってこ!
頼りにしてまっせ!
お父さん!