ゲイSMカルチャーの転換点
昨日ポスト(https://x.com/tosi_irruma/status/1750166073255846259?s=2)した日本のゲイSMカルチャーの転換点
今の、というか今後は第三世代に入っていくと思っている
世代って年代だけじゃなくいろいろな見方もあるとは思うのであくまで俺の私見なんだけどね。
(俺の考えるゲイ)SMカルチャーの第一世代
この第一世代は「ゲイのSM」という文化がなかった時代、年代で言うとおそらく今の70代以上の諸先輩方が現役だった世代とそれより上の世代の方々が創ったものだと思っている。
「ゲイのSM」ではなく「SMをしているゲイ」ような風に纏められていた(このニュアンスわかるかな?)
SMという大きな括りの中にゲイもいる程度で、所謂「変態性欲」として一纏めにされていた。
この時代はゲイという事だけで不遇とされていた時代で、その中のさらにコアなSMなんてマイノリティの中のマイノリティとしか言いようもない中、ただひたすらに信念をもって男同士でSMをしていた諸先輩の孤軍奮闘ぶりには頭が下がる思いです。
「SM」が主で「ゲイ」が従、古い時代のエロ本とかみるとSMやってるゲイもノンケもまとめて「変態性欲」でまとまってたりする。
(俺の考える)ゲイSMカルチャーの第二世代。
その後、第二世代に入っていくわけだが、この世代は「SMをしているゲイ」を「ゲイのSM」にまで昇華させた時代。
多分年代で言うと今60代の諸先輩が現役だった世代から始まる世代。
不遇且つ知識の広がりの乏しい時代に第一世代の人たちの助けも得ながら莫大な金をかけ欧米から器具やフェチズムの概念を輸入し緊縛などの日本独自のものをを昇華発展させていった時代。
恐らく金銭的にも時間的にもかなりの身を削っていたであろうことが拝察できる。
多分だけどこの世代の象徴が個人で言うと「田亀源五郎」先生でありメディアで言うと「SM-Z」だと思う。
田亀先生が今も変わらず執筆をつづけられておられる事、また「ゲイ雑誌」ではなく「ゲイSM雑誌」を創刊した事、これは非常に大きな功績であり田亀先生のマンガを読んでSMに興味を持ったりSM-Zで興味を持ったり或いは同好の士を見つけたりといったジャンルとしての「ゲイSM」が確立した世代が第二世代だと思っている。
そして今40代50代の(まぁ俺の年代ね)は、60代の方が作り上げたものに変革をもたらさず、それをそのまま引き継ぐあるいは受け入れてしまい、実は世代を創っていないと思ってる。
俺らの年代が所謂「現役」の20代30代の頃、何をしていたかというと実は何もしていない。そう、自ら何も創り出せなかった。
mixiやBBSという時代の流れに乗ってサークルや個人調教など個々が楽しむハードルはだいぶ下がったがあくまで外部から齎されたものでありやってることは第二世代と変わらんのよね。
実際SMサークルなんかこの世代が作ったものが今も生きているし続いてる。もちろん新しくできるのも今でもある。けどそこ止まりなんだよね。
それはSMが非常に閉じられた世界であり、世間や今まで築いてきた上の世代が眉を顰めるようなことをあえて侵さなかった、あるいは打ち破れなかった、それが40代50代という年代だと思っている。
だってSMって敢えて上の世代や世間に逆らわずとも、個々、あるいは少人数で完結且つ満足できるものだったから。
第二世代は、次の世代へ引き継ぐ事が上手くできなかった世代だと思う
俺も覚えがあるけど金と時間をつぎ込んでゲイSMとはかくあるものというものを作ったプライドからか、あるいは確立された世界観に異物が入るのを厭ったのか、必死に作り上げた世界の変革を許せなかったのか。
そして俺個人としてはそれこそSMだと思っているし、それは世代が変わっても不変だと思う。だってSMって突き詰めると関係性じゃん?世界は完結してるよね。
だからこそか、ニワカやちょっと興味ある程度の子を育てる事をせず、或いは門戸を狭く閉じていた世代だと俺は認識しています。
でもね、当の年代の人間が言うのもなんだけど「ゲイSM」ならそれでいいんだけど「ゲイSM”カルチャー」だとそれって間違いだと思うんだよね
答えは単純で、すそ野が狭いものは間違いなく衰退するから。
逆に発展していくもの或いは代替ムーブメントが起きてもつぶれない。
それはすそ野が広いから。
例を挙げるなら野球文化かな、日本ではプロ野球社会人野球大学リーグ高校野球どれもこれも話題になるし、サッカーブームが起きても決定的に衰退することはなかった。
けどこれはすべて野球人口が多いから。それこそ少年野球チームがいくつもありそこまで含めた野球人口みると圧倒的多数だったりする。
あとは漫画やアニメの文化。
今、中国韓国欧米でも素晴らしいマンガやアニメが創られるようになってきたが、じゃぁメインストリームはそっちかというとそうでもない。これは子供のころから漫画アニメ文化に触れそれを目指す、それを支持する人口の圧倒的多さと自由さがあるからに他ならない。
でも「ゲイSMカルチャー」第二世代はすそ野を広げるようにはできていなかった、むしろ門戸は狭く出る杭は打てとばかり新規参入が難しい世界だったし今もその風潮は残っている。
せっかく得た「ゲイSM」という知名度も、ここでうまく活用できなかった、そしてその下の年代、我々40代50代はそれを良しとしてそのまま受け入れた。
もう一度書くけどSMって自分とパートナー、もしくはごく少数のサークルで完結満足できる世界だから。
そして素人がお気軽に楽しむには危険が伴うものでもあったから。
安全面や知識、器具道具などお気軽にやっていいものじゃないとは今の俺でも思うし、タイプ外や気にくわないのに懇切丁寧に指導したりする気にもならない。
だからこそ気に入ったら受け入れるが、気に入らないものに対しては排他的だったんだよね。
まぁ、、、所謂ソフト老害だよね。
逆に田亀先生のように個人の才能で世代を背負ってた人はその文化を奇麗に手渡したけど発展の方向が「ゲイSMカルチャー」だけではなくどちらかというと「ゲイ漫画」「ゲイアート」としての面で引き継がれていったと思う。
(俺の考える)ゲイSMカルチャーの第三世代。
じゃぁなぜ今が第三世代への転換期か
俺の考えるというか俺の目に見える「ゲイSMカルチャー」の第三世代は門戸が開かれた世界。
ちょっとだけ興味ある、自分はSかMかもわからないけどSMの世界を覗いてみたい、そんな若い子が気軽に触れてああ、この世界いいなぁとか逆に俺はダメだけどこういうのもありだよね、と気軽にPOPに発信できる世代だと思ってる
今の20代30代は意識しているしていないは別にしてPOPに発信し門戸が広がりつつある
これは実は第二世代からではなく、インフラによるものだったりするんだよね、「ゲイSMカルチャー」とは別の要因での還流
例えば器具道具
アマゾンなどのおかげで、今までSM用品などはどこに売ってるのかもわからなかったものが比較的お手軽に比較的安価で手に入るようになった
例えば同好の士への連絡手段
SNSの発展によりソフトSMからハード調教まで、いろんなレベルの人たちと比較的お手軽に連絡することができるようになった
また、こういうことやってるよ、と発信することも比較的容易になった
例えば概念
SMをある程度嗜んでいなければわからなかったもの、DOM/subの概念、BDSMの概念、フェチの概念、プレイ内容の多岐さを知る機会(緊縛拘束尿道スカぐりぐらetc)なんか下手したら漫画やなんか、それもBL漫画から還流されてると思う。下手したらDOM/subなんかゲイ男子より腐女子のほうが認知人口多いんじゃないかと思うくらい。SM嗜まないとファニチャーとか言われてもわからないんじゃないかな?
勿論還流された概念は「ゲイSMカルチャー」から発信されたものじゃないので微妙に歪んでいたりするんだけどね。DOM/subとかその典型
ここら辺のインフラ環境やBL漫画の隆盛は俺世代(40代50代)でもあったんだけど、じゃぁ本格的「ゲイSM試してみたい!」となったときに先達がいなかったり弾かれたりしてよっぽど好きじゃないと踏み込めなかった。
安全確保の目安がわからなかったり犯罪になりかねなかったりしたからね。
ところが今の20代30代、所謂現役世代でこれじゃあかんだろと立ち上がった若手が最近よく見かけるようになり、かつ実績を残すようになってきた。
勿論俺の観測範囲でだけどね。
若い子に器具や概念と気軽に触れ合える機会を作り、イベントを開催して門戸を広げ、閉じられた世界ではなくそれじゃ人が集まらないだろと集客を考え、どうすれば安心安全にプレイができるのかの先達となり、個人の趣味じゃなくても様々な機会と発信を続けている。
ここで大事なのは、門戸を広げるにあたり大儲けしろとは言わないが(逆に大儲けすると新規参入を阻みかねない壁となる)金銭的に損のしない運営ができるかにかかっている。
振り返ってみるとよくわかると思うけど40代50代以上の人間が作った「ゲイSM」に特化した或いはメインに据えたイベントやゲイバーがどれだけ残っている?
二丁目で言えばバーは1件、イベントも1件、あとはバー(?)が関西に1件あるくらいしか俺知らないんだよね。
イベントにしろ店にしろぼろ儲けできなくても食っていけなきゃ続かないんだよ、そのためにどうするかの答えがすそ野を広げる事なんだよね。
第二世代は自分の理想の世界のために金も時間も労力も傾けて自分の世界を創り出した世代、だからこそ素人にわか初心者には厳しかった世代。
第三世代は損をしないで門戸を広げ、安心安全に「ゲイSM」を愉しめる世代になると思っている。転じて一定程度の利も得られる世代に、ね。
すそ野を広げ、深みにはまれば後は当人が自然に金も時間も労力も傾けてその世界を作り上げていくものだから。
その世界が創れなくても「ゲイSM」って悪くないと思ってくれるすそ野を広げる世代になって欲しいと思っている。
少年野球をやってた子が全員プロ野球選手を目指す必要がないように「ゲイSM」がそんな感じに広がっていく世代になって欲しいと常に思う。
だから俺は俺にできる応援をするし、彼らに「俺にはできないことだ、頑張って」と常に言う。
だって俺にはニワカや素人を導いていこうなんてとてもじゃないけど思わない、でもこのままじゃ衰退或いは閉じた世界になってしまうとも思ってる。
前述したけど極論突き詰めるとSMって関係性だから閉じた世界でも構わないっちゃ構わないんだけどそれじゃあかんやろと思う自分もいて。
逆に彼らがまた潰されていくとまだ第二世代が続いていくものと思われる。
だから彼らが潰されないよう、飽きないようできる範囲で応援していくし彼らを見てると本当に成功を願ってやまない。
どうか今の俺の観測できる範囲での流れが失敗せず、第三世代の時代といえる日が来ますように。
老害と呼ばれる年代だからこそ老害にならないよう「ゲイSMカルチャー」を担っていくであろう若手を応援しています。
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