通常の畳とはどう違う?世界一長い12.67メートルの特注畳の魅力を徹底解説
熊本県八代市で製作された「世界一長い畳」が、2024年8月に完成し、その後ギネス世界記録に認定されました。
この畳は、長さ12.67メートル、重さ160キロという圧倒的な存在感を誇り、地元の八代産イ草を使用しています。通常の畳の7倍以上の大きさを持つこの特別な畳には、熊本のシンボル「くまモン」のデザインが縁に施され、さらに純金の縁で仕上げられています。
この挑戦は、八代市と隣接する宇城市のイ草農家や畳職人らの協力で実現し、日本の伝統文化である畳を国内外に広めるという目的がありました。
本記事では、この特注畳の魅力を、通常の畳との違いや製作プロセス、デザインのこだわりとともに詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
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■特注畳の基本スペックとは?通常の畳との違い
特注畳と通常の畳の違いを一言で言うなら、そのスケールとこだわりの作りです。長さや重さ、素材まで、あらゆる面で通常の畳とは一線を画しています。この章では、サイズや構造、そしてデザインに至るまで、どのように特注畳が特別なのか詳しく解説します。
・長さと幅/圧倒的なスケール
世界一長い畳の大きさは、通常の畳の約7倍もあります。通常の畳は、1畳サイズでおおよそ1.8メートル×0.9メートル。一方、今回ギネス世界記録に認定された特注畳の長さは12.67メートル。
幅は通常の畳とほぼ同じ95センチですが、その長さが通常の畳とはまったく異なるスケール感を生み出しています。
長さがこれほど長くなると、製作にも相当な技術が求められます。私も畳を製作する際、長さが長くなればなるほど、素材の均一性を保つことが難しくなります。
特に、イ草を使用する場合は、編み込む際に均一な張りを持たせる必要があります。12.67メートルもの畳を作り上げた職人たちの技術の高さには感服せざるを得ませんね。
また、この大きさになると、畳の使用方法も通常とは異なり、設置場所や用途に応じたカスタマイズが必要になります。今回の特注畳は、「くまモンポート八代」のターミナルに設置され、巨大なベンチとして利用されています。まさに、観光客の目を引くための作品と言えるでしょう。
・重さと厚み/特別な構造
次に注目したいのは、重さと厚みです。この特注畳の重さは、なんと160キロにもなります。通常の畳の重さが約20キロ程度なので、この特注畳はその約8倍の重さがあります。
通常の畳と同じくイ草を使用しているにもかかわらず、これほどの重量がある理由は、サイズの大きさとともに、中身の構造に工夫がされているからです。
厚みは5センチで、これも通常の畳とほぼ同じですが、12メートル以上の長さを持つ畳を支えるには、通常の構造では足りません。畳の芯部分には特別な補強が施されていると考えられます。
実際、私も大きめの畳を作った際には、内部に強い素材を使い、たわまないように工夫を施します。このような補強がなければ、長い畳は使用に耐えられず、見た目だけではなく耐久性にも影響が出ます。
また、最近では畳の機械で縫う事が主流になっていますが、ここまで長いと機械が使えません。おそらく畳の重さから想定するにワラの畳床(芯がワラ)+補強材なので縫う時に畳針が貫通しずらく、分担してすべて手作業で縫ったとしても相当時間が掛かったと思われます。
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また、160キロの畳となると、設置や移動も一苦労です。これを運搬し、正確に設置するためには、多くの職人たちが力を合わせて作業を進める必要があったことでしょう。畳は見た目がシンプルですが、製作過程や設置のプロセスには繊細な技術が求められるのです。
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・特注仕様の素材と縁
そして、この特注畳のもう一つの特徴は、「純金の縁」です。通常の畳の縁は布や合成素材で作られることが多いですが、この特注畳にはなんと純金が使われています。通常の畳では考えられないような素材を使用しているため、この畳はまさに一枚のアート作品とも言えるでしょう。
畳の縁は、単にデザインだけでなく、畳全体の耐久性や仕上がりを左右する重要な部分です。純金の縁を使うという発想は、熊本の文化や誇りを象徴する意図も感じられます。
私が職人として作る畳では、縁の素材には特にこだわり、畳の使用場所に応じて適切な素材を選ぶようにしています。この特注畳の場合も、デザイン性だけでなく、熊本の魅力を伝えるための重要なポイントとして純金が選ばれたのでしょう。
さらに、くまモンのデザインがあしらわれた特注仕様となっており、この畳はただの床材としての機能を超え、地域の象徴としての役割も持っています。
通常の畳がシンプルで落ち着いたデザインであるのに対し、この畳は見る人を楽しませる要素も加わっています。畳は決して過去の遺物ではなく、こうした新しい取り組みで現代の文化に合わせて進化しているのだと感じますね。
特注畳は、サイズや重さ、素材に至るまで、通常の畳とはまったく異なるスケールとこだわりを持っています。その製作には熟練の技術が詰め込まれており、畳という日本の伝統文化が今も進化を続けていることが実感できますね。
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■世界一長い畳の製作プロセス
世界一長い畳がどのようにして作られたのか、製作には熊本の伝統的な技術がふんだんに盛り込まれています。
この特注畳は、通常の畳とはまったく異なるスケールを持ちますが、そこには職人たちの技とチームワークが大きく関わっていました。この章では、その製作過程を詳しく見ていきます。
・熊本の伝統技術が支える製作過程
特注畳の製作は、約40人の職人たちが協力して行いました。通常の畳は1人の職人が数時間から数日で仕上げますが、このような巨大な畳となると、多くの手が必要になります。
まず、製作にあたり重要なのは、熊本の特産であるイ草の質。熊本は日本一のイ草の産地であり、その品質の高さが畳の出来を左右します。
特注畳では、通常の畳と同じ製法をベースにしながらも、規模が大きくなることで素材の均一性を保つことが困難になります。
具体的には、長さ12.67メートルにもなる畳表(たたみのおもて面)を編み込む際、長さ全体にわたってイ草の密度や張り具合を均等にする必要ももちろんあります。
何より私が一番素晴らしい技術と思うのは、通常畳のゴザはシワが残らないように、ピンと張らなければいけないのですが、ここではどのようにして貼ったのか、また難しく素晴らしい職人技だと感心しています。
また、畳の芯となる部分には、おそらく強度を保つために特別な補強材が使用されていると考えられます。これも、通常の畳と同じ構造では巨大な重量に耐えられないため、特別な床出し技術(とこだし:畳の台を作る工程)が必要だったのです。
この特注畳の製作には、畳職人たちが持つ伝統技術がしっかりと応用され、さらにそれを超える規模での技術的な挑戦があり、40人もの職人たちが手を取り合い、各工程を分担して作業を進めることで、畳の巨大さにもかかわらず、精密さを失わない仕上がりとなったのだと思います。
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・設置場所と用途/クルーズ船ターミナルでの巨大ベンチとして
この特注畳は、熊本県八代市の**「くまモンポート八代」というクルーズ船ターミナルに設置されています。畳が巨大なベンチとして**利用されているのですが、なぜこの場所が選ばれたのでしょうか?
「くまモンポート八代」は、国内外から訪れる観光客が多く集まる場所です。特に、外国人観光客が多く利用するクルーズ船の拠点となっており、畳の設置は日本文化を直接体感できるスポットとしての役割を果たしています。
熊本のシンボルキャラクターである「くまモン」がデザインされた畳は、観光客にとっても興味を引く存在ですし、日本の伝統文化である畳に触れる機会を提供するという意図があるのだと思います。
実際に、12.67メートルもの巨大な畳に座ってくつろぐことができるベンチというのは、非常にユニークです。日本の伝統的な畳が、ベンチという形で実用的に活かされることで、畳文化が日常の中に溶け込む様子を外国人観光客にも伝えることができるでしょう。
このような形での畳の利用は、日本文化の新しい一面を見せており、単なる床材としての畳から一歩進んだ活用方法だと感じます。
・測定とギネス認定のプロセス
この特注畳がギネス世界記録として認定されるには、厳密な測定と申請のプロセスが必要でした。2024年8月26日に、正式に12.67メートルの長さで測定され、その後、ギネス本部に記録が提出されました。
測定には、プロの測量士が立ち会い、特別な機器を使って正確に行われました。畳は柔軟な素材を使用しているため、測定の際には畳の形状や環境条件に影響されないように細心の注意が払われたはずです。
ギネス記録では、こうした測定が正確であることが非常に重要です。私も以前に大きな畳を製作した際、製品の形が完璧に整っているかを何度も確認しました。特に大きな畳の場合、わずかな歪みやたるみが結果に大きく影響するため、職人たちはこの部分に相当な注意を払ったと思います。
また、ギネス認定には、ビデオ撮影や証明写真も必要で、記録の提出後に厳正な審査が行われました。これによって、今回の12.67メートルの畳は、正式に世界一の長さを持つ畳としてギネスに認定されることとなりました。
このようにして、熊本の職人たちが心を込めて作り上げた畳が世界に認められ、日本の伝統文化が再び注目を集めることになったのです。この特注畳が持つ技術的な挑戦と、その背景にある伝統の力は、これからも多くの人に感動を与えることでしょう。
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■特別仕様の畳に込められたデザインのこだわり
この特注畳は、ただの巨大な畳というだけではなく、そのデザインにも特別な意味とこだわりが詰まっています。熊本県の象徴である「くまモン」がデザインされ、さらに「純金の縁」という豪華な仕上げが施されています。
これにより、日本の伝統文化である畳が現代的な要素を取り入れ、新しい形での魅力を発信しています。この章では、そのデザインの意図や効果について詳しく掘り下げていきます。
・くまモンデザインの魅力
まず注目したいのは、この特注畳に施された**「くまモン」**のデザインです。くまモンは熊本県のPRキャラクターとして国内外で非常に人気があります。この畳にくまモンをデザインした理由は、熊本の地域文化と畳の伝統を一体化させ、観光客や畳を知らない人々に親しみやすい印象を与えるためです。
「くまモン」というキャラクターは、シンプルで愛らしいデザインが特徴で、畳の縁や表面にさりげなく配置されています。このデザインによって、畳がただの床材ではなく、見る人に楽しさや驚きを与える要素を持つことになります。
特に、外国人観光客にとっては「くまモン」が非常にキャッチーな要素となり、日本の伝統文化を親しみやすいものに変えてくれます。
私もプロの畳職人として、こうした現代的なキャラクターやデザインが伝統的な畳に取り入れられることは、畳文化の広がりを支える大きなポイントだと感じます。くまモンをデザインに取り入れることで、子どもから大人まで、幅広い世代に畳の魅力を伝えることができるようになるのです。
・日本の伝統と現代デザインの融合
この特注畳のもう一つの魅力は、伝統的な畳文化と現代的なデザインが見事に融合している点です。畳は、古くから日本の生活文化の一部として親しまれてきましたが、近年では現代のライフスタイルに合わせたデザインや使い方が求められるようになっています。
この特注畳は、その一例として、日本の伝統技術を守りながらも、新しい要素を取り入れることで、現代的な感覚にも合うように仕上げられています。
畳の縁に「くまモン」の刺繍が施されているのは、その象徴的な例です。畳の縁は通常、シンプルな布や柄で作られていますが、この畳では現代のアイコンである「くまモン」が採用されています。
これは、伝統と現代が対立するのではなく、共存し、互いに補完し合うというメッセージを持っているように感じます。
また、現代の観光地や商業施設などで畳を目にすることが少なくなっている中で、このようなデザインを持つ畳は、新たな日本文化の表現方法として大きな意味を持つと思います。
伝統的なものを維持しながらも、現代のニーズに応じて柔軟に進化することは、畳文化を次世代へと引き継ぐための重要なポイントです。
・純金の縁の意味と象徴
そして、特に注目すべきは**「純金の縁」です。通常の畳の縁は、布や合成素材を使用することが一般的ですが、この特注畳ではなんと純金が使われています**。これは非常に豪華な仕様であり、畳そのものをまるで芸術作品です。
純金の縁が持つ象徴的な意味は、熊本の誇りや伝統の価値を高めるということです。畳はシンプルで実用的なものとして知られていますが、この純金を使うことで、畳が持つ文化的価値が強調され、さらに高級感と特別感が際立っています。
この仕様は、ただ豪華に見せるためだけではなく、熊本という地域の誇りや、畳という伝統文化へのリスペクトを表現しているのです。
私が職人として畳を作る際にも、縁の素材やデザインには特にこだわります。縁は畳の見た目だけでなく、その耐久性や完成度に直結する重要な要素です。純金の縁を使用するということは、それだけこの畳が「特別な存在」であることを示していると感じます。
このように、くまモンのデザインと純金の縁を融合させた特注畳は、単なる伝統工芸品ではなく、現代と伝統が交わる新しい日本の象徴として、多くの人に愛される存在となっているのです。畳文化がこれからも進化し続けるためには、こうした新しい挑戦が不可欠だと思います。
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■通常の畳とはどう違う?世界一長い12.67メートルの特注畳の魅力を徹底解説の総括
熊本の職人たちが手がけた世界一長い畳は、ただの巨大な畳というだけではありません。その中には、熊本の誇りと、日本の伝統技術、そして現代的なデザインの融合が詰まっています。
12.67メートルという驚異的なスケールを持ちながらも、細部には「くまモン」の愛らしいデザインや、純金の縁といった特別な仕様が施され、ただの床材からアートや文化の象徴へと昇華されています。
特注畳は、伝統的な畳作りの技術に新しい挑戦を加え、世界的な認知を得ることで、畳文化がこれからも進化していく可能性を示しました。このような試みは、畳職人として私自身も大いに刺激を受けますし、畳が単なる過去の遺物ではなく、現代においても生き続ける文化だということを再認識させてくれます。
今後、この畳を通じて、国内外の多くの人々が日本の畳文化に触れ、魅力を再発見する機会が増えていくことを願っています。畳は日本の心とも言える文化であり、その可能性は無限です。伝統を守りつつ、新しい発展を追い求めることで、畳文化がさらなる輝きを放つ未来が待っているのではないでしょうか。
参考:読売新聞オンライン
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