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第12回 東京ヒルクライムHINOHARAステージ 30代男子優勝

時系列はグチャグチャだけど、忘れる前に書いておこう。

大会について

東京本土唯一の村、檜原村を舞台にしたヒルクライムレース。
豆腐で有名なちとせ屋さんの前をスタートし、南秋川に沿って都民の森までを駆け抜ける約21kmのコースだ。
前半は緩いアップダウンを繰り返しながら徐々に標高を上げ、後半は7〜8%程度のややキツめの勾配が続く。
コロナ禍で大会が簡素化(表彰式省略など)されたことで人気は率直に言って低く、今年は箱根や定峰など同日開催の他の大会に流れた人も多かった模様で参加者は300人ほど。これは入賞のチャンス…!

機材

フレームは夏に組んだばかりのMADONE SLR Gen8。軽快感と平坦での速さを両立していて、少し固めだけど踏めなくて辛いということもない。値段以外は素晴らしいフレームだ。ステム一体型の専用ハンドルはブラケット部が370mmで下ハンは400mmのフレア形状。最初は狭く感じたがもう慣れたし、400mmは広く感じてしまう。

ヒルクライムとはいえエアロも大事

エアロボトルは2本とも装着した。中身は空なので単なるエアロパーツ。250gのウェイトより空気抵抗を取ったが、果たして。
ホイールは以前から使っているBontrager Aeolus Pro51、そんなに軽くはないけどスピードに乗せやすいし横風にも強い。タイヤは飛び道具のPanaracer Agilest Light 28CにMageneのTPUチューブを入れて心ばかりの軽量化を図る。
駆動系は問題児、Wheeltop EDSをフロントシングルで運用している。46Tx11-30T(11速)のギア比は後半ちょっと辛かった。コンポについてはそのうち別の記事で…

ウェア

今夏から始動したチームMETHIのチームウェアデビュー戦。BIORACER EPICロードレースワンピースにインナーはカペルミュールの網々インナー。アームカバーとVELOTOZEのシューズカバーで雨対策をした。

ゼッケンの空気抵抗少ない選手権とかあれば勝てると思う


最近までずっと暑い中走っていたから気温18℃と言われても正直よく分からない…

調子

悪い。とても悪い。
9月前半、マラソンシーズンに向けた走り込みで左大転子部を痛め(滑液包炎)、その悪影響から練習量が極端に落ちた。転職したことで練習のリズムも取れずローラー環境も無く、プライベートでも色々とあり非常にストレスを溜め込んでしまっていた。走れないストレスを解消したくて治りきってもいないのに走ってはまた痛め…という悪循環。

練習できていないぶん筋肉の疲労はしっかり抜けていて、直前の誤魔化しながらの練習では短時間なら踏めそうな気配。ただし長時間は持たないな…というのは直感で分かっていた。
最近あまり睡眠の質も良くないが、前日は20時過ぎに布団に入って何とか睡眠時間だけは確保した。

レース本編

スタートまで

2時20分起床。練習仲間であるYUIさんの車で家まで迎えに来て頂くVIP待遇で会場へ。スマホの天気予報でこれから雨が降ると知りテンションがだいぶ下がる。
おにぎりとゼリー飲料でエネルギーを蓄え、アップは直前に10分ぐらいその辺を走って終わり。やる気あるんか?いやない(反語)
実際前半はアップダウンだし、人の後ろに着いてインターバルしてれば自然にアップになるでしょうという考えだ。
ちなみにこれは盛大なフラグである。

ウェーブ順に並んで下さい、というアナウンスに従い小雨の中スタートライン付近に向かうも、皆控えめであまり前に出てこない。ゼッケン3番として堂々と第1ウェーブ最前列に並ばせてもらう。空いてただけだけど。7時ちょうどにスタートする自分たちの後ろから、2分ずつの差で第2、第3ウェーブが追ってくる。
事前に明らかに強い人としてマークしていたゼッケン1番のたたみすさんに挨拶する。「ウェットで下り怖いし前半はサイクリングで行きましょう」談合紳士協定をキメる。めっちゃいい人で良かった。
村長の挨拶があって、午前7時にいよいよスタート。
久しぶりのヒルクライムレースだ!

序盤(上川乗まで)

スタートすると橘橋の交差点あたりまでは先導自転車が前を押さえてゆっくり走る。最初の500mぐらいはローリングスタートなのだ。ちなみにこの区間もレースのタイムとして記録されている…そしたらウェーブごとにペースが違うから僅かとはいえ不公平では?などと考えながらゆるゆる走る。
橘橋交差点を過ぎ、先導自転車が脇に避けるといよいよリアルスタート。みんなどのくらいの勢いで来るのか!?と思いながら踏み始める。
、、、

、、、

静かだな?

振り返ると後ろは一塊。みんな引きたくないようだ。
頭を下げて、無理しない程度に引く。

、、、

、、、

振り返る。


いない。なんか20mぐらい開いてるし。
別に逃げたくはなかったし、むしろ序盤の平坦区間は集団でヌクヌクしていたかったんだけど。
でも、先頭を独走するのは単純に気持ちいい。沿道の応援も独り占めだ。
左車線縛りとはいえ、ウェットなコーナーも好きに曲がれてとても走りやすい。

SSTぐらいの体感強度(メーター付けてないので本当に単なる体感)でしばらく走っていると、ようやく集団が追いついてきた。先頭はたたみすさんだ。
先頭を譲り、5番手ぐらいに入れてもらい小休止。
その後も先頭付近の何人かでローテしながら、危なそうなコーナーは声と手信号で合図して無難にこなしていく。強度としてはL3-L4を行ったり来たりな感覚。
感覚感覚ってお前メーター見ろよ、と思われるかもしれないが、付いていない。
パワーメーターが付いていないのではない。メーターが付いていない。

軽量化!!


集団の人数に対してローテに入る人はかなり少ないが、後ろの方はインターバル地獄だと思うのでローテに入る方が楽だったはず…
そんなこんなで無理しないけどサボらない程度に走っていたら、あっという間に上川乗の交差点が見えてきた。ここからが本当のヒルクライムだ。

中盤(数馬の湯まで)

上川乗交差点を過ぎた瞬間、たたみすさんが物凄い勢いでアタックした。急勾配序盤の一瞬ではあったが、ここで自分たちの集団と10mぐらいの距離が開いた。そして誰も追わない。いや、追えない。
私自身もあれに食らいつく度胸は無いし、そもそもそんな脚はどこにも無いので見送る。それでも集団のペースはグッと上がり、千切られないようにかなり強く踏みなおした。

急勾配に入ってペースが落ちた途端にアイウェアが曇り始める。推定5倍W以上で踏んでいるときにアイウェアを外して後ろにかけ直すのは結構大変だった…
たたみすさんは一気に抜け出した後も淡々と踏み続け、気づけば見えなくなってしまった。

幾度かのアップダウンと急勾配でのペースアップを経て集団の人数もかなり絞られ、かんづくり荘あたりでは恐らくもう15人もいない。たたみすさん以外にもう一人抜け出していったが、今いるのが総合3位集団ということになる。(追記:これは勘違いで、抜け出した人はいつの間にか戻ってきていて2位集団だった。)
このあたりで私はもう着いていくのが精一杯、いつ千切れるかの我慢比べという感じ。体幹が耐えきれずペダリングが乱れているのを感じているが修正できない。そして、勾配変化のたびに後ろでは一人また一人と千切れていく・・・
ひたすら前走者の車輪にしがみつくような時間を過ごし、何とか数馬の湯にたどり着いた。もうここからフィニッシュまで緩斜面は存在しない。どこまで生き残れるだろうか。

終盤(フィニッシュまで)

九頭竜橋から料金所跡までがおそらくコース中一番の急勾配だと思うが、ここはポジションを下げながらなんとか食らいついた。右ヘアピン、左ヘアピンも生き残る。しかし、ラスト1.5km地点あたりでついに車間が詰められなくなり、集団から千切れてしまった。前の集団には7人見える。数え間違いでなければ、今自分は総合10位だ。(追記:数え間違い。9位。)
6位入賞が遠ざかっていく・・・

だが、諦めるわけにはいかない。この大会は総合入賞の6人を除いた上での年代別表彰が3位まである。前の集団に30代がどの程度いるかはわからないが、このポジションを維持する・あわよくば零れてくる人を拾って一つでも順位を上げれば年代別入賞に手が届くかもしれない。
一旦オールアウトまで行ってしまった身体で踏み続けるのは容易ではないが、自分のペダリングだけにフォーカスして走る。

最後の右ヘアピンを抜けてラスト200m、前から一人落ちてきたがさすがに届かない・・・
できる限りのパワーを出し尽くし、都民の森に滑り込んだ。

極寒のダウンヒル

上り終えると、圧倒的な独走優勝を飾ったたたみすさんとメイン集団で完走した皆さんが談笑していた。圧倒的な力の差を見せつけられた形で私のレースは終わった。しかしレースが終わってしまえばみな単なる自転車仲間、ダウンヒル開始までの穏やかなひと時を楽しむ。

ダウンヒルは先導のオートバイがコントロールする集団ダウンヒルのようだ。下山荷物の預かりはないので、背中ポケットに入れてきたウインドブレーカーを着て下り始める。
・・・予想はしていたが寒い!
汗冷え、霧雨、クライマー体型の三種の神器が揃っているのだ、寒くないはずがない。生足おじさん集団の「さみーーーー!!!」という叫び声が村内各地にこだまする。日曜の早朝からお騒がせしております。
先導オートバイは途中の上り返しも結構なスピードを維持して引っ張ってくれたので全力で踏み直してちょっと体が温まった。ハーレーのおじさんありがとう。全身攣るかと思ったよ。

村の中心部に戻ってくる頃には霧雨も止み、気温もだいぶ上がってきて心底ホッとした。
ヒルクライムレースは当然辛いが、その後のダウンヒルも辛いのだ。

アフターパーティー、表彰式、温泉

今年は軽食が出るぞ

大会会場に(激坂を上って)戻ると、参加証と一緒に軽食引換券を頂いた。
着替えてテントに向かうと、おにぎり・味噌汁・ランチパックの三つを貰えた。特に座る場所はなかったので手近な足場の単管に腰掛けて食べた。ダウンヒルで冷えた体に熱々の味噌汁、最高。
おにぎりも程よい塩気が本当に美味しかった。ランチパックは今日が消費期限で少し固かった。
続々と知り合いも戻ってきて、レースの結果や感想を語り合う。プレッシャーから解放されたこの時間、いいよね。

今年は表彰式もあるぞ

昨年まではしばらく省略され不評だった表彰式、今年は電撃復活(事前告知では無いとされていた)! しかし結果が張り出されないので表彰式が始まるまで参加者は誰も自分の順位を知らない!なんだそれ!ドキドキ感あっていいけど!
総合表彰は順当に呼び出され、賞状に加え副賞も授与。女子総合優勝した知人は自走勢だったので持ち帰れず、紆余曲折ありその賞状と副賞は今我が家にあります(今度送ります)。
そして年代別表彰、私は絡めただろうか・・・と待っていると、
「30代男子、第一位、(私の本名)選手!」といきなり呼ばれた。まさか年代別とはいえ優勝とは。
YUIさんから借りたチームジレを羽織り、賞状を受け取って写真も撮ってもらう。いろんなラッキーが重なったとはいえ、勝ちは勝ちとして味わわせていただきましょう。

第1位、いい響きです

一緒に参加したWさんも20代で3位入賞とこちらも想像以上のいい順位だったよう。チームMETHIが参加した初レースでいい成績を残せて本当に良かった。
「あのチームは何だ?」とググった人はカレー屋が出てきて混乱すること間違い無しである。

つるつる温泉でつるつるになって帰る

客観的に見るとふざけた名前だが、実際つるつるになる温泉だ。激坂の上にあるので自転車で行くのはお勧めしない。
ちなみに所在地は日の出町なので本レースの開催地檜原村とは関係ない。詳細は割愛。

まとめ

コロナ化を経て各地の大会には色々な変化が起きた。今大会は表彰式や軽食配布などの従来の大会の良さと、回収不要チップの採用やゼッケンの事前送付など新世代の運営をうまくミックスさせていてよかったと思う。
数年間のブランクもあり表彰式の運営などいくつか意見を言いたい部分はあるが、総じて村総出で歓迎されているようで非常に楽しい大会だった。スケジュールが許せばまた来年も参加したい。
そして村長さん、開会式・フィニッシュ地点・表彰式すべてに出席していて驚いたし本気度が感じられて嬉しかった。
運営スタッフの皆さんも含め、本当にお疲れ様でした。

直前まで出場か欠場か迷うほど心身の調子は悪かったが、まさかの年代別優勝という好結果を得ることができた。シーズンの終わりをいい結果で締めくくることができてよかったと思う。
本当はすぐにマラソンシーズンに突入するはずだったが、まずはケガを完治させることを優先させるので年内は大人しくしておく予定。

しばらくの間、お休みなさい。

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