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長編連載小説『サンキュー』第511話。

 俺が、あの時代に帰る事はないのと同じように、麗は、戦争を知っていて、白髪頭で、太平洋戦争を語る。俺は当然、分からない。あの当時、台湾では悲惨な事が多々あった。実際、戦争は罪作りだ。俺はそう思っていた。麗は、いろんな意味で、あの時代の生き証人なのである。当然、戦地での惨劇を知っている。あの戦争が齎した、苛烈な物を、だ。麗は、特養にいるけど、未だに、あの戦争を忘れてない。また、忘れるわけもない。70年ほど前の事だが、麗にとっては、昨日の事のようだ。(以下次号)

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篠﨑俊樹
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