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【2023年度 読書記録⑧】『不祥事』池井戸潤(実業之日本社)

はじめに

今回は8冊目の読書記録にして初の小説です。
中学生くらいまでは読書が大好きで小説をよく読んでいたのに、いつの間にか読まなくなり、活字にしてもフィクションからは遠ざかってしまっていました。今回は久しぶりの小説で、銀行を扱った池井戸潤さんの『不祥事』を読みました。数年前にあった「花咲舞が黙ってない」というドラマの原作です。

概要・あらすじ

正義感が強く、曲がったことが大嫌いな花咲舞が、上司の相馬調査役とともに行員の不祥事や取引先の悪事を暴いていく痛快なお話です。主人公の花咲舞は、入行5年目で本部の事務部臨店チームに配属されます。全国の各支店に出向き、営業課の指導や応援をする部署です。各支店を臨店する中で、保身のみを考える銀行員、銀行を犯罪に利用する悪意のある客、大企業の御曹司などさまざまな人物をコテンパンにやっつけていきます。

感想

銀行で働く身として前提や設定が入ってきやすかったこともあり、ストーリーの流れに沿ってサクサクと楽しく読破できました。池井戸潤さんの銀行が舞台の小説は、「銀行は欲のうごめく辟易するようなところで悪い人間もいるけど、それでもプライドを持って客のため銀行のために主人公が頑張り、周りの人間に銀行員としての矜持を思い出させる」という、銀行員としては何とも複雑な思いになるような内容のものが多いです。本書も例外ではなく、痛快な勧善懲悪で読んでいて心地が良い一方で、まだ1年目の自分には見えていないけれどこんな世界が銀行にはあるのかもしれないと思わず怖くなってしまいます。もちろんフィクションゆえの描き方ではありますが。

おわりに

今回、久しぶりの小説で、小説の良さを再認識しました。帰りの電車で降車駅を忘れてしまうくらい集中する没入感や、読了後の達成感。映画を見た時とはまた少し違った、小説ならではの楽しさを思い出しました。今後も定期的に小説を読んでいきたいと思います。

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