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Fラン大卒のおバカな私が「中小企業診断士試験」に合格出来たわけは?【資格取得体験記:一次試験編】
はじめに
「経営コンサルタント唯一の国家資格」
中小企業診断士の受験案内には必ずこの文字が踊ります。私がこの資格に惹かれたのは、間違いなくこのフレーズです。
この世に経営コンサルタントを名乗る人は、星の数ほどいます。しかし、そのほとんどが経済団体等の「認定」もしくは「自称」。
最もよく見かけるのは、ドラマに出てくる詐欺師(>_<)
経営コンサルタントを本業とする私としては、看過できない事態です。
30歳の頃から経営コンサルタントとして独立開業を意識し始めた私は、だからこそ、この「唯一の国家資格」という言葉に惹かれました。
やっぱり、詐欺師と間違われるのは嫌ですからね(^^;)
もちろん、中小企業診断士という資格だけで仕事が貰えるわけではありません。経営コンサルタントの世界は、信用とキャリアと実力がものを言います。でも、初対面の方から時々聞かれることがあります。
「何か資格をお持ちなのですか?」
「あ、一応中小企業診断士を」
「ああー、難関資格ですよね!」
ビジネスパーソンの超人気資格。少なくとも「キャリア」の証明にはなると思います。
毎年1万人以上が受験し、その多くが資格取得をあきらめていく…
そんな難関資格「中小企業診断士」に、Fラン大卒のおバカな私が資格取得に辿り着いた道のりを2回に分けて書き綴っていきます。
目次
先人の教えに従う
ビルドアップ学習法
粛々と1ヵ月1科目
問題集一冊入魂
真夏の特訓塾
あとがきーゴールの先に
1. 先人の教えに従う
私が中小企業診断士の資格を授与されたのが2001年4月。そこから遡ること約5年。1996年5月が受験学習の始まりでした。
1年で合格する人もいますので、私はかなり出来の悪い部類ですね(^^;)
なぜ5年もかかったのか。その概要は別途書きますが、受験を思い立った動機は「経営コンサルタント唯一の国家資格」というキャッチコピーに惹かれたからです。
ビジネスパーソンの超人気資格、受験者も多く難関資格ということは承知していました。大学受験したのが約15年前。しかもFラン大学(-_-)。
仕事漬けの毎日で、学習の仕方さえ分からない。そんな出来の悪い私があれこれ考えても「下手の考え休むに似たり」。そのため
先人から教えを乞うのが一番良い
と考えました。一次試験は酷暑の8月に、8科目を2日間かけて行われるという実に過酷な試験(現在は試験制度が変わり7科目)。幅広い基礎知識、理解力、応用力が問われます。
私は有名受験指導校M社のノウハウを素直に受け入れようと思いました。
M社から通信教育の教材を取り寄せ、まずは学習ガイダンスを何度も読み込みます。
そこには、学習の心得や勉強方法の事例がいくつか紹介されていました。受験者には私のようなビジネスマンだけではなく、主婦や学生も多いからです。
自分に合った学習方法は、その人の性格や生活環境によってさまざま。私にとって効率の良い、そして継続できる学習スタイルとはどんなものか?
学習ガイダンスをじっくり読むことで、ある程度のイメージができました
受験を決意したのが5月なので、その年の試験は最初から眼中にありません。15ヵ月かけて翌年8月の一次試験突破。
この目標を掲げ、私の受験勉強がスタートしました。
2. ビルドアップ学習法
M社の学習ガイダンスを基に、私が掲げた当面の学習方針は以下の通りです
When, Where(いつどこで勉強するか?)⇒基本は土日に自宅+α
What, How to(学習教材は何か?)⇒M社の通信教材+α
How many(どれくらい勉強するか?)⇒月間50~100時間
What, How toについては、独学・通信・通学という主に3つの選択肢があります。
勉強方法が分からなかった私にとって、いきなり独学は選択肢にありませんでした。通学は費用が高くなんとなく敷居も高い。消去法的に選んだのが通信教育でした。
1次試験に関しては、通信でも十分合格可能だとの判断もありました
次に学習時間ですが、M社から取り寄せた通信教材の学習ガイダンスによると、1次合格のための学習時間目安がトータルで1,000時間とありました。
私の場合、15ヵ月の学習期間がありましたので、月平均67時間です。ただ、試験日に近ければ近いほど同じ学習時間でも「学習効果」が高い。つまり
1年前100h⇒直前50h < 1年前50h⇒直前100h
マラソンに例えれば、走り始めて徐々にペースを上げていく「ビルドアップ」
私はこの点を強く意識しました。学習を始めた頃はあまり張り切り過ぎず、楽しむことと慣れることに集中。
目標は月に50時間。実際に1ヵ月目は30時間程度だったと思います。
その後徐々に学習時間を増やし、月100時間に到達したのは本番2ヵ月前でした
3. 粛々と1ヶ月1科目
学習方針を決定した私は、M社の通信教育による科目学習を始めました。中小企業診断士1次試験は8科目(現在は7科目)。
1カ月に1科目をこなすという目安に従えば、一巡するのに8ヵ月も掛かります。
スロースターターを決め込んでいた私としては、当初設定した15ヵ月の学習期間は、ちょうど良かったのかもしれません。
出来の悪い私が8科目を一巡しただけで、合格基準に到達するとは到底思えませんでしたから(^^;)
ただ、学習を初めて幸運だったと強く感じたのは、この学習そのものが「面白い」と感じられたことです。
実をいうと、私は学生時代にも同資格の受験を志したのですが、1ヵ月もしないうちに断念。その当時はビジネスに無縁で、学習内容に面白さを全く感じられなかったのです。
時は流れ、ビジネスマンとなった私が日頃感じていた事、疑問に思っていた事。診断士の教科書には、その答えがたくさん書かれています。
「なるほど、そういうことだったのか!」
目から鱗。どんどん興味がわいてきて、あっという間に学習に没頭していました
学習方法は極めて単純です。科目ごとのテキストを一通り熟読し、その後科目別「サブノート」へ丁寧に整理します。
ノートはテキストの4分の一の分量を目安に、図表を作成するなど工夫しながらまとめます。後で追記できるように、多少スペースを空けておくのもポイントです。
この「まとめる」という作業が、後々大きな威力を発揮する事になります
そして、テキストで補完しながら自分がまとめたノートを何度も読み返し、最後に通信教材の科目テスト問題に取り組みます。当然、テキストもサブノートも見ないでガチで解答。
こうして、生活習慣に学習リズムを作りつつ、一ヵ月に一科目の学習。8科目を粛々と仕上げ通信教育はここで修了。
気づけば世は新年を迎えていました
4. 問題集一冊入魂
通信教育を終えたのが新年で、ここからは独学期間に入ります。学習スタート当初は月30時間程度だった学習時間も、この頃には月60時間以上に達していました。
一次試験本番まで残り7カ月。一通りインプットした知識の定着が必要です。ついつい、色んな参考書や問題集に目移りしがちですが、ここでもM社の学習ノウハウに素直に従いました。それは
「これ」と決めた問題集1冊に絞り、何度も繰り返す
そこで当時「中小企業対策の神様」と称えられていたY氏の問題集を購入。ここに書かれていることは一字一句全て覚えてやろう、くらいの勢いでした。
まさに一冊入魂(正確には一冊4科目で二冊だったのですが…)。一問一問を丁寧に回答し、解答と解説をじっくりと読み込む。そして、
整理していた「サブノート」に不足分を書き足していきます
結局、1周目をやり切るのに3ヶ月近くの期間を費やしてしまいましたが、2周目と3周目は1ヶ月程度で仕上げることができました。
「サブノート」は書き足し書き足しの連続で、いい感じにカオス状態
さらにこのノートを元に、1教科をB4 紙1枚にまとめていくことになります。科目の全体像、重要ワード、そして理解不足と思われる事項の図解や説明文。
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やはりM社の学習ノウハウの受け売りなのですが、まとめシートだけをもって受験会場に向かうイメージ。
この最終まとめ作業が始まった頃、合格レベルに達したような感覚がありました。
一次試験本番の2ヵ月前のことでした
5. 真夏の特訓塾
ここまで順調に学習を進めてきましたが、一つだけ大きな不安がありました。それは、
通信教育→独学を通してきたため、自分の現在地がわからないこと
そこで、実力試しをしようと受験指導機関の模擬試験広告を検索していました。その時に目に留まったのが、M社が7月初旬に開催する「真夏の特訓塾」。
M社が作成した模擬試験に取り組み、直後に解説を受けながら他の受講者答案を採点。1科目2時間、1日4科目を1泊2日で行う合宿プログラム。かなりハードです!
採点結果は毎回順位表が張り出されるので、競争意識が高まり、模擬試験に取り組む集中度はどんどん増していきます。
まさに特訓塾!私の科目別順位は、21名中3位~15位でトータル順位は9位。得意不得意科目がはっきりしていました。
昨年は受講者の約半数が合格だったそうなので、私はギリギリ合格圏内。自分の現在地はなんとなくわかりましたが、この時点では全く安心できませんでした。
「みんな懸命に学習している」
残り1ヵ月、気合を入れ直すのに十二分な経験となったのです。
さらに、1次試験受験の心得などのアドバイスもあり、孤独な学習を続けてきた私にとって、非常に有意義なものでした。以下は主なアドバイス内容です。
試験会場には30分以上前に余裕をもって到着すること
参考書はもっていかない。自分でまとめた「まとめシート」だけをもっていくこと(新たな知識は入れても身につかない。覚えたことの確認だけに集中する)
弁当を持参すること(飲食店は混雑するため)
おしぼりをもっていくこと(休憩時間に顔を拭いてリラックスするため)
会場で知り合いに会っても話はしないこと(試験に集中するため)
どうしても思い出せない問題は固執せずにスルーして次の問題に進むこと。後で見直したときに、ふと思い出せることがある(脳に「気」が入る)
6. あとがきーゴールの先に
真夏の特訓塾で気合を入れ直した私は、ラストスパートに入りました。
7月上旬から8月上旬の本番まで、学習時間は120時間超。平日朝夕も通勤時や食事などの隙間時間も、とにかく時間を惜しんで学習しました。
この期間は「まとめシート」の仕上げと過去問を徹底的に行いました
そして試験当日。特訓塾でのアドバイス通り、とにかく試験に集中することだけを考えていました。
あっという間の2日間。試験が終わり帰宅。ベランダでイカを焼いて久しぶりのウーロン杯。1年3ヵ月を頑張り抜いた自分へのささやかなご褒美です。
合格発表時のことは、正直あまりよく覚えていません。ただ、特訓塾のメイン講師からお祝いの電話をもらいました。
受講者の合格は、21名中たったの6名だったそうです。
こうして一次試験は無事一発合格。しかし、当時は養成課程がなく、中小企業診断士資格を取得するには、超難関の2次試験に必ず合格しなければなりません。
1次試験終了後、無気力症候群に陥っていた私は、合格発表の1か月後に控えていた2次試験を棄権。
翌年の合格を目指すことになりますが、そこから長い長い戦いが始まります。
1次試験ゴールの先に、その数倍もの苦難の道が待ちうけていたのです。
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