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その日は、みんなでネ。
「その日は、みんなでネ。」、高橋幸宏さんが1981年6月に発表したソロ・アルバム『ニウロマンティック』のレコード帯にコピーされていたキャッチでもあり、昨年6月に開催された展覧会『YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION Everyday Life』でのキャッチ(こちらは厳密にいえば「・・ネ。」が「・・ね。」なっています)でも使われたコピーでもあります。
『ニウロマンティック』は幸宏さんの3枚目のソロ・アルバムであり、YMOの『BGM』(1981年3月)と『テクノデリック』(1981年11月)のちょうど間に発表され、特に『BGM』の影響を受けた作品でもあり、当初は『BGM』1曲目と同タイトルの『BALLET』(幸宏さん作詞・曲)というタイトルで、という話もあったようです。
とは言え、『BGM』よりも聞きやすく、演奏でもYMOとは異なり、サックスやギターも取り入れ、幸宏さんのヴォーカルもYMO以上に堪能でき、海外でもほぼリアルタイムで発表されるなど、幸宏さんの代表作、最高傑作に数えられる作品と言えると思います。
参加アーティストには、アンディ・マッケイ&フィル・マンザネラのROXY
MUSICのメンバー(幸宏さんがサディステイック・ミカ・バンド時代にオープニング・アクトとしてROXYとツアーしています)、NEW MUZIKのメンバーでもあるトニー・マンスフィールド(次作、『ボク、大丈夫!!』にも参加、イギリスのプロデューサーとして80年代前半は有名に)、YMOのサポートでもお馴染み、松武秀樹さんや、本作以降、幸宏さんのソロでは欠かせないギタリスト、大村憲司さんなどが参加。また海外(イギリス)レコーディングもされ、海外アーティストとの共演が以降活発(スティーヴ・ジャンセン、ビル・ネルソン、ザイン・グリフなど)になっていきます。
そして、YMOからは細野晴臣さんと坂本龍一さんも参加、それぞれ一曲づつ、曲も提供され、数曲で演奏にも参加しています。幸宏さんの最初のソロ『サラヴァ!』(1978年)からYMO散開以降『ワンス・ア・フール』(1985年)まで、細野さんと坂本さんの参加は続きますが、特に本作はYMOでの細野さんと坂本さんを繋ぐ役割を担ったと言われる幸宏さんなりのソロにおけるYMOとしての表現ともとれますし、三人の中ではYMOを1番大切にしていたことを感じさせる作品にも思えます。
今日1月11日は幸宏さんが旅立ってちょうど2年、ちょっとこのアルバムを聴き直したいと思います。