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「ガレスタ流」オフショア開発とのつきあい方とその実践

こんにちは。
ガレージスタンダードの堀田です。

弊社はベトナムのとある開発会社様とおつきあいを始めて、約5年が経過しています。弊社にて要求分析・外部設計を担当し、オフショア側にて製造、テストを担当する、という開発業務を進めています。

2023年の年明け後、その企業様から忘年会(※)のお誘いを受け、新型コロナ禍以降、約3年ぶりに弊社メンバーとともに訪越いたしました。
(※)ベトナムは旧暦で新年を祝います。今年の大晦日は1月21日でした。

ふと思い返すと「もう5年たつのか」ということで、わたしがオフショア開発を活用したこの5年にて感じたこと・現時点での結論、そして一歩進めた「ガレスタ流のつきあい方」をご紹介します。

ベトナムについて

ホーチミンの夜景

2022年10月時点で人口9,900万人を超え、2023年には1億人を突破する見込みで、国としての成長の勢いを感じます。そして、平均年齢は33歳と非常に若い国です(日本は約48歳)。

実際、わたしたちが滞在したホーチミンの街はどこもかしこも深夜まで賑わっており、非常にエネルギッシュでした。例えば朝5時にカフェが賑わっているのをみて驚きました。わたしは、夜眠れないときに、「ぶらりとカフェで過ごせればなー」と思うことがしばしば。早朝ですらカフェが賑わっている様子はとても羨ましいです。

オフショア開発についての懸念と実際

オフショア開発に対する懸念点とは、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?

わたしの場合は、「言語や時差の違い、基本的な物事の考え方についてのギャップから、コミュニケーションが難しく、期待通りにものごとを理解し進めていけるのだろうか?」という1点につきました。

言語

言語の壁を乗り越えるため、ブリッジSEと呼ばれる日本語を理解するエンジニアが、わたしたちと現地開発メンバーとの間に入ります。

ベトナムには日本の企業が多く進出していたり、アニメ文化や日本食文化も多く浸透しており、親日国家であると言われています。ベトナム国内の日本語学習状況としては、もともと中学生の授業にて受講可能でしたが、2016年からは小学生の第一外国語教育にも取り入れられるようになり、早い段階から日本語に触れる環境が国として用意されています。よって、日本語を理解できるブリッジSEは少なくありません。

ですが、言語の習得状況は正直なところマチマチです。読み書きのレベルは高くても、オンラインコミュニケーション(リスニング、スピーキング)については、厳しいんじゃないかな?という方もいらっしゃいます。日本語能力試験でいうと、N3からN1くらいでしょうか。また、資格アルアルですが、N1を持っていても会話が難しい方もいらっしゃいますし、その逆もあります。大抵の方は読みの力は持っていますので、大事なことは文章で伝えた方が間違いないです。

開発体制構築時には実際にコミュニケーションをとってみるなど気をつけたいところですが、経験上ほとんどのブリッジSEのみなさんは日本語習得に貪欲です。これまでも、ほんの数ヶ月で劇的に向上する方がいらっしゃいましたので、最初に完璧を求めないことが大事です。5年経験して感じたのは、結局は、言語よりもブリッジとして課題理解力がある人間なのかどうか、という国に関係のない普遍的な話になります。

時差と祝日

幸いベトナムとの時差はたったの2時間ですので、わたしたちの業務時間はほぼカバーされていることになります。具体的には、8時から17時を業務時間とすると、オフショア側は日本時間で10時から19時の間となり、問題なくリアルなコミュニケーションが可能です。オフショア先がベトナムなどの東アジア圏であれば、「問題ない」という結論です。日本側がフレックスで対応できればほぼ同じ時間帯を過ごすことができます。

また、ベトナムなどの東アジアの国は、前述した通り旧暦で正月をお祝いします。こちらは特に重要な祝日であり、その間の約1週間はみな仕事を休み故郷に帰省します。この点については、日本側の開発スケジュールへの考慮が欠かせないものとなりますね。プロジェクトの大事なマイルストーンをその前後の日程に設定しないようにすべきです。

加えて、ベトナムは祝日が少なく日本が祝日の場合のフォローも意識する必要があります。(明日は休みですので、これこれを進めてくださいね、など。)

コミュニケーション全般について

言語を起因としたコミュニケーションロスよりも、考え方の違いを認識すべきと思いました。(私の独断やおつきあいした方に特有のこともあると思いますが、そのあたりはゆるく解釈いただければと思います)

日本人は全般的に「よしなに」お願いしますね、というような、依頼時にすべてを言葉に出さない暗黙的な表現が多いと思います。お互いに期待値に対するギャップが少ない関係であれば、これは成立します。ある程度経験がある方で、同じ商習慣であればあまりこれで失敗することは多くないのではないのでしょうか?

最初はこれで少し苦労しました。

簡単な体験談でいうと、

わたし「プロジェクトの現状について明日から報告してください。できれば毎日であれば嬉しいです。」

ブリッジSE「現状、問題なしです。」

あれ?具体的な報告が書かれていない。
そして、翌日には報告がありませんでした。

わたし「昨日は報告がありませんでしたが、何故ですか?」
ブリッジSE「昨日は時間が足りなかったので報告できませんでした。」

依頼時に「できれば」というやわらかい表現を使ったことを文字通り受け取られてしまいました。

進捗と課題、課題があればその検討状況や対策について、毎営業日10時に前日時点の内容を報告してください」と具体的に伝えなければ、期待する粒度の報告は出ないことが多いです。また、報告する側としては、課題があることに気が付いていないことが多いです。こちらに指摘されて初めて気づく、というケースがよくあります。

このことから、あくまで個人的な感覚としては、「最終的に問題なければ大丈夫。そして今は深く考えない。」という考え方が根本にあるのかな〜と感じました。一方でわたしたちは最終段階で問題が発生しないように、潜在的な問題を早めに見つけ課題化して対処したいと考えます。

期待値を自分たちの尺度にて暗黙的に設定せずに、必要に応じて具体的に求めることが大事です。また、契約の形態にも依りますが、よりマイクロなマネジメントが求められます

ガレスタ流のつきあい方

さて、これからは弊社風に考える、オフショア開発とのつきあい方について簡単にご紹介します。

現地の言葉を学ぶ

わたしは、基本的には「郷に入っては郷に従え」、ベトナムに居るのであれば、ベトナム語を学ぶ姿勢が礼儀であるし、現地メンバーとの関係強化に最も必要だと考えています。もちろん大事なことは通訳を介しますが、ちょっとした声かけはなるべくベトナム語にて伝えたいです。

オフショア側のメンバーも、日本人が頑張ってベトナム語を話す姿に非常に驚き喜んでくれます。それも毎回です。これは、日本において、外国の方が日本語を話すのを聞くことよりも体験価値としては高く(日本人は片言を話す外国人に慣れている)、コミュニケーション強化の手法としてはコスパがよいと思っています。

なにより、外国語が通じた喜びは他に体験できない類のものです。
みなさんも是非外国語にふれる良い機会だと思ってチャレンジしてみてください。

同じチームである、という概念を持つ

オフショア開発の場合は、国や文化が違うという点も相まって、相手側の業務をカプセル化し「プロセスをみずに」結果だけを求めがち」になりやすいと思います。インプット(仕様や設計)を適切に齟齬なく連携できるのであればそれで良いと思いますが、実際にはある程度の期間、経験値を積み重ねていなければ、難しいです。

これについては、わたしは一つの製品・サービスを作り上げる「同じチーム」で仕事をしている、とまず考えるようにしています。

何故この機能が必要なのか。何故このようなUIに変更するのか。
日本側のチームは当然これを理解し、オフショア側に連携します。

一方で、連携された側としては、書かれたこと、伝えられたことだけを忠実に守ろうとしますが、インプットの精度がよほど良くなければ、ズレが生じます。

これは日本国内でも同じ話だと思いますが、課題の背景をより詳細にまとめ、ストーリーとして伝えることで、自身が担当する作業や課題への理解度が急激に高まります。逆にアイデアや提案をもらう、ということにも発展します。

成果を共有する

基本的には委託先では開発に携わるプロダクト・サービスのその後を意識することは多くないのではないでしょうか。

とあるサイト?で見た記憶では、ベトナムでは口頭で感謝の気持ちを伝えることが好まれるようです。わたしたちのプロジェクトに置き換えた場合、

「あなたたちが開発に携わったサービスの現状はこうだ。」
「日本の芸能人がYoutubeで紹介しているよ。」
「何十万人が使っているサービスの重要なプロダクトを高品質で提供してくれた。」
「比較ランキングで1位になったよ。」
「本当にありがとう、またよろしくお願いします!」

と、とにかく事あるごとに伝えたい。

自分たちの仕事が、社会にどのように影響しているのかを実感するのは、国に関係なく大事なことだと思います。

まとめ

わたしが行き着いた考えは、オフショア開発を利用するならば、「言語」「文化」の違いを学んだうえで、さらに「人」と「人」とのつながりを根底で意識したコミュニケーションが大事であり、それは別にどの国を相手にしてもそうなのだよな〜、ということでした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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