就活仲間の内々定と無い内定の坊主
「無い内定(NNTとも)」についていまさら詳しく説明しない。
そう、周囲に内定持ちが増える時期になっても内定が出ないことを、内々定にかけて自虐めいていう虚無いアレ。
就活仲間に内々定が出たんだけど…って話。
就活仲間の「奴」
就活仲間というか、サークル同期。
お互いサークル引退後もなんだかんだLINE続いて、たまにお互いのストレスが爆発して喧嘩めいたことになったりもして、腐れ縁というかまぁそうやって今までずるずる来たような「奴」。
互いに就活を始めたのは非常に遅かった。自分は去年の5・6月から就活セミナーやら説明会やら行ってたのに、途中戦線離脱して3月頃にようやく動き始めた。奴は、たしか1・2月くらいから動きだして、といった感じ。
奴は、最初自分の長所に声がデカいところと書くようなやつだった。対して自分は、頑張ることもなく期限ギリギリに書いたESがまぁまぁ通り、一次面接も比較的通り、と序盤こそ順調だった。それがいつの間にか、奴は東京に面接に行くことになった。
終盤の面接なんだろうということくらい自分にも分かった。
ところで、『何者』という映画をご存じだろうか?
確か朝井リョウの小説が原作の、新卒就活を巡る若者のアイデンティティの問いがテーマな映画だ。まだ観てない方はNetflixかprimevideoにあったはずだから観るといい。就活生は各自の判断で。
作中で、就活仲間が必要だと言うことで、男女4・5人が、情報の共有やら、Webテストの替え玉やらと協力して就活を乗り越えようとする。しかし、互いにお互いの幸せを素直に喜べず、実は互いの不幸を祈っていることが終盤に明らかになる。
コレを観たときはまだ選考も本格化していない3月・4月だった。
彼らのようにはなりたくない。友人の内定を素直に喜びたい。そういう人間でいたい。と思っていた。そして、そのくらい簡単に取り繕えるものだと思っていた。その時は。
奴は「内々定」と帰ってきた
東京に面接に行った奴は、内々定をもらって帰ってきた。
嬉しかった。いや、うれしがろうとした。喜ぼうと思った。せめて奴に対してはいい人でいたかった。それが喩え取り繕ったものでも。
東京から「内々定出たわ」とLINEをしてきた奴に、「おめでとう!帰りも気を付けて」と最大限いい人で振る舞った。
なのに、奴は、親から内々定先の企業の評判が悪いと言われただとか、まだ内々定が欲しいとか、LINEでいうのだ。自分にお構いもなく。
自分は奴に先に内々定が出て良かったと思っていた。それは素直な喜びより、もし仮にあまり頑張らずヘラヘラ選考を進んでしまった自分が先にもらってしまっては奴のメンタルに悪いだろうと思っていたから。そんなことも奴には伝えていた。
それなのに、内々定が出たことでのろけ、ドヤり、終いには煽り気味なのである。
自分は何か悪いことをしたのだろうか?
たしかに、サークルの時から世話にはなっていたし、引退後もLINEで喧嘩したりと迷惑はかけていた。
それでも腑に落ちない。
別に高度な配慮は要らない。むしろ、内々定でたからと申し訳なさそうにされるのも困る。でも気遣いくらいしてほしかった。
奴にキレてはいけない、その一心でスタンプを返すのがやっとだ。奴にキレたらもう自分には何も残らない気がする。内々定がでた奴を、煽ってくる奴を、少しの気遣いもしない奴を辛うじて許容していることだけが自分に残された「何か」な気がする。そして、キレずに奴との付き合いを続けていくことだけがストレスと、虚しさに押しつぶされないように支えてくれている。そんな気がする。
でも、ありがとう
なにより、結局率直に喜べない自分が恥ずかしい。奴以外に就活の情報を共有できる友人がいない自分が寂しい。
奴を許すことで自分でいられるんじゃない。奴しかいないから奴を否定できないんだ。最近の自分が奴にこんなにも支えられていたことに今まで気付いていなかった自分がみっともない。
そんな奴に言い返せないほど後ろめたさを感じていることも、それほど迷惑をかけたことも悔しい。
思えば大学受験の時も似たような奴がいた。でも、その時の奴は、一般受験じゃなかった。ただ自分が支えてもらってるだけだった。ただ迷惑をかけっぱなしだった。そういう人に支えられて今まで生きてきた。それはとても幸せなことだとおもう。
でも、そんな大切な人のことを大切にしてこられなかった自分は不幸せだ。
「ありがとう」はいつまでも言えるとは限らないから。あの時「ありがとう」といえば高校時代の奴も自分も変われたかもしれない。
だから、内々定を持って帰ってきた奴には「ありがとう」を言おう。
奴が買ってきてくれた東京土産をもらう、その時にでも。
(ない内定の坊主が、進路が決まってスキンヘッドにするまでの間よしなしごとを書いていくかもしれません。もしよければフォローして下さい。)
以下、有料。ヤケ酒には使いません。甘いものでも食べながら呑気に構えます。別に何か書かれている訳ではないかもしれない。
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