いまさら聞けないAmazon販売におけるインボイス制度
お疲れ様です。としぞーです^^
年初に気合い入れて頑張って、半年分ぐらいの売り上げを立てたんですね。
「これで6月まで好きなことできるぞ!!」ってことで、本当に好きなことをしていたんですが、ちゃんとお金がなくなりました笑
今、お金ないっす。
どうしよう・・・
さて。
今回は「インボイス制度」を取り上げようと思います。
まだ先だと思っていたんですが、いつの間にか1年とちょっと先にはこの制度が始まります。
で、amazonで販売をするセラーにもこの影響は大きい(と思う)んですね。
既知の内容もかなり含まれると思いますが、おさらいの意味も含めてご覧いただけると幸いです。
それでは、本編にまいりましょう!
音声でも喋りました。
Twitterやってます。
ブログもやってます。
物的支援キボンヌです。
1、インボイス制度とは?
インボイス制度(適格請求書方式)とは、国が定めた指定の請求書方式で請求書を発行しないと、その請求書は納税する消費税の計算をする際に無効になってしまう。というルールを定めたものです。
2023年の10月から施行されますので、あと1年ちょっとですね。
令和に入って軽減税率が始まりました。
特定の商品だけ消費税8%で、その他の商品は消費税10%
そのため、レシートを発行する際に「何が8%で何が10%なのか」という項目を明記しないといけなくなったわけですね。
それまでの請求書方式ではそのような決まりはありませんでした。
これを明確に判断するために請求書の規格を変更しなければならない。という名目のもと、インボイス制度が作られました。
ただ後述の通り、この制度に対応しようとすると免税業者が課税業者にならなくてはいけないケースが頻出します。
そのため、この制度は間接的に「今まで免税業者が受け取ってきた益税を徴収するための制度」とも言えるんですね。というか、最大の目的はそれな気がします。
2、請求書の変遷
先述の通り、令和5年(2023年)10月より、インボイス制度が適用されます。
これにより『適格請求書』というフォーマットの請求書以外では、消費税の控除が受けられなくなります。これについては後ほど詳しく触れます。
元来の請求書方式では
発行者の氏名・名称
取引年月日
取引内容
受領者の氏名・名称
が記載されていれば、正式な請求書とみなされていました。
(領収書なども一緒です)
しかしこれでは、軽減税率下における税率が明記されていませんので、細かく消費税を計算することができません。
そこで、軽減税率の制度が施行されるタイミングで『区分記載請求書』という請求書形式が指定されました。
これはそれまでの請求書方式に
軽減税率適用の表記
適用税率毎の区分表記
が追加されたものです。
これが表記されていれば「何に何%の消費税がかかっているか」がはっきりします。
しかしながら『区分記載請求書』はあくまでも『適格請求書』方式への移行段階、つまり繋ぎの制度です。
2023年の10月からはここにプラスして
インボイス登録番号
適用税率
適用税率毎の消費税額
という項目が必要になります。
とはいえ、適格請求書を発行しないと捕まってしまうわけではありません。
適格請求書を発行するかしないかは事業者の自由です。
自分は発行しないよという判断は明確に許されています。
しかし、問題は「適格請求書を発行しないと損をする可能性がある」ことにあります。
なぜならば、適格請求書以外の請求書では仕入税額控除ができないからです。
3、仕入税額控除とは
商品を販売した際、商品代金とは別に消費税を請求しますよね。
この消費税は事業者のものではなく国のものです。
すごく噛み砕いて言えば「国の代わりに消費税を徴収・保管している」状態なんですね。
だから、顧客から預かった消費税はいずれまとめて国に返還しないといけません。
例えばあなたが去年2000万の売り上げを上げたとしましょう。
そこにかかった消費税は200万円です。
単純な収入としては2200万円入ってきているのですが、
そのうち200万円は一旦預かっている消費税です。
だから、決算が終わる(もしくは確定申告が終わる)タイミングで、預かり金である200万円を国に返還する必要があるわけですね。
でもちょっと待ってください。
2000万円の売り上げを作るために、あなたは仕入れをしているはずです。
仮に仕入れが1000万だったとしましょう。
すると、その1000万の仕入れにおいて100万円の消費税を支払っていますよね?
仮にあなたが消費税を200万円払わないといけないとすると、国はその200万円とあなたが仕入れをした業者が受け取った100万円の消費税を両方とも徴収することになります。(いわゆる二重課税)
これは流石におかしい!ということで、通常は預かった消費税と支払った消費税を相殺して差額の消費税を国に納めます。
この場合は預かった消費税(200万円)ー支払った消費税(100万円)=納める消費税(100万円)となるわけですね。
このように預かった消費税から支払った消費税を差し引くことを仕入税額控除と呼びます。(厳密にはみなし税率など違うパターンもありますが、ここでは割愛します)
仕入税額控除可能な項目は多岐に渡り、商品の仕入れだけではなく、原材料の仕入れや広告費・光熱費・通信費・接待交際費・外注費などなど、様々なケースの消費税支払いが対象になっています。(人件費は対象外)
あるのとないのとでは、雲泥の差がある制度だと言えるでしょう。
話を本題に戻します。
インボイス制度において『適格請求書』以外の請求書では仕入税額控除は認められません。
先ほどのケースで言えば、あなたが商品の仕入れに際して適格請求書を発行してもらっていなかったら、消費税を200万円払うことになります。
適格請求書を発行してもらっていた場合と比べると100万円の損失です。
これは無視できないほど大きな違いですよね。
4、考えられる影響
では、インボイス制度の施行によって、どのような問題が発生するでしょうか?
先ほどの例の通り、あなたが年間1000万円の仕入れをする業者Aがあったとしましょう。
業者Aはインボイス登録番号を持っておらず、適格請求書を発行できません。
一方で業者Bはインボイス番号を持っているので適格請求書を発行できます。業者Bからも同じ仕入れができるものとします。
このときあなたはどうするでしょうか?
業者Aを使い続けていたら、100万円損することがほぼ確定しています。
業者Bに乗り換えれば損失を回避することができます。
この状況下で業者Aを使い続ける人はほとんどいないですよね?
仮に業者Bから仕入れをするとコストが30万円上がるとしても、それでも業者Bに乗り換える人が多いでしょう。
このことからわかるのは
①「支払う側」として考えると、今後はインボイス登録番号を取得している事業者と取引がしたい。仮に今の取引先にインボイス登録番号を取得できない事業者があった場合、支払い先の再考を求められる。
②「支払われる側」として考えると、インボイス登録番号を取得しないと顧客から選ばれづらくなる。(あくまでもここでいう顧客とは事業者です。個人にとっては仕入税額控除は関係ないですからね)場合によっては、消費税分を加味して値下げを断行しなくてはならない可能性も。
という影響があることです。
控えめに言って影響大です。
だから「じゃあインボイス番号を取得すりゃいいじゃん」となるのが必然なのですが、ここに大きな問題があります。
先述の通り、インボイス登録番号を取得できるのは課税業者のみです。
免税業者はインボイス登録番号を取得できません。
5、問題は免税業者
すでに課税業者になっている方は、特に問題なくインボイス登録番号を取得できます。というか、取得しない意味がわからないのですぐに申請しましょう。僕はすでに登録済みですが、申請には10分ぐらいしかかかりませんでした。面倒でもないですから、すぐに申請しましょう。
難しいのが免税業者の方です。
免税業者と言ってもいくつかパターンがあるんですよね。
①ビジネス始めたばかりでまだ課税対象の売り上げが上がっていない
②ビジネスを始めて長いが、年商を1000万以下に抑えているので免税業者だ
③売上高は1000万円を超えているが個人事業もしくは法人を立ち上げて2年以内だから免税措置が取られている
それぞれのパターンによって判断が変わると思います。
①の場合は、ビジネスを始めたばかりという慣れない環境で税金関連のよくわからん手続きを考えなければならないという意味で、少し面倒です。
でも、影響はかなり少ない方だと思います。
問題は②、③のパターンですね。
『益税』という考え方があります。
これは「支払うはずだった税金が何らかの形で免除されているため実質受け取れる利益」のことなんですけど、消費税が免税されている場合の受け取る消費税も益税の一つになります。
②、③の方々は益税を受け取っている立場ですので、多くの場合それがビジネスにおける収益に計算されています。
当然、益税分が消失したらその収益のバランスは変わります。
場合によっては(利益率が低い場合)事業形態の見直しなども求められるわけです。
インボイス登録番号を取得しなかった場合の損失とリターン、取得した場合の損失とリターン。両方を天秤にかけて判断をしないといけないわけです。
そして、その判断の猶予は残り1年ちょっとです。
6、amazonセラーとインボイス制度①
ではamazonセラーにとってのインボイス制度について考えてみましょう。
まず第一に「仕入れ」の見直しが求められる可能性があります。
先述の通り、適格請求書を発行できない仕入れ先から商品を仕入れた場合、
そこで支払った消費税を後で預かった消費税から差し引くことができません。
メーカーや問屋から仕入れている場合、流石に対象がインボイス登録番号を持っていないなんてことはないと思いますが、仕入対象が個人規模の事業者だった場合はそれがあり得ます。
そのような仕入が大部分を占めているような方は、仕入れ先の再考が求められますね。
注1)輸入の場合は「輸入消費税」を強制的に払いますし、輸入消費税には仕入税額控除が認められていますので、この話とはあまり関係がありません。しかし、輸入消費税に関しても色んな問題があったりします。これについてはいつか別の機会にまとめようと思ってます。
注2)古物の取り扱いに関しては別のルールが存在します。特定の条件を満たした古物取引の場合、適格請求書がなくても仕入税額控除が認められることとなっています。詳しくは東京都古物商防犯協力会連合会のHPをご覧ください。
7、amazonセラーとインボイス制度②
次に「販売」について考えてみましょう。
Amazonの顧客の大多数は一般消費者だと思われますが、事業者が顧客になっているケースも少なくありません。
Amazon Businessなどはもちろんのこと、Amazon Business以外の動線でも実は顧客が事業者だったということはいくらでもあるでしょう。
ということは、その事業者はその注文を経費として計上し、支払った分の消費税を控除したいと思っているわけです。
ですので、Amazonでの販売においてもインボイス登録番号を持っていないと、顧客である事業者が仕入税額控除を受けられない可能性があります。(というか多分そうです)
実際、少し前にAmazonから「インボイス登録番号をAmazonに登録せよ」といった依頼が来ていますよね。
これはつまり、Amazon販売においても個々のセラーのインボイス登録番号が必要だということであり、ということはインボイス登録番号の有無によって「選ばれる」「選ばれない」の違いが現れることを示唆しているのです。
おそらくAmazonセラーにとって一番大きな影響はこの部分でしょう。
実際のところは制度が始まってみないとわかりませんが「全く影響なかったね」とはならないと思います。
「影響はちょっとだったね」もしくは「影響大きいね」のような感じだと思うので、できることならばインボイス登録番号をAmazonに登録しておきたい。
でも、そのためには免税業者から課税業者に・・・(以下「5、問題は免税業者」にループ)
というのが大まかな状況でしょう。
8、まとめ
インボイス制度周りの問題って、突き詰めると
「免税業者が課税業者になるべきか?」
という命題に着地します。
そして、この命題に関しては個々の状況によって損失とリターンの大きさが変わるので、一概にこれが正解とは言えません。
各々が自身の状態を鑑みつつ、最良の選択をすることが求められているのだと思います。
まぁ成長志向でビジネスをしていくならば、いずれ課税業者になるんだし、気持ちよく消費税はらってその分ビジネスもっと頑張ってやる!ぐらいのテンションで判断しても良い気がしますけどね。(無責任)
この記事が何かの参考になると幸いです^^