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キャプテン

小学生の頃、僕は二つの野球チームのキャプテンを引き受けていた。
地元の友だちを集めたチームと、従兄弟のいる隣町のチームと。

きっかけは、空き地争い
いつもの空き地が、ある日、別の学校の草野球チームに乗っ取られて、僕は抗議をした。
すると相手チームのキャプテンが言った。
「ここは誰のものでもない」
「確かに」
僕は素直だったのだww

順番制はかったるい。
試合をして、勝った方がその週を貸し切る・・・
と言う合意に達した。

で、急遽、チーム結成に。
が、人数が足りない。
仕方ない、お前入れ、と言うので揃ったのが、
小学一年生のカズ君とその姉3年生の明美ちゃん。
二人とも野球経験なしw
ルールも知らないしw
一から教えたw

試合まで一週間。
勝てるわけない・・・実際、ボロ負けww

そこから僕の熱血指導が始まったわけ。
使える選手は3人だけ。
僕を入れて、ほぼ4人で回していたw
実質、4人対9人ねw

試合を重ねてゆくうちに、何となく形になって来た。
そして、いつの間にか対戦相手と仲良くなって、チームが合併された。
出来たのが、僕のチームイーグルス

が、ある時、オッサンたちが空き地を使っていた。
オッサン曰く、
「ここは、お前たちの土地か? 誰のものでもないだろ!?」
「そうですね」
と言うので、また試合をやる羽目にw

もちろん、ボッコボコにやられたさ。
何しろ、打球やピッチャーのスピードが半端ない。

でも僕らは諦めなかった。
小さい子を入れて叩き上げた経験があったから。
兎に角、球にしがみ付いた。
怖くても逃げ出さずにくらいついた。

試合中、身体に球が当たって泣く子や負傷者が続出。
それでも僕たちは気合いでは負けなかった。

その結果、一点差まで近づくことが出来た。
オッサンたちは、僕らの根性にびびって、いつの間にか来なくなった。
ビビったかどうかは知らんけどw


そこへ、隣町に住む従兄弟から果たし状が届いた。
僕たちは、バットやグローブを担ぎ、隣町までの長い道のりを歩いた。
小さな子や女の子を引き連れて。

公園に着くと、そこにはバックネットまで張られた立派な球場が!(゚Д゚;)
練習をしているのは、見事にユニフォームが揃えられた垢ぬけた一団だった。

で、奴らは僕たちを見て笑った。
小さな子供に女の子、ユニフォームを着ているのは、僕と弟だけ。それも巨人のw

「ちゃんと野球できるのか?」
従兄弟が笑うとチームメイトも笑った。
凄く嫌な感じ。

サード側のベンチに集まった仲間は、下を向いていた。
そこで僕は檄を飛ばした。
「みんな、自信もって行こうぜ」
でも・・・だって・・・・
「俺たちは今まで誰と試合をして来た? 大人たちと勝負してたんだぞ。あんなクソガキなんか、朝飯前だろ」
みんな顔を上げた。

「明美、お前、三塁打打っただろ!?」
「うん、打った!」
目を瞑って振ったようなスイングだったけど。

みんな、大人の打った打球を逃げもしないで止めようとしていた。
こいつらなら勝てる!
僕は確信していた。


そして試合開始。
予想通り、相手のピッチャーの球は早く、なかなか打ち返せない。
空振りの山を築いた。

でも、相手も僕の球を打てなかった。
実は・・・僕は、プロの指導を受けていた・・・。

オッサンと試合をしている時、一人だけ桁違いの大人がいた。
絶対無理だろうという会心の当たりをとられたり、物凄い遠投を見せつけられたり、半端ない打球に僕たちはビビった。

聞けば、元プロだったとか。
誰もが納得した。

で、仲良くなった僕は、その人に個人的に指導してもらっていた。
プロのピッチングを。

言われた通りに投げられるようになると、球速が全然違った。
倍ぐらい早くなった。
チームメイトは、誰も僕の球を打てなかった。
だから、相手チームは、僕の球にビビっていた・・・これはホントw

みんな、大人の球速に目が慣れていたので、難なくキャッチした。
ライトを守っていた明美もフライをとれて大喜び。
最終回の表に代打で出した小さなカズまでも、ヒットを打った。

終わってみれば、3対0で勝利を手にした。
従兄弟たちのチームはさぞかし落ち込んでいるだろうなと思いきや、
目を輝かせて僕たちのチームに駆け寄った。
「一緒に野球をやろう!」とw

そして従兄弟は僕に
「俺のチームのキャプテンになってくれ」とw
コンドルズの誕生だ。


という訳で、僕は二つのチームのキャプテンをする羽目となった。
もちろんピッチャーで打順は4番w



中学生になり、部員120名の大野球部に入った。
そして僕はその中から、レギュラーを奪おうとしていた。
が、廊下をポケットに手を入れて歩いていると、
「なんだその態度は⁉ 野球部ならちゃんと歩け!」
と、血管を浮かせた先輩に注意されたので、すぐに退部したw
だって、うっとおしいんだもん💙
そして、友人に誘われてサッカー部へ(´ー`)
ヘディングした後の髪がパサッとなって恰好いいんだもんw


高校に入った僕は、バレーボールの球技大会があるのを聞いて、チームを作った。
その名も「チームガリ勉」w
運動神経のいいのが集まっているチームは面白くない。
僕は、勝って当然のチームより、奇跡を起こすチームを作りたかったのだ。

そして、どのグループからも誘いのないガリ勉どもを集めた。
本当に、ダメダメ・・・何をやってもダメダメ・・・
みんなが笑った。
そんなんで勝てるわけない、と。

僕のハートに火がついた。
僕はそれから休み時間になるたびにガリ勉たちを集め、猛特訓した。
「お前たちにアタックなんて出来ない。だから拾え!とことん拾え!何が何でも落とすな!」
放課後も塾を休ませて練習した。

そして3ヶ月後、運動神経抜群チームと決勝で戦った。
僕たちは必死で食らいついた。
拾って、拾って、拾いまくった。
相手がミスるまで、僕たちは歯を食いしばった。

僕たちは優勝した。
24チームの頂点に立ったのだ。

僕たちの絆は深まり・・・

5人の親友とは、今でもまだ繋がっている。


相変わらず、僕がキャプテンだけどw

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