最高の喜び 16 聞いてないよー!
結婚式の前日に、リハーサルが行われ、
バージンロードを歩く際の、足の運び方云々を練習した。
こんなあたしでも、厳かな気分になり
げんちゃんは、緊張の余り、またもや、怒ったような顔になり
練習終了!!
本番は、雪のちらつく寒い日。でした。
父が早くに亡くなっているので、バージンロードは、母の兄、伯父と腕を組み、ハイ!と、げんちゃんに引き渡される。
そこから牧師さんが、愛の誓いを、するのですが、その時の最後の台詞に、あたしは、感動したんです。
「この結婚に異議を唱える人はいますか?どうですか?いないですね。では、一生口をつぐんでいてください。
おめでとうございます。
山元夫妻の誕生です。
末長くお幸せになってください。」
大きな拍手と歓声の中、山元夫妻は、意気揚々と、教会を出て行くんです。
あたしのシナリオの中では、そこで、ライスシャワーと、教会の上の鐘が、ガラーンガラーン♪と、鳴り響く。
んですが、教会には鐘もなく、教会から出たら直ぐ道路。探したんですが、希望通りの教会を見つけられず、この教会に決めたわけで、でも、牧師さんええ人やったしな。
鐘の音は、げんちゃんが、音源を録音してくれてたやつなんやけど、なんでか、音量小さくて、マジ迫力足らん。
ってか、聞こえる?くらいの音。
まぁ、しゃあないか。自己満ですわ。
ライスシャワーは、あと道路掃除せなあかんから、鬼はー外!!福はー内!!くらいの小規模にて、終了。
気ー済んだわ。やることやったし。な。
小雪の舞い散る中、
ウェディングドレス姿のあたしと母と2人で乗ったタクシー。
街の風景眺めながら、
あー、結婚したんやなー
街が、違うように見えてん。
母は隣で、涙ぐんでるし、
なんか静かなええ時間やった。
なーんも喋れへんかった。
そして、披露宴開場へ。中之島のビルの高層階にある中華料理屋さんにて。
次、和服にお着替え。
カツラ、文金高島田。
これ、やめといたらよかったと、後悔するほど、我ながら、似合わへん。
普通白塗りで、ちっこく唇💋にするんかとおもたら、さっきのウェディングドレスの時の、我でしたあのメイクのまんま。
違和感満載!
付けまつ毛されて、普段したことないから、痛くて目が開けられへん。
あのーぅ、これ付けないと駄目ですか?
みんな付けはるけど?
目が痛くて開けれないんですけど?
じゃぁ、とる?
いいです?
と言う事で、普通の顔に高島田?
似合わない高島田姿のあたしと
プロッコリー頭の羽織袴のげんちゃんに
扉を開けたら披露宴会場の扉の前で
なんでかわからんけど、リハーサルになかった番傘をバカッと開いて、げんちゃんに持たせ、
えっ?こんな演出やった?
聞いてないよーー!と、
思う間も無く
扉開く寸前に
あたしの高島田を、係のおばちゃんに
グィッと、高島田をおでこがなくなるほど深く被らされてしもた。
えっ!どんな顔になってるん?あたし?
鼓の音、テンテンテーン♪と鳴り
扉が開いた!
スポットライトに照らされその時、仲人からの一言!
かっこわるぅーー!
ありえます?
この場合、ヨッ!大統領!とか、ご両人!
とか、ちゃうん?
か?ホンマにかっこ悪かったんかな?
おでこの無い高島田の花嫁?
プロッコリー頭の羽織袴のげんちゃん?
2人ともか?
消え入りたかった。
マジに、消えてしまいたかった。
少なくとも、自分の姿、確認したいわ!
それでなくても似おてないんやから。
折角の理想の結婚式が、遠いていくーー!
まだまだ、続く波乱の結婚式。
どうなるんやろ?か?あたしの高島田!!