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僕らがほしいのはAppleのようなMemojiじゃない

文字によるコミュニケーションって本当はどんなもの?

SamsungのGalaxyの「マイ絵文字」に続いて、Appleが「Memoji」というサービスを発表しました。
ヴァーチャルYouTuberのように、セルフィー[Selfy]の次はマスキー[Masky]が流行りそうなこの流れ。
カメラ上で第二の顔になるだけでなく、メッセージでも利用することができます。
いつもメッセージの末尾にいる絵文字が、みんな一緒の黄色い顔じゃなくて、自分そっくりな顔にできること。
文字だけだけど、遠く離れていても本当に笑顔でいるような気分にさせてくれます。

人々はまだデジタルにおける個性をアバターに委ねている

それはそれでよいのです。それはよいのですが。

僕が期待しているMemojiはそれじゃないんです。

アラサー以上の人は思い返してください。
紙の手紙をもらっていた頃、何が一番嬉しかったでしょうか。
それは差出人が文章を一生懸命考えながら、ペンを握って書いてくれた文字の数々。
いつもうっとりするようなキレイな字を書くな〜もあれば、相変わらず汚くて読めない字だな〜もあったでしょう。
でもそれはその人でしか出せない味で、一生懸命読んで、解読するのが楽しかったのではなかったでしょうか。

僕もすっかり字を書かなくなってしまいましたが、妻の置き手紙や時々届く祖父の手紙に癒やされています。
祖父の手紙は本当に読むのが難解なのですが、これが嬉しくて、届くたびに解読チャレンジを楽しんでいます。
妻の手紙は少し幼くて微笑んでしまいます。まるで声が聞こえてくるかのように癒やされています。

絵文字が彼や彼女になって嬉しいかもしれませんが、それより僕はメッセージそのものが彼や彼女の文字だったら嬉しいと思います。

メールだってLINEだって、みんな手紙だ

人の書癖は人の数だけあります。
それでも機械学習を使ってみたら、いくつかのパターンが見えてくるのではないでしょうか。
スマホ上でいくつかの文字を書いたら、機械学習が癖のパターンを組み合わせて「マイ”文字”」フォントができあがる。
あとはそのフォントを使ってメッセージをし合えば、いつもの味気ないメッセージがまるで手紙のように見えてきます。
本当に短い文章ですら、温かみすら感じてくるかもしれません。
きっと「ありがとう」の一言ですら、思わずスクリーンショットを撮ってしまいそうです。

技術的には実現可能のような気がします。
しかし、実現するには一つ越えなければいけない問題があることを僕は知っています。

それはクレジットカードや署名のサインです。
もし「マイ文字」が悪用されたら、色んなところに僕のサインが書かれて大変なことになってしまうでしょう。
しかしそこは、「マイ絵文字」や「Memoji」のようにデフォルメすることで署名として有効でないようにすればいいでしょう。

コミュニケーションはデジタルによって物理的距離や時間を超越して進化したものだと思います。
声や顔は目の前にいなくても相手を感じることができますが、文字だけは相手の面影を奪われてしまいました。
しかし、世界中で最も交わされているコミュニケーションは文字でしょう。
だからこそ尚更、テクノロジーが奪ったものを、テクノロジーが蘇らせてはどうでしょうか。

世の中がMaskyに熱中する前に、忘れかけている大事なことに早く気づいてくれることを願っています。

でも、このブログが「マイ文字」だったら、、、読めたものじゃないかもしれませんね。笑


【余談】
Memoji、そのうちルイ・ヴィトンやコーチとコラボして、有料アクセサリーの販売とか始めたりして。

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