電話に頼らないこと

昨日、残業に関する記事を執筆した。
残業を減らすために様々なことを試してきたが、なるべく電話の回数を減らす、というのも効果を実感したものの一つだ。
電話は便利だ。メールや資料などの文面だけでは伝わりにくいニュアンスを相手に届けることができるし、急いで確認したい事項をすぐに問い合わせることもできる。
何より手軽だ。しかし一方で欠点も多い。
まず一つ目は、良くも悪くも証拠が残らないことだ。電話だけで済ませてしまうと、後で言った言わないの争いになりやすい。悪意がなくても、話した内容を忘れてしまうことも大いにあり得る。こうなってしまっては責任の所在がわからず、大問題に繋がるかもしれない。
二つ目は、相手に考える時間を与えられないことだ。もちろん、それを利用した交渉術というのもあるだろう。だが相手に十分検討する余地を与えずに話をまとめてしまうというのは、配慮に欠けるやり方だと思う。場合によっては、その場では勢いに飲まれよくわからないままに了承してしまったが、よく考えるとできないことだった、権限のないことだった、ということもあるだろう。これもまた、後々揉め事の火種になりかねない。
そして三つ目にして、個人的に電話の最大の欠点だと思うこと。それは、相手の時間を奪ってしまうことだ。
メールであれば空いた時間に読んで考えた上で対応できるし、会議や打ち合わせであれば時間が決まっているので予め準備ができる。だが電話は手軽な分、相手の都合に関わらずかけてしまうことが往々にしてある。
意味のある電話であればまだいい。だが、メールに書かれた内容を音読するだけ、メールしたという事実を伝えたいだけ、お礼を言いたいだけ。こんな理由で電話をしてくる人も中にはいるのだ。また、少し考えればわかること、調べればわかることをわざわざ電話で聞いてくる人もいる。そういう人は会話の中身も要領を得ず、結局長電話になってしまうことも多い。
私自身、仕事の中でこういった人たちに何度も悩まされてきた。忙しい時でも昼休み中でも定時後でも、ところ構わず不要な電話をかけてくる。それも、一日のうちに何度も。その度に作業は中断されてしまい、電話で拘束されることと合わせてどんどん時間が無駄になっていく。それに対して不満を感じ、ストレスがたまっていく。
そこで私は、思い切ってそのような人からの電話に出る回数を減らすことにした。一回目は絶対に出ない。二回目、三回目とかかってきてようやく、手が空いていれば電話を取る。昼休み中や遅い時間には何があっても無視する。これを徹底した。
効果は覿面だった。忙しい時に時間を奪われることがなくなり、仕事がスムーズに進むようになった。電話が繋がらなければメールをしてくるから、空いた時間に対処することができ、無駄が減った。メールは証拠にも備忘録にもなるので、抜けも格段に減った。
何より、電話をかけてくる回数が劇的に減った。また以前であれば私にいちいち問い合わせてきたり判断を仰いできたことでも、自分で考えて対応してくれるようになった。(そもそも私は管理職でもなんでもないので、判断する権限などないのだが)
私自身、電話をせずとも誤解なく伝わるよう、メールの書き方を工夫するようになった。
電話に極力出ない。これだけで業務効率が上がり、残業時間を相当に減らすことができた。
もちろん、全員に対してできることではないだろう。私の場合はグループ会社の社員への対処だったため比較的容易だったが、重要な取引先や上司相手では難しいかもしれない。だが一つの方法として、なるべく電話を使わないというのは確かに有効な手段だ。
今後も電話に頼らないという姿勢を保ったまま、業務効率化を進めていきたい。

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