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ヒルクライマーがマラソンにハマった話(前編)

ヒルクライマーとマラソンランナーは同じ世界に住んでいるかもしれない。


まえがき

著者自身について

2023年12月時点の情報
33歳男性
身長172㎝体重57.5㎏
中高6年間陸上部に所属して長距離走を専門としていた。

高校時代の夏の合同合宿にて、目線無しが筆者
私の通っていた高校はもう存在しない
弥栄は東西に分かれていたし法政二高は男子校だった(歳がバレる)

それなりに真面目にやっていたが、個人では県大会に行けるかどうかのボーダーラインぐらいのランナーだった。
高校卒業あたりからロードバイクにのめり込み10年ほどランニングとはしばらく距離を置いていたが、2020年ごろからまた週1-2回程度ランニングを嗜むようになっていた。
特にレースやイベントに出ることはなく、健康維持のためのファンラン。

コレが「嗜む」の領域なのかについては議論がある

2023年のMt.富士ヒルクライム(64分台、ゴールド獲得)を終えた6月初旬、「たまにはフルマラソンでも走ってみるか…」という思い付きで半年後の湘南国際マラソンにエントリーしたのであった。

目標設定

せっかく走るなら何らかの目標設定はしたいところ。
大学入学直後に人生で一度だけ走ったフルマラソン(かすみがうらマラソン)は、大して練習もしなかったが高校時代の貯金もあって3時間15分ぐらいで走れていた。
30代になったとはいえ、ある程度練習をすれば3時間は切れるんじゃないか、ということでまずは"サブスリー"を目標に置いて練習することにした。サブスリー取っておけば自慢できそうだし。
目標は練習での感触次第で多少柔軟に変更することにして、どんな練習が必要かを考えた。

練習概要

トレーニングプラン

サブスリーに必要なペースは4分15秒/km
速いといえば速いが、別に全力疾走というわけではない。
必要と思われる有酸素運動の能力は自転車で十分すぎるほど鍛えてある。
よって、本番に向けての課題は以下の三つ。

・筋持久力
→着地衝撃に3時間耐え続ける力
・ランニングエコノミー
→効率よく体を前に進める力
・ペース感覚
→一定ペースを崩さず刻む力
いずれもランニングでしか鍛えられない能力である。

自転車からランニングに移行するときに大事なのがまずは脚作りだ。
サドルに支えられ続けて甘えた骨と靱帯は、見た目は細いがマラソン的にはわがままボディ。
着地衝撃に耐えうる下半身を作らないとあっという間に壊れてしまう。
そこで、暑くて体へのダメージが大きい夏の間はジョグの頻度・距離を増やし「走ることに慣れる」のを第一に考えた。

心肺機能については暑い中でも比較的強度を上げやすい自転車で維持・向上を目指し、それ以上のことは涼しくなってから考えることにした。

月ごとの走行距離

レースに申し込んだ6月から本番直前の11月までの月ごとの走行距離は以下の通り。
6月87km
7月143km
8月175km
9月174km
10月247km
11月267km

 …
 
「お前マラソン舐めてるだろ?」
と言われそうな練習量だが、9月までは月1000kmぐらい自転車に乗っていて10月と11月も通勤の多くは自転車。トータルの運動時間はおおむね月50時間前後をキープしていた。

実際のところ記録的猛暑で9月までは暑さが厳しく、高強度の練習は(走行風で身体を冷やせる)自転車が中心。猛暑の中練習に付き合ってくれた仲間たちには頭が上がらない。 
あと乗鞍に行ったりエベレスティングやったりしていた

乗鞍はいいぞ

高所で運動をすることで遊びながら心肺機能を鍛えられた、はず。

実際どんな練習をしたか

通勤ラン

夏場のランニングは週1~2回の通勤ランが中心となった。
当時の職場は片道ほぼ10kmで9割方は信号の無い川沿い、ロッカーに着替えを置いておけるしシャワーもあるしで通勤ランには最高の環境だったのだ。
さすがに真夏は暑くて大変だったが、冷凍庫で凍らせたハイドレーションパックを背負うという荒業でなんとか乗り切った。背中を冷却しつつ常に氷水が飲める一石二鳥の手法だ。
朝晩でそこそこの距離を休まず走れて、いいベース練習になったと思う。

ペースは気にせず、一歩一歩の着地を丁寧に、リズムを崩さず…
最初は週1回片道(行きか帰り)走るだけ、少しずつ身体が慣れるに従って週2回片道→週2回往復と量を増やしていった。
着地衝撃をうまく前方への推進力へ転換する力=ランニングエコノミーが向上していったのか、徐々に10km走った程度では大して疲れなくなってきた。

暑さを避けて練習するために"ちょこザップ"に登録してジムでトレッドミル…というのも一度試してみたが、みんな普段着で軽く運動しに来ているのにキロ4分とかで走ってる奴がいると明らかに異質で浮いてしまうのですぐ辞めた。

秋に涼しくなってからも通勤ランは継続。結局これが私の練習の柱となった。

ポイント練習

秋から取り組んだ、マラソン本番を見据えたポイント練習を一覧に書き出してみた。
それぞれの内容と狙いを簡単に紹介してみようと思う。

・9/20 10kmTT(皇居2周 38分31秒 3分51秒/km)
アシックスラン丸の内でマジックスピード3を借りてのタイムトライアル。

走りやすいし結構スピードも出る

本番でどんなシューズを使おうかの検討も兼ねて現状確認で頑張ってみた。
9月の昼間ということもあり、かなり蒸し暑かったためあまりタイムは出なかった。

・9/29 渋峠マラソン旅行(湯田中~渋峠〜草津温泉45kmの舗装路山岳ラン)
旅行に行きたいし絶景は見たいしマラソン練習もしたかった欲張りセット。

この景色をランニングで味わえるとは…またやりたい

上りは3時間淡々と走り続け、絶景の後の下りはひたすら耐えるのみ。
これだけで記事がもう一本書けそうな気がするので詳細は割愛。

・10/11 ヤビツ峠走(上り54分09秒-下り48分26秒)
マラソン練習には峠走がいいぞ、と聞いていたのでやってみることに。
名古木交差点から峠まで60分を切ればサブスリーが見える、と聞いていたが実際は54分ほどで走れた。下りはゆっくり。

まだ折り返し点だと気づいて絶望している図

距離・時間耐性にはまだ不安があったものの、本番の目標タイムをサブスリーからサブエガ(2時間50分)に上方修正した。
あと2か月弱でどこまで行けるだろうか?

・10/18 ハーフ走(河川敷 1時間23分17秒、3分57秒/km)
だいぶ涼しくなってきたので本格的に距離走を開始。まずは本番想定ペースにてハーフマラソン。
後半は結構苦しかったものの、一応設定ペース内で走ることができた。
しかし、フルマラソンはこの倍か・・・とちょっと気が重くなる。

・10/24 30km走(河川敷 2時間12分08秒、4分24秒/km)
マラソンに取り組む人ならやるべき練習の一つ、30km走。マラソンの目標ペース+20-30秒/kmでやるのがセオリーと聞いたのでその通りに。
シューズは速めのジョグで使っているASICSのEVORIDE SPEED。クッションと反発どちらも適度で使いやすい。
涼しかったしペースも抑えめだったこともあり、ある程度余裕をもって最後まで走ることができた。

・11/1 30km走(河川敷 2時間07分07秒、4分14秒/km)
天気も良かったので二週連続の30km走。今回は少しペースを上げて頑張ってみる。
シューズはNIKE ZOOMFLY 5。少し重い代わりにクッションも反発もかなり強く、ショートインターバルからペース走、一人箱根駅伝までこなせる万能シューズである。
時計を見ずにペースを作る練習も兼ねて走る。基本的に一人で練習しているが、誰かに頼らずペース管理をしているおかげでペース感覚も身についてきた。
水だけ飲んで走っていたらラストでエネルギー切れを感じた。本番に向けて補給の計画も考えなければ。

・11/8 ハーフ走(河川敷往復 1時間22分44秒、3分55秒/km)
レース本番用に購入したアシックスのS4の性能テストを兼ねたレースペース走。

サブフォー用?それは嘘でしょう

思いの外シューズと自身の走りの相性がよく、本番まで一ヶ月を切って少し自信が出てきた。涼しくなってきたのも大きいはず。
ACTIVIKEのスピードジェルも試してみて、走りながらでも開封して飲めることを確認。本番でも使うことに決めた。

サラッとして飲みやすい、カフェイン入り

・11/15 ヤビツ峠走(上り52分55秒-下り43分16秒)
本番まで2週間あまり、最後の全力練習。
上りは一定負荷を心掛けて最後まで走り抜け、53分を切って自己ベスト更新。間髪入れず折り返して下りも全開。STRAVAのヤビツ峠往復という誰得セグメントで1位になった。

ヤビツ往復ハーフマラソンとかあったら面白そうじゃない?

上りで心肺機能を極限まで追い込み、下りは重力のサポートで自分では出せないスピードを出し続ける。過酷な練習だが間違いなく力になったと思う。

・11/23 ハーフ走(皇居4周+α 1時間20分46秒、3分49秒/km)
ここまでくればあとは本番に向けた調整、という訳でレースの前半を想定してハーフマラソン。ウェアもシューズも本番と同じ、当日もアップはほとんどしない予定なのでその想定で。結構キツかったがあと10kmぐらいは行けそうな感触で終えられた。本番では前半をこのペースで入り、後半多少崩れても2時間50分を切れるだろうという目論見である。

調整

直前はセオリー通り強度を維持しながら量を減らして調子を上げていった。
7日前に皇居2周の閾値走(3分44秒/km)、4日前に10㎞ほどのビルドアップ走で刺激入れ。

前日は普通に仕事だったが、調子は悪くない。

Forerunner255sは行けると言っている!

期待と不安の湘南国際マラソン、いよいよ開幕!

後編に続く

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