円安と輸入ビジネス
お疲れ様です。
自分がカフェイン中毒だということに今更ながら気づいたとしぞーです^^
先日ひょんなことで1日半ぐらいカフェインを摂取しなかったら、明らかに禁断症状みたいなものが現れました。
その後、コーヒーを飲んだら気持ち良いのなんのって。
依存症って怖いですね・・・
さて。
今回は円安の話です。
この記事は4/20に書いています。
現時点でのドル円相場は1ドル129円。
20年以上ぶりの円安相場ということで日々世間を騒がせていますね。
日本経済全体の行く末も気になるとことではありますが、その中でも特に輸入プレイヤーは戦々恐々としているのではないでしょうか?
ということで、円安に対して僕がどう考えているか?をある程度体系的にまとめてみたいと思います。
この記事が円安状況におけるビジネスへの向き合い方などの参考になると嬉しいです。
本編に入るまでに注意点を二つほど。
①今回触れるのは円安によって(主に輸入プレイヤーが)どのような影響を受けるのか?また、それに対してどのような判断をすれば良いのか?ということに関する考察です。
そのため『円安の原因』とか『円安がどこまで進むか』などについては全く触れません。(触れることに意味も感じません)
②できる限り客観的かつフラットな考察を心がけますが、その考察をしている僕が『輸入を勧めている情報発信者』だということは忘れないでください。無意識にバイアスがかかっている可能性もありますので、その分を考慮してご覧いただけると助かります。
それでは本編にまいりましょう!
音声でも喋りました。
Twitterやってます。
ブログもやってます。
まず一番初めに結論を述べます。
円安によって輸入ビジネスは短期的にダメージを受けます。
しかしその個別の影響はあくまでも短期的なものであり、それを以て輸入ビジネス全体がダメになることはないし、それを以て輸入ビジネスから撤退する必要があることでもない。ただし、精神的にしんどいのは分かりすぎるほどわかるので、ロジックを理解して出来るだけ地に足をつけて作業してほしい。
こう考えるロジックについて、一つずつ書いていこうと思います。
短期的には確実にダメージを受ける輸入ビジネス
円安になることで、輸入ビジネスは確実にダメージを受けます。
そのダメージについて考えるにあたって『輸入品が売れる理由』を考察してみましょう。
輸入品が売れる理由には大きく二つの要素があります。
パターン① 安いから売れるケース
スーパーで鶏肉を購入するときのことを想像してみてください。
鶏肉の棚には国産の鶏肉(100円/g)とブラジル産の鶏肉(70円/g)が並べられています。人によってどちらを選ぶかはそれぞれです。
このとき、ブラジル産の鶏肉を選んだ人は、何を根拠に購買を決定したのでしょうか?
きっと「国内産の方が優れているのはわかるけど、安い方が自分にとってはメリットだからブラジル産を選ぼう」のような心理があったはずです。
このように、単純に安いという理由で購入される輸入品は数多くあります。
僕らのビジネスで扱う商品の中にもそのようなものはたくさんありますよね?
では、パターン①においては円安の影響をどう受けるでしょうか?
20%ほど円安になってから二週間後。
スーパーにはいつもと同じように国産の鶏肉とブラジル産の鶏肉が並んでいます。国産の鶏肉はいつも通り100円/gで販売されていますが、ブラジル産の鶏肉は円安の影響を受けて90円/gで販売されています。
このとき、消費者はどちらの商品を購入するでしょうか?
きっと「国産の方が高いは高いけど、この価格差ならより優れている国産の鶏肉を買おうかしら」と思う人が増えるでしょう。
元々『安さ』によって買われていた商品からその『安さ』が消えることは致命傷です。このようにして売れなくなる輸入品はたくさんあるでしょう。
実際、すでに価格の優位性を失っている輸入品をAmazonでたくさん見つけることができます。
パターン①の商品に関しては、円安の影響を多大に受けると言って良いでしょう。
パターン② 国内品として存在しないから売れるケース
今度はこんな状況をイメージしてみてください。
スーパーの鶏肉コーナーには国産の鶏肉が100円/gで販売されています。
その横に『ハト』の肉が300円/gで販売されていました。どうやらフランス産らしいです。
顧客が『ハト』の肉を購入する場合、その根拠は『安さ』でしょうか?
きっと違いますよね。
顧客は『ハト』を食べたいからその商品を購入します。
当然購入に際して価格を検討しますが、それは国内品との相対的な比較ではなく『ハト』という商品に対しての絶対的な比較です。
僕らのビジネスでもこのような性質を持った商品は数多くありますよね?
パターン②の商品は円安の影響をどう受けるのでしょうか?
20%ほど円安になってから二週間後。
スーパーにはいつもと同じように国産の鶏肉とフランス産のハト肉が並んでいます。国産の鶏肉はいつも通り100円/gで販売されていますが、フランス産のハト肉は円安の影響を受けて360円/gで販売されています。
このとき、消費者はどちらの商品を購入するでしょうか?
元々ハトを購入する属性だった人は、この円安の影響を受けてハトを買わなくなるでしょうか?
もちろん、買わなくなることもあるでしょう。
しかし、パターン①と比べると「それでも買う」という判断をする人が多いような気がしませんか?
元々国産の鶏肉(100円/g)と価格比較をしていたわけではありませんから、顧客は考えるのは「ハトの肉に360円/g出せるか?」のみです。
商品に力がある場合はこの状況になっても変わらずに売れるのです。
このことからパターン②に関しては円安の影響を受けたとしても限定的である。と考えられそうです。
以上のことから、輸入ビジネスにおけるパターン①の商品の売上は円安によって大きなダメージを受ける。一方パターン②の商品の売上に関わる損害は限定的である。と仮定しても良さそうです。
では、パターン①のような商品を多く扱うセラーは、円安によって淘汰されてしまうのでしょうか?
為替の影響を受けない商品はない
パターン①のような商品を多く扱うセラーが円安によって淘汰されることはありません。
それを理解するためには為替と経済との関連性を考える必要があります。
実は純粋に内需のみで完結している商品はそんなに多くありません。
多くの国内品はその一部を輸入品によって構成しています。
例えばパソコンはどうでしょうか?
国内メーカーが生産しているパソコンも、その部品は輸入に頼っていることがほとんどです。何なら、パソコンの組み立て工場が海外にあることも一般的です。円安が進めば部品費が高騰するため、最終的に販売価格に円安の影響を転嫁せざるを得ません。
国産牛はどうでしょうか?
日本で生まれて日本で育った牛さんは、完全に内需で賄われている気がします。しかし牛さんが食べるご飯はどうでしょうか?飼料を全て国産で賄っている食肉業者は非常に稀です。この場合は飼料費の高騰を最終的に価格に転嫁せざるを得ません。
仮に材料を全て国内で賄っている商品があるとしましょう。
その場合にも為替の影響から逃れることができません。人件費があるからです。円安が進むと輸入品の価格が上がり、それによって多くの商品の値段が上がります。物価が上がれば会社の売上も上がり、いずれそれは社員の給与に還元されます。(されると思いたい)つまり人件費が上がるのです。
全ての工程を国内で完結させている商品にしても、人件費が高騰することで最終的に商品の価格を上げざるを得ません。
実はこのようにして、為替の影響は順次全ての商品の価格に影響を与えます。ですから、輸入品だけが相対的に高くあり続けることは実現不可能で、順次その流れに他の商品もついてくる仕組みになっているのです。
『順次』というのがここでのポイントです。
僕らがやるような輸入ビジネスは、為替の影響を最短で受ける商売です。
日常的に取り組んでいるので当たり前になっていると思いますが『先月仕入れたものが今月もう売れている』って異常なことですからね。
普通の企業ではそんなに軽やかにものが動きません。
だから個人のビジネスは資金回収が非常に優れているのです。
しかし商品の動きが早いことが、円安時においてはデメリットになります。
これについてはいくらでも例を挙げることができるのですが、ここでは『為替予約』の一点のみを紹介します。
為替予約とは、一定の期間ごとに取引の為替レートを決めて、次の変更期がくるまではそのレートを(実際のレートととは関係なく)維持するという約束のことです。
ある程度大きな輸入企業ならば、必ず取り入れている仕組みです。
(ちなみに、個人でも前もって円をドルに変換しておけば擬似的に為替予約みたいなことができます)
例えば為替予約によってドル円レートが110円に設定されているとしましょう。すると仮にドル円が130円になっても、次の更新期が来るまではずっと1ドル110円で取引できます。
そのような企業が存在する中で、僕らは為替の影響をリアルタイムに受けて仕入れをすることになる。(もちろん円高の時は得します)
だから、一番初めに円安の影響を受けるわけですね。
しかし、前述の通り、その影響は短期的なものです。
最終的には輸入品以外の価格も上がりますから(絶対に上がります)相対的な不利は順次解消されていきます。
ですので(円安になるたびに毎回言っているように)中長期視点で見れば、円安を原因に輸入ビジネスを憂うのは論理にそぐわないのです。
個人的には今回ほどの円安でも、輸入ビジネスに対しては特段何も心配していません。
本当に心配なのは
でも、円安に際して何も心配がないかと言ったらそうじゃないんですよ。
むしろ普通にめちゃくちゃ心配なことがあります。
それが日本経済全体について。
前に書いた通り、これからあらゆる商品の価格が上がります。(物価上昇)本来であればそれに伴って人件費が上がるはずなんですが、仮にそれが実現されないと物価は上がるけど収入は増えないという状況が生まれます。(スタグフレーション)すると経済はさらに低迷し社会的に割と酷い状態になるのです。(大不況)
で、日本は結構そのルートにガッツリ乗っているんですよね。
そうなる未来とそうならない未来があるとしたら、感覚的には8:2でそうなりそう・・・という感じ。
そんなときに「輸入ビジネスだけがどうなるのか?」とかは全然どうでもよくて、それ以前にもっとやばいのが待ち構えているんだよなぁと思う今日この頃です。
むしろチャンスぐらいに思っているのはあまり声を大にして言えない
これまでに見てきたように、輸入ビジネスが円安の影響を個別に受けるのは短期的なものでしかありません。
短期的には確かにしんどい部分があるのですが、それを抜けてしまえば負担は他のビジネスと何ら変わらなくなります。
しかし、にもかかわらず円が安くなると輸入ビジネスのプレイヤー人口は明らかに減ります。これは今までに何度か訪れた円安時の傾向からほとんど確実に言えることです。
仮に輸入ビジネスから撤退する人が「短期的なダメージが嫌だから撤退する」というロジックで行動しているのなら話は別なんですけど、多分そうじゃないですよね。
きっと感覚的には「もう輸入は(長期的にも)ダメだから撤退する」という感覚で動く人がほとんどだと思うんですよ。(あくまでも予想)
で、そう考えると
・長期的には円安の影響で特別不利なわけでもないのに
・不利だと誤認した競合が減っていく
というよくわからない状況が生まれるんですね。
だから、円安って実はチャンスなんです。
当然、短期的な痛みに耐える必要はあるんですけど、それを越えさえすれば少しだけ競合が少ない、優しい世界が待っているのです。
でも、円安になったときに
「これはチャンスだ!みんな良かったね!!」
と僕が発信してたら、多分行き過ぎたポジショントークと思われるのはわかってるので、あまり声を大にしては言いません。
でも心の底では「チャンスなんだよなぁ」と思ってます。
逆に言えば、円高の時ってピンチなんですよね。
長期的に見て輸入ビジネスが得するわけでもないのに、得すると誤認した人がどっとやってくるわけで。
僕の過去の発信を見返してくださればわかると思いますが、円高の時(ポジショントーク使うなら最高の時!)に円高について触れていることが異常に少ないはずです。
なぜならばチャンスだと思っていないから。
というわけで、だいぶ長くなりましたが、まだ終わりません笑
円安に関する僕の意見はこんな感じなんですけど、それを前提に円安時に出てきそうな代表的な疑問を二つぐらい取り上げてから終わります。
もうちょっとだけお付き合いください。
為替変動が落ち着くのを待つ方が良いか?
為替が上下に乱高下する時は仕入れをせずに静観しているのが良いか?
または
円が安いときは高くなるまで待つのが良いか?
これ、どっちもNOです。
後者に関しては明快ですね。
「今よりも円が高くなる」ことがいつ来るかは分かりませんし、一生来ない可能性もあります。
仮に「待つのが妥当なぐらいの円高になる確信がある」ならば、物販やめて投資をしましょう。予想が正確ならばそっちのほうが圧倒的に稼げます。
前者に関しても同じ理論で検討できます。
『乱高下していること』自体と仕入れを控えた方が良いという結論には因果関係がありません。
明日には思いっきり円高になって「いやぁ昨日焦って仕入しなくて良かった」となることもあるでしょうし
それとほとんど同じ割合で、明日には円安に振れて「うわ、昨日仕入しておけば良かった」となることもあるわけです。
特に短期的な為替の動きは予測不可能なところがありますので、それを考慮してもほとんど無意味です。考慮して効果がある人は投資に取り組み(以下略)
*長期的には為替を予想できるかもしれません。でもその場合においても(少なくとも僕の見立てでは)今後も円安傾向が続くことが予想されます。
なので、輸入ビジネスを続けるならば長期的に見ればみるほど『今日が仕入どき』なんですよね。
ですから、特に撤退などを考えていないのならば、地道にコツコツ仕入れをすることをおすすめします。
輸出を取り入れるべきか?
円安になるとどうしても輸出が魅力的に見えますよね。
円安になったから輸出に取り組むべきか?
この質問には答えることが難しいです。
円安傾向のときは輸出が美味しいか?
には自信を持ってNOと答えます。
そのロジックは先ほど書きました。
輸出に取り組むべきか?
には自信を持ってYESと答えます。
日本以外の市場を商圏に組み込むことは、今後のビジネスを考える上で非常に重要な要素だからです。
ですが、
円安になったから輸出に取り組むべきか?
と聞かれたらNOと答えちゃうかもしれません。
なぜならば動機が不純だから。
円安とか円高とか関係なく輸出を検討するのはとても妥当だけど、為替の動きを前提に輸出を検討しているのは、そもそもロジックが間違っていて、なんかうまく行かなそうな気がします。
だから、
「円安で輸入がヤバそう。輸出に行こうかしら」
と考えている人がいたら、ぜひ一旦冷静になって欲しい。
今後円高になったらあなたは輸入に戻ってくるんですか?と。
その時の勢いや流れに惑わされずに、自身の中にある感情と向き合って、感情を材料に論理的に物事を判断する力がビジネスには求められます。
その他大勢になってしまわないように、こういう時ほど冷静になりましょう。
*もちろん『円安になって不安に思ったことをきっかけにして』冷静に考えた結果『輸出もはじめて安定した経営を目指そうと思った』ことを否定するものではありません。あくまでもここで言及しているのは『円安=輸出』と条件反射的に飛びついちゃう危うさについてです。悪しからず。
まとめ
ということで、かなり長くなりました。
もしここまで読んでくれている人がいたとしたら、大変ありがとうございます。
こうやってまとめてみると実感するんですけど、情報発信を始めてから10年ぐらい。僕の円安についての意見はずーっと変わっていないですね。
過去の音声とかでも大体同じような発言をしている気がします。
もちろん、僕の考えが絶望的に間違っている可能性もありますから、話半分で受け取ってください。
もちろん、今回の為替変動は僕にとっても最悪です。
子供の将来を考えると非常に暗澹とした気持ちになります。
でも、それを嘆いたところで為替は変化しません。
状況がどう変わろうと、今できることを着実にやっていくしかないわけで、僕らは今後そういう戦いに巻き込まれていくんだろうなって感じています。
そういう意味で、一番おすすめしたいのは瞑想です。(もうお前黙れ)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?