2023年 二次元&三次元音楽50選
今年も音楽総決算記事が完成したので投下します。
曲名のリンクはYouTubeの公式動画(無い場合はSpotifyの視聴ページリンク)です。どうぞ。
☆聴衆を惹き付けるシンガーソングライターの底力
バカになって / すりぃ
作詞・作曲・編曲:すりぃ
あのね / あいみょん
作詞・作曲:あいみょん 編曲:立崎優介, 近藤隆史, 田中ユウスケ
退屈 / Ghost like girlfriend
作詞・作曲:岡林健勝 編曲:岡林健勝, 土器大洋
すりぃ楽曲と言えば!なボカロックを今年も投げてきたバカになっては自然とテンションが上がる四つ打ちダンスロック。生きづらさを乗り越えていくという詞もすりぃ節全開の直球で綴られていて、言葉ノリの良さもあって一聴でリスナーを惹き付ける魔力を秘めた一曲。
映画版トットちゃん主題歌として制作されたあいみょんのあのねは再生時間6分47秒という驚きの超大作。しかして耳に残るメロディと叙情的な歌声、アンビエントのように始まったかと思えば徐々にポップスへと姿を変えていく美しいアレンジがリスナーを飽きさせない。
岡林健勝のソロプロジェクトであるGhost like girlfriendはポストロック~残響系ギターロックな最新曲・退屈をリリース。言葉数の少ないナンバーながら、浮遊感のある裏声のボーカル+打ち込みのシンセサイザーの音色が情緒的な雰囲気を形作っていて、言葉の隙間を埋めていくのに十分な質量を持っている。
☆明るさの中に切なさも光るポップナンバー
ときめきの風にのって / フウカ (井上ほの花)
作詞・作曲・編曲:永塚健登
恋愛ミリフィルム / halca
作詞・作曲:北澤ゆうほ 編曲:江口亮
ユキハルアメ / やなぎなぎ
作詞:やなぎなぎ 作曲・編曲:北川勝利
切なさを感じさせるポップスの作り手といえば!の永塚健登による劇場版らくだい魔女の主題歌・ときめきの風に乗って。低年齢層向けの作品ということもあり音数はそこまで多くないが、煌びやかなウィンドチャイムや可愛らしいシンセサイザーの音色が随所に挿し込まれたりしつつ、曲全体でワクワク感を底上げするストリングスなど聴きどころたっぷりのアップナンバーに仕上がっている。
北澤ゆうほ提供によるhalcaの恋愛ミリフィルムはthe peggies楽曲の持つベーシックで普遍的なロックサウンドを受け継ぎつつ、特徴的なハイトーンもあって非常に印象的。
俺ガイル恒例となったやなぎなぎ×北川勝利のユキハルアメでは、アップテンポで高音が続くメロを柔らかく歌いこなすやなぎの実力、そして絶え間なく鳴り響く贅沢な生音をそれこそ雨のように感じられる。
☆ダウナーな雰囲気を纏うミドルナンバー
ドラム式探査機 / 田所あずさ
作詞:大木貢祐 作曲・編曲:神田ジョン
Room Light / Le☆S☆Ca (井上ほの花, 飯塚麻結, 植田ひかる)
作詞:Irodori Kaoru 作曲・編曲:シバサキユウキ
火の鳥 / 蒼山幸子
作詞・作曲:蒼山幸子 編曲:蒼山幸子, ハヤシコウスケ (Scenarioart)
もはや絶対的な座組となった田所あずさ×大木貢祐×神田ジョンによるドラム式探査機は今年随一の完成度を見せたと言っても過言ではない。チルアウトを土台に、四方八方から聞こえるアコギを筆頭とした楽器たちが得も言われぬグルーヴ感を生み出しつつ、言葉遊びも楽しくハマりも良い詞がその気持ちよさを増幅している。
ナナシス Le☆S☆Caのミニアルバムでは、今回も「10代のアイドルが社会人の日常を歌う」というテーマの新曲・Room Lightが収録された。音像粗めのエレキベースが先導する温度感の低いトラックに、幼さの残るハイトーンボーカルという組み合わせが癖になる一曲。
精力的にリリースを続ける蒼山幸子の火の鳥は、昨年のアルバムに収録されたバースデイを彷彿とさせるダウナーな楽曲で、空間系のギターサウンドと気だるげなボーカルが相乗効果で映える。シングルのアートワークも秀逸。
☆安心と信頼の宮野弦士楽曲3選
Starry Rain / 宮野弦士 feat. HALLCA
作詞:HALLCA 作曲・編曲:宮野弦士
チェリーなシークレット / 星川サラ
作詞:やぎぬまかな 作曲・編曲:宮野弦士
だって My Life もっと My Choice / 鈴木みのり
作詞:YURINA da GOLD DIGGER 作曲・編曲:宮野弦士
個人作品提供楽曲問わず高打率を叩き出す驚異のトラックメイカー・宮野弦士は今年も二次元業界で大活躍。
まずはその前に個人名義で制作されたStarry Rainを聴くべし。6分半という演奏時間を感じさせないほどの切なく煌びやかなAORサウンドと飽きさせない曲展開にその手腕が表れている。
にじさんじの星川サラに提供したチェリーなシークレットは、Starry Rainと同じく夜をテーマにした一曲ながら対照的にアップテンポなダンスナンバーに仕上がっている。リズミカルなピアノアレンジは勿論、2番ではリスナーの耳を引き付ける大胆なミキシングもあったりと高密度。
鈴木みのりのだって My Life もっと My Choiceではブラスセクションを取り入れ、思わず体を揺らしてしまう軽快なポップスを聴かせてきた。
☆J-ROCKバンドの勢い全開アッパーチューン
ココロ / Atomic Skipper
作詞・作曲:神門弘也 編曲:Atomic Skipper
FORCE LIGHT / PENGUIN RESEARCH
作詞・作曲:堀江晶太 編曲:堀江晶太, PENGUIN RESERACH
ミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂ / UNISON SQUARE GARDEN
作詞・作曲:田淵智也 編曲:UNISON SQUARE GARDEN
開幕から圧高めのボーカルで畳み掛けてくるAtomic Skipperのココロは全開のギターロック!常時爆音ギター!シンガロングできそうなほどキャッチーなサビメロも含めてアルバムリードに相応しい一曲。
キーボードがいる4ピースならではの広がりのあるサウンドを見せてきたPENGUIN RESEARCHのFORCE LIGHTでは、細かく刻むドラムのハイハットやキーボードアレンジが曲の疾走感を引き立てている。
ユニゾンの新譜からはロックバンドの攻撃性と剽軽さが表裏一体となったミレニアムハッピー・チェーンソーエッヂが一押し。意味が分かりそうで分からない田淵節全開の詞に、鋭く尖ったエレキギターと相変わらずの手数で否応なしに曲の熱量を押し上げるドラムが更なる彩りを加えている。
☆三者三様のAOR解釈 バンドvsシンガーvs声優
君と水槽とクジラ / POP ART TOWN
作詞・作曲:キタノコウヤ, なるおさやか
TOKYO スクランブル / 青野りえ
作詞:青野りえ 作曲・編曲:洞澤徹
Sunny Spot / 田村ゆかり
作詞:川島亮祐 作曲・編曲:サクマリョウ
キラキラ系POPバンドを謳うPOP ART TOWNは今年序盤の配信シングル・君と水槽とクジラでAORに接近してきた。リバーブ深めのエレキギターとアコギがアンニュイな雰囲気を醸し出し、AORに通底するアーバンさ・メロウさを与えている。
続けてシティポップ方面からAORに寄せてきた青野りえのTOKYO スクランブル。The Bookmarcsの洞澤徹が手掛けたトラックは絶妙に配置されたブラスとシンセサイザーで洗練された都会感を演出。
近年のお洒落系楽曲をリファレンスにしたと公言している田村ゆかりのSunny Spotは、近年楽曲提供の増えたサクマリョウ×川島亮祐による楽曲。リズム隊が前面に出てくる音数少なめのアレンジに、余白が多くゆったりとしたメロディも相まって心地よく、今までの彼女の楽曲にはなかったアーバンテイストを見事に切り開いて見せた。
☆思わず体が揺れてしまうダンスナンバー
We'll Be Right Back / BLU-SWING
作詞・作曲・編曲:中村祐介
MAHOROBA-Deli / DIALOGUE+
作詞・作曲:田淵智也 編曲:佐高陵平
シュガーラッシュ / miComet
作詞:DECO27 作曲:TAKU INOUE, DECO27 編曲:TAKU INOUE
世界を股に掛けて活躍するジャズバンド・BLU-SWINGの最新作でオープニングを飾ったWe'll Be Right Backがとにかく踊れる一曲。低音域でよく動くエレキベースに跳ねるようなピアノ、絶えずビートを刻むドラム、リフでもソロでも印象的なフレーズを残していくエレキギターと聴きどころ満載だ。
佐高陵平が編曲で参加したDIALOGUE+のMAHOROBA-Deliは縦ノリ系。ラップで押し通すA~Bメロではジャズピアノ系のアプローチを仕掛けつつ、歌メロになるサビではシンセを加えて一気に熱量を引き上げるという離れ業を決めている。
DECO*27とTAKU INOUEの共作によるmiCometのシュガーラッシュは軽快な四つ打ちダンスポップ!全く声質の違うデュエットだが、逆に両者の声が聴き取りやすくユニゾンの楽しさが倍増している。
☆温度感の違いを楽しむダークラブソング
漆黒 / 藤田麻衣子
作詞・作曲:藤田麻衣子 編曲:大野宏明
イバラ・ティアラ (Love arrows ver.) / 畑亜貴
作詞・作曲:畑亜貴 編曲:西岡正通
moshi moshi / 青山吉能
作詞:雨野どんぐり, 青山吉能 作曲・編曲:宮原康平
藤田麻衣子×イケメンシリーズの最新タッグとなった漆黒は、緋色の欠片関連曲を彷彿とさせるドラマチックな切なさが魅力的。作品に寄り添ってお伽噺のような雰囲気も醸し出すアコーディオンも良い仕事をしている。
15年前の美少女ゲーム主題歌をリプロダクトで蘇らせた畑亜貴のイバラ・ティアラ (Love arrows ver.)では、リズム隊のブラッシュアップに加え、打ち込みだったギターが一新されて刺々しく掻き鳴らされ、人の心の闇に切り込む楽曲の怪しい魅力を更に引き立てている。
青山吉能のmoshi moshiは声優楽曲でも中々見ないほど温度感の低いトラックにポエトリーリーディングを組み合わせた一曲。喋り、歌、効果音、トラックが全て組み合わさるカタルシスは是非聴いて味わってほしい。
☆メロもアレンジもエモい曲(語彙力ゼロ)
アノヒノコイ / 井口裕香
作詞:Giz’Mo (from Jam9) 作曲:YUU for YOU, Giz’Mo (from Jam9) 編曲:YUU for YOU
空のほほえみ方 / キタサンブラック (矢野妃菜喜)
作詞:柿沼雅美 作曲・編曲:佐藤厚仁 (Dream Monster)
時の旅人 / fuzzy knot
作詞:田澤孝介 作曲:Shinji 編曲:fuzzy knot
そうとしか言いようがないんで(逆ギレ)
疾走感のあるピアノリフが印象的な井口裕香のアノヒノコイは終わってしまった恋を振り返る失恋ソング。サビの切なさを際立てるBメロの職人技を存分に聴かれたし。
売れ線J-POPのメロ≒ただただ良いメロディで殴って来たウマ娘3期の特殊ED・空のほほえみ方も実にエモーショナル。そこに合わせるアレンジは近年の二次元音楽の文脈に則り、控えめなバンドサウンドの上にピアノとストリングスが乗ってくるというのが組み合わせの妙だと思うのだがどうだろうか。
ケルト風味のアレンジに乗せて切々と歌い上げるfuzzy knotの時の旅人は詞すら文学的でドラマチック。ずっしりと構えたギターサウンドの深みも相まって、語り部・吟遊詩人のような印象を持たせてくる。
☆己の道を突き進む声優楽曲 with 常連作家
スクラップアート / 水瀬いのり
作詞・作曲・編曲:栁舘周平
-PROPORTION- Ⅲ / 降幡愛
作詞:降幡愛 作曲・編曲:本間昭光
LITTLE・LOVE・GHOST / 大橋彩香
作詞:FUNK UCHINO 作曲:オカダユータ, 清水哲平 編曲:清水哲平
水瀬いのり×栁舘周平の最新曲・スクラップアートはフューチャーコアとバンドサウンドを融合させた挑戦的なアップナンバー!高音域が続く切迫したメロに途中から加わるストリングスが否応なく曲全体のボルテージを上げ、3分半の演奏時間を息つく間もなく駆け抜ける。最早音楽体験の域である。
80sサウンドで勝負し続ける降幡愛×本間昭光はフライディ・チャイナタウンリバイバルの-PROPORTION- Ⅲで歌謡曲の底力を見せつけてきた。あまりにも不埒な歌詞を作詞してなお乗りこなす降幡本人のセンスもさることながら、鳴る音全てから80年代の匂いを漂わせる本間昭光の手腕は流石の一言。
大橋彩香のLITTLE・LOVE・GHOSTでは過去に2曲提供経験のあるFUNK UCHINOが作詞で参加。派手なブラスが鳴るロックナンバー+響きと韻に重きを置いたであろう気持ちの良い言葉選び、そして表情豊かな大橋彩香のボーカルが何よりも魅力的に聴こえるのが素晴らしい。
☆多様なドラマチックさを見せる二次元男性アイドルソング
EVER RED / RED BOUQUET (梶原岳人, 林勇, 寺島拓篤, 土岐隼一, 日向朔公, 仲村宗悟)
作詞・作曲:SFM 編曲:Toshihiro
Don't Look Back / UNNAMED BANQUET (羽多野渉, 野島健児)
作詞:PA-NON 作曲:ペンギンス, 永野小織, まめ 編曲:渡辺拓也
Kissから始まるI love you / MooNs (上村祐翔, 柿原徹也, 森久保祥太郎, 大河元気 増田俊樹)
作詞・作曲:宮崎まゆ 編曲:賀佐泰洋
サンリオの新プロジェクト・フラガリアメモリーズから登場したEVER REDはアップテンポの四つ打ちトランス!イントロや間奏で登場するシンセリフは打ち込み系のリスナーにも刺さりつつ、6人のキャラクターによるユニゾンが楽曲の持つエモーショナルさを増幅させている。
ヘブンズコード・ブレイカーズのDon't Look Backは同じくマイナーアップだがこちらはロックテイスト。常時暴れるリードギター、手数の多いドラム、サビの上で鳴るシンセと高圧力で攻めてくる音像にテンションが上がる。
B-PROJECTのKissから始まるI love youは珍しくメロのキャッチーさも兼ね備えたPOP系EDM。恋愛ドラマの主題歌と思うほどの王道シンデレラストーリーな詞に小気味の良いリズムに自然と身体が揺れそうだ。
☆歌謡曲と様々なポップスジャンルの融合
Behind the moon / 明星 (田邊幸輔) & 安曇 (大野智敬)
作詞:hotaru 作曲・編曲:奥井康介
祈りの鐘が響く / マキタマシロ
作詞:マキタマシロ 作曲:黒崎ジョン 編曲:滝沢光啓
此処に高鳴る夏 / 下町ノ夏
作詞・作曲:下町ノ夏 編曲:ZAKI
リモート☆ホストのBehind the moonはムード歌謡をサブカル的キャラソンの枠に落とし込んだミドルナンバー。時代の香りを漂わせるシンセストリングスの音色が印象に残りやすいが、打ち込み系を得意とする奥井康介の鍵盤アレンジも聴きどころ。
昭和歌謡をベースとした音楽性で活動するマキタマシロは2ndアルバム収録曲・祈りの鐘が響くでラテンポップに接近。曲調にマッチした情熱的な歌唱表現とブラスアレンジが光る。
まさしく歌謡感溢れる下町ノ夏の此処に高鳴る夏は80年代アイドル歌謡にシンセの打ち込みを組み合わせた爽やかなアップナンバーで、その絶妙なノスタルジーはゼロ年代前半の美少女ゲーム楽曲に通ずるところがある。
☆色々な「前向き」の形を提示するポップソング達
ともしびの種 / 中江有里
作詞:松井五郎 作曲:森恵 編曲:安部潤
成せる業~ナセワザ~ /笠原弘子
作詞:笠原弘子 作曲・編曲:海津信志
ウェディングベルが鳴り響く / ReLIT
作詞:青野精一郎 作曲・編曲:キタノコウヤ (POP ART TOWN)
松井五郎プロデュースで活動する中江有里は今年も新曲を複数リリースしたが、その中でも柔らかなミドルナンバーのともしびの種が素晴らしかった。ストリングスが加わって華やかなJ-POP的アレンジはもちろんのこと、メッセージ色の強い歌詞を押しつけがましくない絶妙なニュアンスで歌い切ったその技術とセンスに脱帽。
近年精力的に音楽活動を展開する笠原弘子の成せる業~ナセワザ~はファンキーなギターアレンジが光るポップナンバー。思わずリズムに乗ってしまうシンセサイザーの打ち込みに、温かな人との繋がりをテーマにした詞と程良く脱力した歌声がベストマッチ。
男性アイドルグループ・ReLITのウェディングベルが鳴り響くは文字通りの明るいウェディングソング。POP ART TOWN キタノコウヤのキラキラと華やぐ音楽性が存分に発揮された楽曲は鍵盤とストリングスが映えつつ、未来を見据える幸福を描いた詞は言わずもがな相性抜群。
☆やり切れない感情を込めた心中吐露ソング with 楠木ともり
ザムザ / 25時、ナイトコードで。
作詞・作曲・編曲:てにをは
眠れない / MIMiNARI feat. 楠木ともり
作詞・作曲・編曲:MIMiNARI
それを僕は強さと呼びたい / 楠木ともり
作詞:ハルカ 作曲:ハルカトミユキ 編曲:安原兵衛
プロセカ・ニーゴの最新曲であるザムザはフランツ・カフカ『変身』をモチーフにした悲痛なナンバー。ボカロ文脈に位置するラテンポップに前衛的なボーカルチョップと求心力の強いメロが絡み合って中毒性を生み出している。
ひきこまり吸血姫EDの眠れないは浮遊感のあるサウンドでAOR~ドリームポップの良いとこ取りをしつつ、その裏で軽快に動いているリズム隊に注目するのも楽しい一曲。
そしてどちらの楽曲でも裏声やウィスパーボイスを巧みに使い分けた歌唱表現でリスナーの耳を引いた楠木ともりの個人名義では、ハルカトミユキ提供によるピアノロック・それを僕は強さと呼びたいのリスナーに訴えかけるような切実なメロと詞が印象的なので一度聴いてみてほしい。
☆夜と切なさを感じさせるスローナンバー
Tokyo Wabi-Sabi Lullaby / Gawr Gura
作詞・作曲・編曲:HoneyWorks, MARUMOCHI
ひとりの夜のフィルモグラフィー / 白丸美兎 (近藤玲奈)
作詞:松井洋平 作曲・編曲:YAS
残光 / 戌亥とこ
作詞・作曲・編曲:にお
友人との別れ、眠れない夜の切なさを丁寧に描いたGawr GuraのTokyo Wabi-Sabi LullabyはHoneyWorks謹製のシンセポップ。ホロライブEN所属とは思えないほど流暢な日本語とネイティブの英詞で綴られる情景をじっくり堪能できる。
それと同系統のミドルナンバーでは今年秋に一斉解禁されたワールドダイスターの関連楽曲・ひとりの夜のフィルモグラフィーもオススメ。作家自身が弾いたエレキギターの表情豊かな響きを存分に楽しめる。
Nornisのメンバーとしても活躍する戌亥とこの残光は、J-POP畑に殴り込んでも通用するストリングスバラード。曲自体は勿論、低音高音問わず&主旋律からコーラスまで説得力を失わないボーカルの力量にも注目。
☆氷と炎、対極に位置する人魚の世界
Ice Mermaid / Takahiro Kido, Yuki Murata, Kenji Azuma
作曲・編曲:Takahiro Kido, Yuki Murata, Kenji Azuma
Mermaid / TrySail
作詞:大森祥子 作曲:敬也 -amazuti- 編曲:amazuti
Ice MermaidはAnoiceのTakahiro Kido,Yuki MurataがアンビエントミュージシャンKenji Azumaとタッグを組んだ9分越えのインスト曲。氷と水を主題とした透明感と繊細さのある神秘的なサウンドに、目を閉じると思わず深海へ誘われてしまうかのような没入感を味わえる。全四部構成の曲展開と幻想的なアートワークも相まって物語性までもを感じられる一曲。
一方、燃え上がるほどの悲恋に身をやつす人魚を描いたTrySailのMermaidはアップテンポのラテン歌謡。16ビートのトラックからはダンスチューンとしての解釈も生まれており、リズムに身を委ねる心地良さも楽しめそうだ。
☆今年の締めは声優マイナーアップ
ユエニ / 夏川椎菜
作詞:夏川椎菜 作曲:草野華余子 編曲:eba, 岸田 (岸田教団&THE明星ロケッツ)
Event Horizon / 三角葵 (春野杏)
作詞・作曲・編曲:5u5h1
Imitation Ghost / ストレイライト (田中有紀, 幸村恵理, 北原沙弥香)
作詞:下地悠 作曲:本多友紀 (Arte Refact) 編曲:脇眞富 (Arte Refact)
草野華余子たっての希望が実現した夏川椎菜とのタッグ作・ユエニは今年随一の完成度を見せたピアノロック。難解でいて疾走感のあるメロディを乗りこなすハイトーンの夏川Voもさることながら、荒れ狂うLRのエレキギターやベースラインといった楽器隊の存在感も十分。
オンゲキのEvent Horizonはトラックメイカー5u5h1の手によるアッパーな四つ打ちトランス。特筆すべきはサビの爽快感! 軽やかに流れていく英詞と高音が続く日本語詞が交互に現れ、頭から尻尾まで高いボルテージを維持している。
シャニマス・ストレイライトは珍しく打ち込みのシンセ音をほとんど使っていないギターロック・Imitation Ghostを新譜のA面に置いてきた。どこか剽軽さすら感じるギターリフや地味に8小節回しから外れたBメロなど一筋縄ではいかぬ様子を見せつつ、随所でドラムのキメが光ったり、本多友紀のキャッチーなメロディセンスが爆発したりとアニソン的マイナーアップの良さもしっかりと残している。
来年もぼちぼち音楽を聴いて暮らしたいです。良いお年を。